東京ドーム | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。

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東京ドーム
開場1988年
集客可能人数46000人
両翼・中堅両翼100メートル、中堅122メートル
フェンス4.24メートル
フィールドフィールドターフ人工芝(ベース周辺のみ土)
アクセス水道橋駅(JR総武線・都営地下鉄三田線)から徒歩約5分
後楽園駅(東京メトロ南北線・丸ノ内線)から徒歩約5分
春日駅(東京メトロ大江戸線・三田線)から徒歩約5分





上:外観
下:内野2階席からの外野を臨む。(写真は両方とも、2016年5月7日、セ・リーグ公式戦読売巨人軍中日ドラゴンズの試合より)

読売巨人軍(ジャイアンツ)の本拠地として有名なドーム型球場。ジャイアンツの試合以外でも様々なスポーツやコンサートなどのイベントで使用され、東京のランドマークのようになっているため、スポーツファンでない人への認知度も非常に高い。

東京ドームの前身は、1937年に開場された後楽園球場である。日本では1936年に職業野球がスタートするが、東京六大学野球の反対を受けて神宮球場で試合が開催できず、東京での試合会場がないという喫緊の課題を解決するために作られた。戦前では規格外ともいえる38000人が収容できるスタジアムで、当時はまだ専用球場を持てるプロ野球チームがなかったこともあって、東京での興業はチームを問わずこの球場で行われた。

1952年にフランチャイズ制が導入されると、当初は東京に本拠を置くチームがこぞってここを専用球場に指定したのだが、その後巨人以外は他の場所に移っていき、1950年代後半から巨人が全国的な人気を確立するに至ったので、徐々に後楽園は巨人のホームスタジアムと認識されて行った。とはいえ、1965年からはパ・リーグの東映フライヤーズ(1974年から日本ハムファイターズ)もここを本拠地に指定した。1981年にフライヤーズと巨人がそれぞれのリーグで優勝をした時には後楽園球場を本拠地とする2チームが日本シリーズで相見えることになり、「後楽園シリーズ」と呼ばれた。

開場当初は両翼78メートルと、当時の基準でも小さすぎる球場だったのだが、1958年に90メートルに拡張。1970年には電光掲示板を、76年には人工芝を施設するなど、常に最先端の技術を使用する球場でもあった。また、周辺には後楽園ゆうえんちをはじめとする娯楽施設が密集しており、これらの施設を後楽園球場の運営会社が一括して運営すると言うスタイルで莫大な収益を上げることに成功している。球場自体も、プロ野球開催が主な用途として作られたものではあったが、コンサートやプロレス、アメフトなどの会場としても使われているし、野球でも都市対抗野球や全日本大学野球選手権(の数試合)なども主催し、プロ野球以外のイベントでも収益を上げていた。

とは言え、1980年代に入ると老朽化が目立ち始めたことから、1987年に閉鎖・解体された。1988年に日本初の全天候型球場・東京ドームに生まれ変わる。後楽園球場の後継球場として開場したので、当時と同じようにプロ野球だけでなくコンサートや他のスポーツの会場としても引き続き使用された。日本ハムは2004年を最後に本拠地を札幌に移したが、今でも東京時代のファンのために東京ドームを準本拠地にしていて、年間8試合ほどここでホームゲームを行っている(詳しくは後述)。外野席は二層、内野には三層構造になっていて、収容人数は46000人で、外観が卵型であることから「ビッグエッグ」の愛称でも知られており、コンサートなどではグラウンドに仮設スタンドを作るので55000人に増やすことができる。ちなみに、この東京ドームはこの球場を管理運営することを目的とした株式会社東京ドームが所有しており、行政やスポーツ振興財団からは独立している。

現在は両翼100メートル、センター122メートルで、全面天然芝の野球場である。普通の野球場は外野フェンスが全体的に緩やかなカーブになっているので、フィールドが扇形に見えるのだが、東京ドームの場合は外野のフェンスがの右中間、左中間のふくらみが小さく、上から見るとホームベース、両翼、外野フェンスの形は扇形と言うより五角形のように見える(一番上の写真を参照)。そういうわけで、この位置にボールが飛ぶと他の球場よりもホームランが出やすいという特徴がある。

巨人は、日本に現存する12球団の内最も歴史が長い球団であり、1934年に大日本東京倶楽部として誕生した。翌年に東京巨人軍と名前が変わり、1947年に読売新聞社がチームを買収して現行名に変わった。元々日本のプロ野球開設や東京倶楽部の設立に尽力したのが、読売新聞社の正力松太郎社長だったということもあり、球団は創設当初から読売との関係が強かった。




上:ライトスタンド・ホーム応援席(2017年6月16日プロ野球交流戦の巨人千葉ロッテマリーンズ戦より)
下:レフトスタンド・ビジター応援席(写真は2014年9月14日の巨人横浜DeNAベイスターズ戦)

戦前・戦中期から、沢村栄治やヴィクトル・スタルヒンなどを擁してリーグ優勝の常連だったが、戦後期には川上哲治などを擁して更に優勝を重ねた。極めつけは、1965年から73年までの9年連続日本一、通称V9である。この時期には川上が監督を務め、長嶋茂雄、王貞治など、野球ファンでなくても知っているようなスター選手を擁して栄華を極めた。これより前は、野球と言えば品行方正な学生野球の方が人気が高く、職業野球は食うや食わずやの労働者が日々の憂さを晴らす場所という雰囲気が強く、スタジアムの雰囲気は殺伐としたものだったらしい。だが、巨人の全盛期の頃には後楽園球場に子供連れが多く見られるようになり、プロ野球のイメージも少しずつ変わっていった。そして巨人には、潤沢な資金力をベースに選手を集める金満クラブのイメージが定着していく(そのため、巨人にはファンも多いがアンチも多い)。その後も、1980年代には江川卓や原辰徳ら、90年代には斎藤正樹、桑田真澄、槇原寛己、松井秀喜ら、2000年代以降は阿部慎之助、坂本勇人、菅野智之らを擁して強豪の地位を保ち続けている。




上:巨人のチアリーダー、チームヴィーナス
下:巨人の得点時に恒例の、ファンによるタオル回し。この時に応援歌「ビバ!ジャイアンツ」という歌が流れる
写真は両方とも、2017年6月16日巨人ロッテ戦より

1960年代後半頃からプロ野球に子供連れが増えたものの、昭和期の後楽園球場はまだガラの悪いヤジが多く飛んでおり、ファンサービスも悪かったとのこと。だが、2000年代前半の球界再編問題の頃から本格的にこの辺りが改められ、現在はお客さんを飽きさせない、試合を盛り上げるための趣向にかなり力を入れている。チアリーダーや球場DJの人がいるのはもちろんの事、日によってはゲストを呼んだりして試合前にイベントを行っているので、初めて野球を見るという人でも楽しめるだろう。もちろん、応援団による球団歌の合唱もある。球場の雰囲気の改善にもかなり力を入れているので、基本的にはファンのマナーはいい。

         


上:三塁側外野寄りの席からの眺め(2014年9月14日の巨人横浜戦より)
下:内野第二層(一塁側)からの眺め(2016年5月7日の巨人中日戦より)

観戦環境だが、ネックの1つは客席の階段の勾配がきついこと。大規模スタジアムだと、上の方に行けばいくほど傾斜がきつくなる(そうしないと上の方の席から試合が見づらくなる)のが普通だが、東京ドームの場合は何故か前列の席でも傾斜がきつく、ご年配の方々はちょっと大変そうに階段を歩いているし、子供さんが転びそうになっているのもよく見かける。勾配が急なので座席の前のレッグスペースも狭く、椅子が狭いこともあって座り心地が少々窮屈な感も否めない。またこの球場、屋内ということもあってお客さんの歓声がくぐもり、音響が悪い。そのため、スピーカーの音や応援団の応援歌が聞き取りづらく、それでいて大音になるので少し不快である。コンサートのベニューとしては、この辺りがネックなのではなかろうか(2016年頃から改善された感はあるが)。

ただ、客席の第一層がグラウンドレベルに近い高さにあるので臨場感はあるし、客席の傾斜が急なため座席に座ってしまえばどこに座ってもグラウンドが俯瞰で見える。臨場感がある上に試合が見易いので、観戦環境は悪くない。上層からだと、グラウンドは遠ざかるがその分試合を俯瞰で見れるので、違ったメリットがある。多少の問題はあるが、一度客席に座ってしまえば総じて試合の見易い球場である。エアコン完備なので夏でも冬でも快適で、屋根のお陰で雨が降っても試合ができるので、屋外球場と違って天候を気にせず前売券が買えるというメリットもある。








上:ライトスタンド、日本ハムの応援席
中上:試合前のパフォーマンス。チアリーディングチーム・ファイターズガールと、マスコットのポリー(エゾリス、左)とフレップ(キタキツネ、右)が躍る。
中下:ラッキーセブンのパフォーマンス。ファイターズガールと、マスコットのB・B(クマ)、フレップが躍る。グラウンド整備やボールボーイ・ボールガールも踊る。
下:スコアボード
(上の写真3つは、上・中下が2017年7月4日、プロ野球パ・リーグ公式戦、北海道日本ハムファイターズ埼玉西武ライオンズの試合より。中上・下が2019年4月7日、プロ野球パ・リーグ公式戦のファイターズ対ライオンズの試合より)

巨人の試合以外だと、日本ハムが年間8試合ほどのホームゲームを主催する。最近は北海道のイメージが強いであろう日本ハムだが、元々このチームの前身は1945年に東京で設立されたセネターズという球団であり、前身球団時代も含めて半世紀以上を東京で過ごしたチームなのである。同じく東京に本拠地を持つ巨人東京ヤクルトスワローズと比べると地味ではあったが、オールドファンはまだ多く残っており、その名残である。巨人戦よりもお手ごろな値段で試合が見れる上に、ファイターズの試合の演出は巨人戦とはまた違う華やかさがある。ご興味があれば、ぜひ足を運んでみてほしい。

2010年代後半に入り、パ・リーグの他の球団も不定期でがホームゲームを東京ドームで行っている。




上:2017年7月24日、都市対抗野球大会準決勝第1試合より。NTT東日本(東京都)の応援席
下:同じ試合の、東芝(川崎市)の応援席

また、毎年7月の後半には、社会人野球2大大会の1つである都市対抗野球大会が開催される。様々な企業が、練習拠点を置く都市の代表として地区予選を戦い、予選を勝ち上がればこの都市対抗野球全国大会に出場できる。つまり、名目上は企業対企業ではなく都市対都市の形態をとっているため、全国大会に出場するチームは予選で負けたチームから最大3人選手を補強できるという、ユニークなレギュレーションがある。まあ、そうは言っても実質的には企業対企業の構図になるので、出場企業が社員や会社の応援部、ブラスバンド部、チアリーディング部を動員して応援に入り、雰囲気としてはプロ野球よりも学生野球っぽい。ただ、ドーム内で拡声器も使って応援するので、客席から発せられる音量は学生野球の比ではない。野球の質は学生よりはるかに高く、安い入場料で見ごたえのある試合が見られるというお得感がある。ちなみにこの大会が行われている時期にもプロ野球の公式戦は続いているため、7月下旬の時期に巨人は10日間ほどアウェーゲームや地方巡業を回ることを余儀なくされる。

ちなみに、この大会は一番安い座席が「バルコニー席」と呼ばれる上層と下層の間にある層の部分が一番安い座席になり、よほどお客さんが入らない限り上層を開けることはない。座席に収納可能なテーブルがついているのでご飯を食べながらの観戦は楽で、座席もゆったりとしている。ただ、傾斜が緩いので前の座席の人の頭が視界に入ってしまうというデメリットもある(詳しくは下の写真を参照)。この座席を利用されるなら、長所と短所、そして料金を照らし合わせながら決めた方がいいだろう。




上:2017年7月24日、都市対抗野球大会準決勝第1試合より。上層と下層の間の層(通称バルコニー席)
下:上と同じ試合から。バルコニー席からグラウンドを見ると、前の人の頭が視界に入ってしまう……

野球以外のスポーツだと、アメフトでも使用される。毎年春に行われる東日本社会人選手権の優勝決定戦(パールボウル)に加え、Xリーグの試合数試合と優勝決定戦(ジャパンXボウル)、そして日本選手権(ライスボウル)は毎年東京ドームで行われており、特にボウルゲームではアメフトがマイナースポーツであるにもかかわらず1万人以上の観客を集める。出場チームのチアリーダーが賑やかに応援するので、非常に華やかで雰囲気は楽しい。

ただ、扇形の野球グラウンドに長方形のアメフトのピッチをはめ込むので、試合は残念ながら見にくい(下の写真を参照)。フィールドの中央が一、三塁のあるあたりになってしまい、一番ピッチ全体が見渡せる場所がピッチから一番遠くなってしまうからである。もちろん、そこから両側に歩いて行けばピッチは近づくのだが、そうするとピッチの端側に行くわけで、ピッチの反対側は見づらくなる。日本では、東京ドームだけでなく甲子園や横浜スタジアムでもよくアメフトが開催されるが、正直このスポーツを野球場でやるのはどうなのか……。アメフトの醍醐味である選手の闘争心、激しいコンタクト、そしてワンプレーごとの緊張感を最大限伝えたいのであれば、サッカー場やラグビー場、陸上競技場などで開催した方がいいと思う。










上:扇形のグラウンドにアメフトのフィールドを敷いたときの様子。タッチライン沿い中央に近付くにつれて、客席が遠ざかっていく
中上:タッチライン沿い中央寄りから試合を見たときの様子。フィールドが遠い。
中・中下:第一層からの眺め。座った席の近くでプレーしているときは見易い(中)が、反対側だととても遠い(中下)
中下:第二層からの眺め
(アメフトの写真は全て、2019年12月16日のジャパンXボウル、富士通フロンティアーズパナソニックインパルスの試合より)

1年中ほとんど休みなしでイベントが行われているので、心なしか他のプロ野球本拠休場と比べても人工芝が荒れている印象である。グラウンドにほとんどクッションがなく、ゴロのバウンドが吸収されず、他の球場と比べて球足が速いのではないだろうか。

水道橋駅、後楽園駅、春日駅が最寄にあることから交通の便は抜群。バスの路線も出ているが、交通量の多い地域なので、バスだと時間が読みづらい。電車の路線が何本も乗り入れている中、バスを利用する理由はあまりないだろう。友達と気楽に遊びに行く感じでスポーツが見れるところが東京ドームの素晴らしいところである。ドームの周辺には東京ドームシティアトラクション(旧後楽園ゆうえんち)があるのでご家族で遊園地に行った後に野球と言う楽しみ方もできる。ただ、テーマパークが周辺にあるため周辺の飲食店の値段が高く、ドーム内の売店も値が張ることは留意されたい。割高料金が嫌ならば、電車や地下鉄ですぐに行ける秋葉原や池袋などで探すのが無難である。

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東京ドームの紹介(東京ドームシティ公式ホームページより)
読売巨人軍公式ホームページ