Tada's blog -11ページ目

露華(ろか)

【白露の日に】

 きらきらと光にきらめく露の美しいこと。
一面に露がおりていると、本当に花が咲いたようです。
 花にたとえられるだけではありません。宝石にたとえて「露珠」や「玉露」とも呼ばれます。
 昔、「露」と云えば、儚いものの代名詞でした。「露ほどの」と云えば「ほんの少しの」という意味です。特に、「露の命」「露の世」「露の身」など、命の儚さにたとえられることが多かったようです。
 いたずらに命の儚さを嘆いても仕方がありませんが、確かに、命は儚いもの。そして、その儚さを知った所から始まる物語もあるはずです。命の尊さ、時間の尊さも、その儚さを知っているからこそ、よりいっそう深まるものではないでしょうか。

桔梗(ききょう)

【朝露にも、夕影にも】

「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花

  萩が花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また 藤袴 朝顔の花」
                               (『万葉集』山上憶良)

 秋の七草に数えられる朝顔は、桔梗のことだと云われています。
 中世の頃は、漢名をそのまま音読みして「きちこう」と呼ばれていたようですが、
しだいに「ききょう」に変化しました。
 か細い茎に、和紙で作ったような一重のしゃんとした花びら。背筋をぴんと伸ばしたような、
楚々とした風情が漂います。

「朝顔は 朝露 負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけれ」
                               (『万葉集』よみ人しらず)

 朝から咲き続け、夕方にいっそうその艶を増す。
 見習いたいですね。

二日月(ふつかづき)

【今日から満ちていく】

 旧暦は新月から始まります。
 そして一夜明けると、眉より細い二日月が、夕方のほんの短い時間だけ見られることと思います。
 そして翌日の三日目の月が三日月です。弓なりの月は何でも三日月というのではないのですね。
 ほとんど月の姿を見ることができない新月から満月の十五夜へ。
 日に日に満ちていく月を見ながら、昔の人は、この時期を過ごしていたのですね。
 今にも消えてしまいそうに頼りない二日月。
 でも、やがて、少しずつ、満ちていくのだと思えば、心もに希望が満ちてくるような
気がしませんか?