横浜スタジアム | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。

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横浜スタジアム
開場1978年
集客可能人数28966人
両翼・中堅両翼94.2メートル、中堅117.7メートル
フェンス5.3メートル(ラバーフェンス5.0メートル、金網0.3メートル)
フィールドロングパイル人工芝(内野の走塁スペースのみ土)
アクセス関内駅(横浜市営地下鉄ブルーライン/JR根岸線)から徒歩約5分
日本大通り駅(横浜みなとみらい線)から徒歩約5分


(写真は、注釈がなければ2018年6月18日のプロ野球交流戦・横浜DeNAベイスターズ埼玉西武ライオンズの試合より)

外装

プロ野球・横浜DeNAベイスターズの本拠地として知られる球場。横浜平和公園の中にある。

この球場があった場所には1872年に居留地の外国人向けにクリケット場が作られ、クリケットの他にも野球、サッカー、ラグビーも主催されたらしい。1899年に改正日英条約が施行され、居留地制度が撤廃されると、この場所に横浜公園球場が建てられた。神宮球場や甲子園球場ができる四半世紀も前のことで、横浜公園球場は日本でも最古の球場の1つになる。

関東大震災の時に全壊するが、1929年に再建される。戦後、1952年に横浜平和公園球場と改名された。10000人弱の集客力しかなかったことから使用用途は概ね学生かアマチュア野球に限られていたのだが、1977年に当時川崎球場をに本拠地にしていた大洋ホエールズが横浜に移転することが決定。客足が伸び悩んでいた大洋は、首都圏の中でも知名度が高く人口も多い横浜への移転を1970年代前半から検討しており、平和公園球場をより大きい球場に改築できるのであれば、と考えていた。資金繰りや法律上の問題をクリアするのに5年近くかかったが、1977年に着工、翌年に竣工・開場。これに伴い、大洋も横浜に移転した。その後、チーム名は変わっているものの一貫して横浜スタジアムを本拠地として使い、スタジアムは「ハマスタ」の愛称でファンに愛され続けている。現在は株式会社横浜スタジアムが管理運営を行っている。

1977年当時、横浜市は条例によって建造物と敷地面積の建蔽率がかなり大きく設定されており、これをクリアするためにすり鉢状に作られた。つまり、スタジアムが地面に接している部分を出来るだけ小さくし、スタンドを地面から浮かせた状態にすることで、敷地の建蔽率規定に収まるように作ったのである。スペースの都合上ブルペンは外野スタンドの下に埋め込まれる形になっており、リリーフ投手が出てくるときにはオープンカーに乗ってやってくる。


スタジアムの外観。スタンドが「浮いている」のが解るだろうか……


一塁側外野スタンドの下にあるブルペンからオープンカーに乗って出てくるベイスターズのリリーフ投手

法律上の制限によってスタジアムの形が規定されてしまった感はあるが、このスタジアムは1977年の基準では最先鋭の技術を用いたものだった。当時のプロ野球全球団の中で最大の両翼94.2メートル、センター117.7メートルの外野。また、マウンドが昇降式になっており、1・3塁側に可動式のスタンドがあり、用途によってはグラウンドを長方形に変形できる造りにもなっていた。これは当時アメリカで流行していたアメフト・野球両用スタジアムの設計に倣った、いわゆるクッキーカッター型のスタジアムである。

もっとも、2003年に人工芝を導入したことから、そのメンテのために可動席を使わなくなり、2013年にファウルグラウンドに座席を増やすと、可動席は永久的に使われなくなった。そのため、グラウンドを長方形にすることはできなくなったが、開場当時からアメフトの試合を多く主催していたこともあって、現在も社会人や大学生のアメフトの試合の会場になることは多い。

現在のプロ野球では両翼100メートル、中堅122メートルが基準となっており、昭和末期から平成初期にかけてその基準で多くの球場が作られたため、現在ではプロ野球12球団本拠地の中で一番外野が狭い球場となっている。そのため、ベイスターズはホームラン王のタイトルを獲得する選手を輩出することが多い。

条例上の問題があり、長年スタジアムの拡張が難しかったのだが、2020年の東京オリンピックの際に横浜スタジアムが野球・ソフトボール競技の開場の1つになり、これが追い風となって2017年から2020年までにかけて6000人分のスタンドを増築する工事を実行している。最近はベイスターズの人気が高まり、なかなかチケットが取れない状況が続いていたので、拡張しても十分元は取れるだろう。








内装。上から、外野席、一塁側、ホームベース裏、三塁側のスタンド。ちなみにナイターは、YokohamaのYの字を模した形になっている。

観戦環境は極めて良好である。クッキーカッター型のスタジアムは、野球専用のスタジアムと比べて野球の試合が見にくいところもあるが、横浜スタジアムはスタンドがグラウンドレベルに近いところに設置されているので、前の方に座れば臨場感は抜群だし、上の方はスタンドに傾斜があるのでグラウンドを俯瞰で見ることができ、試合は見易い。すり鉢状だからこその見易さと言えるだろう。プロ野球球団の本拠地球場にしてはコンパクトであることも、観戦環境の良さにつながっている。ケチをつけるとすれば、スタジアムは屋根が全くなく、日差しや雨をしのげないということくらいか。来場前に必ず天気予報を確認し、真夏の日中であれば熱中症・熱射病・日焼け対策は忘れずに。


オーロラビジョン

大洋ホエールズは、1929年に設立された下関の林兼商店の実業団チームが原点となっている。世界恐慌から太平洋戦争へと向かう時代の中で何とか活動を続け、1945年に社名が大洋漁業となったことから改名。1949年には、大洋漁業がオーナーとなってプロ野球チーム・大洋ホエールズが誕生した。

大手企業でない上に、下関という地方都市を拠点としたチームだったこともあって、創設当初は常に勝率は3割を切るという苦しい戦いぶりを露呈し、1953年からは松竹ロビンスと合併。大洋松竹(洋松)ホエールズとなり、2年間下関と京都を拠点とする日々が続いた。1955年からは松竹が撤退したため、チーム名を大洋ホエールズに戻し、本拠地を川崎へと移転した。1954年から、6年間連続でセ・リーグ最下位に低迷したが、1960年にはそれまで西鉄ライオンズを率いていた名将三原修を監督に招聘し、近藤昭仁、鈴木武、秋山登、島田源太郎らが活躍し、6年連続最下位からのリーグ優勝と日本一に輝くという離れ業を見せた。1960年代前半はチームの全盛期であり、1962年と64年にも優勝した阪神タイガースに僅差のリーグ2位に終わっている。

その後は再び成績が伸び悩み、1977年には上述の通り川崎から横浜に移転したものの状況が劇的に改善されることはなかった。ホエールズは1993年に市民密着型の運営に切り替え、横浜ベイスターズと改称。すると、1998年に石井琢朗、波留敏夫、鈴木尚典、ロバート・ローズ、駒田徳広、佐伯貴弘らを擁した強力打線と、抑えのエース佐々木主浩を擁して2度目のリーグ優勝と日本一に輝いている。

その後は再び成績が伸び悩み、2007年にセ・リーグがプレーオフ制度を導入した後もプレーオフにすら出れない日々が続いた。2012年にモバイルゲーム制作会社であるモバゲー社を所有するDeNA社がチームを買収したが、2016年までプレーオフに進出できないなど苦戦が続いた。もっとも、現在は山崎康晃、筒香嘉智、宮崎敏郎ら好選手を擁するチームとしてセ・リーグでも徐々に存在感を見せ始めている。横浜のプロ野球の試合と言えば客席がガラガラというイメージが強かったが、成績の向上もあって最近では状況も改善されてきた。近年はなかなかチケットがとれないので、観戦を検討されているのであればチケットの確保はお早めに。

ベイスターズの試合以外では、社会人・大学野球の公式戦や高校野球神奈川県大会の決勝の舞台にもなる。野球以外のスポーツだと、上述の通りアメフトの試合の会場としても使用される。


(2015年11月29日・アメフトXリーグプレーオフ準決勝オービックシーガルス富士通フロンティアーズの試合から)

アメフトの会場としては、長方形のフィールドを、外野からホームベースに向けて扇形のフィールドに無理やりはめ込む形になる。こうすると、試合が一番俯瞰で見えるはずのフィールド側面のスタンドがフィールドから遠ざかってしまい、試合が見づらい。伝統的に日本では、アメフトのビッグマッチは球場で行うことが多いが、このスポーツはやはり球技場で行うべきであろう。

最寄駅は、JR根岸線および横浜市営地下鉄ブルーラインの関内駅。みなとみらい線の日本尾通り駅からもすぐである。横浜は交通の便がよく、駅からもすぐにスタジアムに着いてしまう。根岸線は首都圏貫通型の路線である京浜東北線と直通しているし、ブルーラインは東海道新幹線乗り入れの新横浜駅ともつながっている。また、JR上野・東京ライン(東北本線と東海道線を直通させる路線)が乗り入れる横浜駅からも10分足らずなので、東海道新幹線で遠征してくるビジターファンや、首都圏からも来易い位置にある。みなとみらいや赤レンガ倉庫と言った横浜の観光地が近くにあるので、試合の前後にここで遊んでから観戦、と言うこともできる。当然、試合前後の食事にも困らない(会場内に売店もある)。電車の便がいい上に、横浜の市街地にあって交通量が多く、バスだと時間が読めないので、電車の利用をお勧めする。

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