ドラッグ効果のありそうなアニメーションや、
或いはそんな感じの内容のアニメーションを、
アメリカの作家の作品を中心にご紹介します。
とは言っても、私は、所謂「クスリ」を決めた事が全くありませんので、
クスリでハイになったとか、トリップ感覚というものを、
実際に体験した事がありません。
せいぜい、長時間労働による「ランナーズハイもどき」位でしょうか。
なので、ドラッグ効果とは言っても、あくまで想像であるとか、
何かの映像を見てに過ぎない事を、ここで申し上げておきます。
サイケデリック・アドベンチャー
Pyschedelic Adventure
監督:アンソニー・フランスィスコ・シェパード
Anthony Francisco Schepperd
http://www.youtube.com/watch?v=3h4-fcjW5Is
フィラデルフィアのアニメーション作家だそうです。
想像力、もとい、妄想力が強力に備わった方なのでしょう。
名作と言えると思います。
サイバーパンクといった感じでしょうか。
音楽も「如何にも」というトリッピーな感じで、良い選曲していると思います。
シェパードさんのサイトはコチラ↓
超能力を使ってみろ(1978年)
Make Me Psychic
監督:サリー・クルックシャンク
Sally Cruikshank
http://www.youtube.com/watch?v=4PWPoHg2cRA
細かい所に色々と見所を詰め込んだ小ネタ満載な、
遊び心溢れるサービス精神旺盛さを感じるアニメです。
場面転換も幻惑的で、その意味でも見応えあるものを感じました。
このアニメは実はシリーズものでして、1975年には、
「クワッカデロのクワズィ」(Quasi at the Quackadero)
という前作を制作しています。
カエルが中途半端なスーパーマンになったみたいなクワズィ(Quasi)と、
お茶目な女性アニータ(Anita)のコンビが、
訪れた先で奇妙な体験をするお話です。
クワズィの被っているラッパの様な帽子を見ると、
70年代という時代をしみじみと感じさせます。
「クワズィ」という名前は、蛙の鳴き声の擬声語から来たのだろうか?
と最初思いましたが、「ケロケロ」はイギリスで「croak」という風に、
割かし近いのに対し、アメリカ英語では「ribbit」という風に、
全然かけ離れているので、違うのだろうな、と思いました。
(現在では、両方共通用している様ですが)
http://www.eigowithluke.com/2011/03/animal-noises-in-english/
「quasi」という言葉は、
元は「あたかも」「殆ど」「外見上」「準」を意味するラテン語の接頭辞で、
その単語が英語にも「類似」「擬似」「殆ど」「ある程度は」と言う風に、
ほぼ同じ意味として取り入れられて使用されている様です。
http://taksanquote.livejournal.com/10539.html
サリー・クルックシャンクという女性アニメーション作家さんは、
日本では余り知られていない様です。
検索でも、日本語での紹介記事が余り出てきませんので。
7年も前ですが、ブログで紹介している人がいました。
http://buchi21.blog64.fc2.com/blog-entry-429.html
「薬をヤリながら作ったと噂のある」と紹介しています。
まあ、そう思われても致し方無いでしょうね。
このアニメーションを観たらそう思ってしまいます。
絵柄がセサミストリートのアニメっぽいと感じましたが、
やはりそういうアニメを作っていたそうです。
YouTubeに彼女の作品が色々と出ていますけど、
出ている全てを観ているわけではありませんが、閲覧した中では、
「カエルみたいな顔」(Face Like a Frog)
http://www.youtube.com/watch?v=coTIw4j127E
も、中々だと思いました。
この逞しい妄想力、私も欲しい!!
私は理屈っぽい作品ばかり制作しているので、
妄想力が足りていないのではないかと不安です。
日本でももっと、サリー・クルックシャンクが知られれば良いなと思いました。
【閲覧注意】ふしぎの国のマリス(1982年)
Malice In Wonderland
監督:ヴィンス・コリンズ
Vince Collins
http://www.youtube.com/watch?v=Lv8IezFbADc
はっきり言って、“閲覧注意”ですね。
気持ち悪くて怖いですが、
モーフィング(変容)の様子が怖いというよりも、
(モーフィングは皆大なり小なり気色の悪さがありますから)
描かれているものそのものが「これでもか!!」という位の怪物で、
怖くて気持ち悪いという事です。
それが変容してゆくわけですから、尚更怖いわけで・・・。
主人公のマリスちゃん(上の顔面どアップ画像)すら、妖怪そのもので、
ゲゲゲの鬼太郎に友情出演してもおかしくはないという感じです。
「悪趣味の極み」とはまさにこれの事でしょう。
音声も、ホラー映画そのものです。
「怖いものグロいもの大好き!!」という方だけご覧ください。
そうでない方は「自己責任で」と言っておきます。
実写で全く同じ題名の映画が2009年に公開されていますが、
無関係の様ですね。
http://www.imdb.com/title/tt0374853/
実写のは、一体どんな映画なのでしょうか?
ブログに敢えて貼らなかったDVDの画像には、
血の付いた弾痕が出ているので、
サスペンス映画なのは間違い無いと思います。
因みに「malice」という言葉には、
「悪意」「敵意」「意地悪」「恨み」などの意味が込められているそうです。
つまり、「ふしぎの国のアリス」(Alice in Wonderland)
に引っ掛けた“シャレ”と思われます。
注意したいところは、「Alice in Wonderland」というのは、
ディズニーによる長編アニメーションや派生的実写映画の題名で、
ルイス・キャロルによる原作の題名は「Alice's Adventures in Wonderland」
となっていて、ちょっと違います。
日本語の題名でも、原作の題名は「不思議の国のアリス」ですが、
それを基に作られたディズニー長編アニメーションは、
「ふしぎの国のアリス」という風に、
「不思議」という言葉が“ひらがな”になっている様です。
それから実は、ヴィンス・コリンズは、日本でも結構紹介され、
コアなファンもいる様で、mixiのコミュニティまで作られています。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=161497
《その他の国の、サイケアニメ作品》
アンドレアス・ヒュカーデ(Andreas Hykade)
は、ドイツのアニメーション作家です。
「愛と剽窃」(Love & Theft)
http://www.youtube.com/watch?v=x_d0cqn0xfs
「愛と剽窃」は、題名の通り、
よく知られたアニメのキャラクターの顔などが次々にモーフィングしていき、
それが段々とエスカレートしていきます。
気色悪さと、愛らしさが同居していて、所謂「キモカワ」「グロカワ」的です。
表現力が中々冴え渡っています。
アンドレアス・ヒュカーデさんのサイト↓
オリ・トア(Ori Toor)
は、名前の綴りからして、エストニアかフィンランド辺りだと思いましたが、
実は、イスラエルのアニメーション作家だそうです。
「昏睡したライオン」(Lion in a Coma)
http://www.youtube.com/watch?v=uawaDJ-b0_k
一言で言えば、
靉嘔の色遣いを虹の色に限定せずアニメーション化した様な感じでしょうか?
発音は「オリ・トア」で合っているのでしょうか?
こちらでその様に表記していますが・・・↓
http://white-screen.jp/2010/07/shortfilm.php
シェンカル工科デザイン大学(שנקר - בית ספר גבוה להנדסה ולעיצוב)
出身だそうです。
オリ・トアさんのサイト↓
アンスィス・ベールズィンシュ(Ansis Bērziņš)
は、ラトヴィアのアニメーション監督です。
不思議な猫、インドリチス13世(Indriķis XIII)が活躍する
「ファンタドロムス」(Fantadroms)
は、一部でもコアなファンがいる様です。
シリーズが幾つか制作されています。
既に弊ブログで紹介しています↓
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11599650216.html
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-10202156437.html
マーラ・リニニャ(Māra Liniņa)
も、ラトヴィアのアニメーション監督です。
「ラガイニーティスとムズィークスとブベスティーテ」
(Ragainītis, Mūziks un Bubesīte)
という作品は、トリッキーな描写が中々の隠れた傑作だと思います。
弊ブログで紹介済↓
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11104811240.html
ルァゼ(ローゼ)・スティエブラ(Roze Stiebra)
は、ダウカ・アニメーションスタジオ(Animācijas filmu studija Dauka)
を切り盛りしていた、ラトヴィアの女性アニメーション監督でしたが、
残念ながらつい数年前倒産してしまいました。
ドラッグ感覚溢れるトリッキーで幻想的な作品を幾つも制作していましたが、
中でも取り分け傑作と思われるものを紹介します。
「おとぎ話が敷居の上に座っている」(Sēd uz sliekšņa pasaciņa)
というシュルレアリスム的作品ですが、既に弊ブログで紹介しています↓
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-10203681049.html
プリート・パルン(Priit Pärn)
は、エストニアアニメーションの巨匠。
「ホテルE」(Hotel E)
は、パステルカラー調の狂った色彩感が、妙にお洒落?
http://www.youtube.com/watch?v=6JozqYbx6Xo
ヴァレリー・ウガロフ(Валерий Угаров)
は、ロシアのアニメーション作家です。
「秘密の小箱」(Шкатулка с секретом)
というアニメーションは、70年代という時代を反映してなのか?
色彩鮮やかなサイケ調。
リズミカルなテンポといい、歌といい、とても見応えありです。
既に弊ブログで紹介しています↓
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11616092855.html
他にも厖大な数のドラッグ・アニメーション、
サイケデリック・アニメーションがある様ですが、
キリが無いのでここまでにします。
《サイケアニメ上映会》
これも“ついで”の紹介なのですが、
『変態アニメーションナイト2014』
http://wonder.calf.jp/metamo_night/
という上映会が、現在日本全国巡業中だそうです。
これは観なければ!!
予告編
http://www.youtube.com/watch?v=nVg27oQtPA4
【関連エントリー】
うわァ~!猫(Eek! the Cat)1992-1997
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11522669455.html
ハシモトさん(Hashimoto-san, 1959)日系アメリカ人による知られざるアニメ
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11453863171.html
アニメ『ボビーの世界』(Bobby's World)より、日本を意識した場面