Tada's blog -10ページ目

稲妻(いなずま)

【壮大なカップルが結ばれた瞬間】

 雷の多い年は豊作だと云われます。これは科学的にも証明されているそうです。
空気中の窒素が稲妻によってもたらされる雨に溶け、それが吸収されて、
肥料の役目を果たすとか。
 でも、昔の人は、雷には稲をはらませる力があるのだと考えていたそうです。
「いなずま」と呼ぶようになったのは、夫も妻も「つま」と呼んでいた古代、
「稲の夫」という意味で、「いなつま」それが濁って「いなづま」となったからだそうです。
ですから本来は「稲夫」が正しいのですが、江戸時代のころ間違えて「妻」という漢字が
当てられてしまったといわれます。
 はるかに広がる一面の水田。その空に一瞬ぴかっと走る稲光。それは、天と地との
壮大なカップルが結ばれた瞬間だったのですね。そして、その愛の結晶である稲を糧に、
私たちはずっとずっと生きています。

弟草(おとうとぐさ)

【花の兄弟】

 昔の人は、一年の中で他の花に先駆けて咲く梅を花の兄と考えました。
そして、遅れて咲く菊を、弟に見立てて弟草と呼んだのです。
 弟は、「乙人」が変化したもの。「乙」は、男女の別なく、若いことを意味します。
「乙女」もそうですし、浦島太郎に出てくる「乙姫様」も、きっと、妹の姫君だったのでしょう。
 9月9日は重陽の節句。杯に菊の花を浮かべ、宴を催したそうです。
 大菊、小菊、色も形もさまざまで、本当にたくさんの品種があります。
 寒くなっても、寒菊、冬菊と呼ばれながら、年の終わりまで楽しませてくれる花。
可愛い弟を愛でるように、古くから日本人に愛されてきたのですね。
威厳や、神々しさなども持ち合わせ、今では、桜と並んで日本の国花です。
 小さな弟が立派に成長した姿を見るような感覚がよぎります。

撫子(なでしこ)

【撫で撫でしたいほど】

 撫子の語源は、撫で撫でして、慈しみ、可愛がる子。それほどカワイイ花ということです。
 確かに淡いピンクの色合い、細い茎、花びらの切れ込みがそよぐ様子など、何とも言えない可愛らしさが漂っています。
 秋の七草に数えられ、歌に詠まれる時も、恋しい女性にたとえられることが多いようです。
 中国から入ってきた「唐撫子」(石竹)と区別するために、日本原産の撫子を「大和撫子」(河原撫子)といいます。
 そして、日本古来の美しさを備えた女性の代名詞ともなりました。
 最近、花の方の大和撫子は、唐撫子に押されて、あまり見かけなくなりましたが、女性の方がどうでしょうか。