演劇 ライチ☆光クラブ 2025 | 世界の隅っこで読書するパンダ

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映画・舞台・ミュージカル等、実写化を重ねてきた『ライチ☆光クラブ』(原作マンガ : 古屋兎丸)。
今回の2025年版は、再びストレートプレイ。

これまで後追いしてきたけど、とうとう生身の「光クラブ」の面々を観れるチャンスだ!と 情報解禁早々にチケット取る決意を固めたのだった。

で、1月某日。
出来て1年の劇場 IMМ THEATER にて観劇。
席が端だったせいか、セットが邪魔して見切れることもあったけど、座席1列1列に段差があるので割りと見易い良い劇場です。



あくまで個人的な感想↓

真っ先に記してしまおう。脚本演出について。
原作物にオリジナルな解釈を加える作り方って、頭から否定なわけでは全然ないんだけど。
むしろそういうのが丸でない舞台化はつまらないとさえ思うんだけど。
だけど今回、彼らそれぞれの生き辛さに発達障害という名前を付けてしまったのは、私は少し残念だったかな。

タミヤ以外、確かにみんな生き辛いんだけどね。
でもどこにでもいる中学生だと、それぞれクラスに1人はいるタイプの子たちだと、そう捉えて原作を読んでたので。
ADHDであるとか実際そうなんだろうけど、きっぱり名付けて区別するのはどうにも蛇足に思えてしまった。
「ライチは昭和の物語だ」という、私の固定観念ゆえの違和感かも知れないけど。
でもほんとこれ個人的思案だから。逆に「明確化してくれてすっきりした」と感じた方もいるだろうし。


次に舞台美術
劇場に1歩踏み入った瞬間目に飛び込んできた舞台セットがともかく素晴らしかった。廃工場の階段も、散在する廃品も、独特な玉座もマンガのまんま。
螢光町の圧迫感が充満してて、もうすでにドキドキしてた…!

普通の中2病たちが、普通じゃない、悪魔的中2病ゼラに支配され、揃って破滅というか自滅の道を転がって行く物語。
14歳の混沌と美と残酷さが、廃工場の秘密基地で織りなしたグランギニョル。それが『ライチ☆光クラブ』なわけだけど。
まさしくこの目で観たことに、今さらながら感動してる。



そして特筆したい。彼らのビジュアル完成度について。
これまでの実写化のうちで1番レベルが高い、ほぼ完璧な気がする。

映画版のカノン(中条あやみ)とか、前舞台版のジャイボ(玉城裕規)とか、歌劇版のゼラ(中村倫也)とか――。
ぴったりなキャスティングって沢山あったけど、全体のビジュアル完成度は今回が最高値だと思う。


んで、最もそのものに思えたのがタミヤ(岐洲匠)だった。
タミヤに1番目が行ったのはこれまでで初めてだったんで、ちょっと自分的に意外だったな。
長身で見映えがしてヤンチャそうでもある。だけど目が優しい。
ヤッバ…めちゃめちゃ原作のタミヤ目の前にいるじゃん…! と何度も思った。

ゼラの独裁の中で善悪に激しく揺れ、葛藤するタミヤ。
しかし腹を決め、親友2人を奪われた復讐に現れる彼は、詰めは甘いがかっこいい。3次元(2.5次元か)でもやっぱしかっこいい。
てなわけで「2025版キャスティングぴったんこ賞」は岐洲タミヤにする。もう勝手に。


対してゼラ(牧島輝)は、原作以上に精神が不安定。
母親の愛を実は渇望していた的な深層心理が強く打ち出されていて、それは解釈違いでは決してないんだけど。
う〜〜ん。でも合ってる言い方かわからないけど、ゼラは「もっと馬鹿」というか……。 

こうなんつーか、誇大妄想と自己中心的欲望に支配されただけの、平たく言うと「浅はかで人間の心が不十分な子ども」として読んでたからなぁ。
良好ではない母子関係に悩み囚われるという、その回路はイマイチ機能不全なんだと勝手に思ってたので。

まーほんとあくまで全部自分勝手な解釈なので、今回のゼラを形作った演出を否定する気は全然なく、これはこれでいいのです。
ゼラの母が出てくる回想場面の不穏さ気持ち悪さにゾクゾクさせてもらったし。

そんなことより、牧島ゼラのビジュアルと喋り方!すごい好きだなっ!
冷た〜〜い、もう絶対零度な眼差しとか。癇癪おこして早口で捲し立てるとことか。めっちゃゼラだわー。


あとジャイボ(中山咲月)ね。
人形みたいに綺麗だった。
邪悪さはやや薄く見えたけども「きゃはっ!」も鮮血も似合ってて、とってもジャイボ。


その他
最後にドバーッと上から水が降ってくるやつ、マンガ通りで凄かったな!迫力だった!
血しぶきも景気よくブッシャーで。
ああ私『ライチ』を観てるじゃん…! って感でいっぱいになった。

そもそもロボットライチの造形が歴代ナンバーワンよ。顔面と衣裳、もう完璧ですよ。
そう考えるとこの舞台、細部が原作に忠実でとても真面目な演劇だった。
 


思った以上に現地観劇ならではの所感が持てて、やっぱ面倒がらずに足を運んでよかったな。
それと、IMМ THEATER とても気に入ったので、また何か観たいなー。