地獄で会おうぜ、ベイビー

先日、生徒さんとお話をしていて、流れで私の学生時代の話になりました。

とても面白がってもらえたので、改めて皆さんにもシェアさせていただこうと思います。

山登りの途中のお茶休憩のようなつもりで読んでみてくださいね。

合間合間に時々連載を続けていくつもりです。

これは、ブレイクダンスに全てを費やした、ある男子学生の物語です。

私は一年間の浪人生活の末、中央大学文学部哲学科に入学しました。

いきなり言い訳がましいのですが、高校1年の終わり頃に、大失恋を経験し、心を複雑骨折してしまい、うつになってしまったのです。

そのため、そこから勉強が本当に全く手につかなくなり、やる気を出せば勉強のできるキャラだったはずが、学力も、成績も、受験を志すことすらおこがましいレベルになってしまいました。

ドラクエに例えると、レベル1のぶちスライムを倒すのにも苦労するレベルのくせに、ラスボス（受験）に戦いを挑むようなものです。

ぶちスライム

「なんやコラァ！！われぇ！！やるんかあ！！おお！？」

タカテル

「いや、その・・・。ごめんなさい。許してください。」

まさに無理ゲーです。

浪人したのには、そういう経緯がありました。

もし私がシュワちゃんみたいにターミネーターだったなら、たとえ大失恋という散弾銃で心を打たれても、痛くも痒くもなく、撃った女の子に対して、

「Hasta La Vista, baby.（地獄で会おうぜ、ベイビー）」

（Hasta La Vista はスペイン語。アスタラビスタ、ベイビーと読む。言わずと知れた「ターミネーター2」の名台詞。）

と言ってのけることが出来たのかもしれませんが、残念なことに、普通の高校生だったので、ただただ涙をこぼし続けることしか出来ませんでした。

『ターミネーター2』今見ても名作です。

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そんな私のもとに、未来の革命軍のリーダーから、ターミネーターが送り込まれて・・・

くるわけもなく、それまでバラ色だった高校生活が、一気に世紀末の世界へと暗転してしまったのです。

それは例えるならば、『サイレントヒル』で表世界から裏世界へ反転する時

表世界

↓

裏世界（周囲の生徒が瞬時に消え、自分一人だけ、血と錆に塗れ、醜悪な怪物が巣食う世界にワープさせられてしまう）

くらいのエグさであり、エグ過ぎて、EXILE（エグザイル）も全員モヒカンにして、バイクで逃走するくらいのレベルでした。

まさに世紀末・・・。

『サイレントヒル』を知らない方は、ホラーの名作なので、映画を観てもいいし、ゲームをやってもいいので、世界観に触れてみることをお勧めします。

あとは『北斗の拳』ですね。

スピに通ずるものがあるとかないとか、そんな噂がまことしやかに語られています。

どちらも秀逸ですよ。

話を戻します。

そもそも、何故、失恋でそんなにボロボロになってしまったのか、という話からしましょう。

私の通っていた、○○県のゲットー（強制収容所、という意味ではなく、HIPHOP文化の中では、ローカルであるとか、環境が恵まれていない、という意味で用いられることが多い。）に存在する私立高校は、中高一貫の学校でした。

そこで、私は中学1年の入学早々、運命の出会いを果たします。

1学年に5クラスあって、1クラス40人前後でしたから、大体200人くらいの人間がそこに集まっていたのですが、ある女の子に一目ぼれしてしまったのです。

いわば、その子以外の199人はモブキャラ（群衆として扱われるキャラクター。顔すらまともに描かれないことも多い。）です。

それは、とても品の良い子で、いかにも箱入りのお嬢様、という雰囲気の女子でした。

別に絶世の美少女というわけではなかったのですが、雰囲気に惚れてしまったのです。

なんと、彼女は、田舎のゲットー地域の学校に通う中学生でありながら、オペラを習っている！ということが後に判明しました。

中々ドープな趣味ですよね。(素晴らしい芸術だと思っていますし、オペラを否定するつもりは微塵もありませんが、ここは笑うところです。）

頭も良くて、常に成績は学年トップクラスで、喋ればウィットに富んだ素敵な会話が出来るという、当時の私にとってはもはや信仰対象でした。

ちょっと盛っています笑

そうそう、字も上手かったですね。

手紙もらうと嬉しかったなぁ・・・。

そういえば、霊感もあった子でした。

そんなところも含めて好きでした。

とにかく、この子のことが大好きで大好きでたまらなくなってしまったのです。

しかし、面白いくらいに相手にされませんでした笑

でも、大好き過ぎたので、何度フラれても、めげずにアタックしまくっていたのです。

そうしていたら、奇跡が起きました。

高校1年の夏休み明けくらいの時期に、オッケーがもらえたのです。

実に3年越しです。

つまり、

「付き合ってもいいよ。」

と言われたのです！

もう、天にも昇る気持ちとはこのことでした。

悲願が叶うと、人間は見えている世界が5次元にアセンションするのですね。

（蛇足ですが、空間物理の専門家に、スピでよく言う〇〇次元という話をすると鼻で笑われます。君らは、ここではないどこか別の世界という意味で使っているが、どの次元にも正確な定義が存在する。恥ずかしいから、勉強してから次元論を口にしなさい、と。11次元の使者というような表現も、爆笑必至だそうです。本当に、言葉には気を付けたいですね。）

誇張ではなく、胡蝶の夢でもなく、そのメールをもらった瞬間から（当時はガラケーで、LINEも無かったですから、携帯に届く彼女からのメールに、文字通り一喜一憂していました。即返事を返せるように、肌身離さず持ち歩いていましたね。今思うと、ちょっと気持ち悪いですね笑）モノクロだった視界が、4K映像に切り替わるのです。

嬉しすぎて、奇声を上げつつ全力でジャンプしたら首の筋がつってしまったほどです笑

3年以上ずーっと大好きだった女の子と付き合えたのです。

そりゃ喜ばないほうが無理ってものですよね。

次の日から、ほぼ毎日一緒に帰ったり、休みの日にはデートしたり、部活終わりの彼女を迎えに行ったり、年賀状を送りあったり、バラ色としか言いようのない日々でした。

今、31歳の私からすると、これを書いていると、まるで隠れて少女漫画を読んでいるかのようで、こっぱずかしくて堪らないのですが、このくだりはもうすぐ終わるので、あと少しだけお付き合いください。

（ちなみに、少女漫画では『君に届け』が好きです。勇気を出して正直に書きました。引かないでくださいね。）

しかし、幸せな日々はそう長くは続かなかったのです。

私は、好きだという感情が暴走しすぎて、この時から既にどこかおかしくなっていたのです。

具体的には、幸せで堪らないのに、これがいつか無くなってしまったらどうしよう、という怖れを常に表裏一体で感じていたのです。

そういう私の気持ちが重すぎた、と彼女は言っていました。

付き合い始めてから、3カ月ほどたったある日、

「お友達に戻りましょう？」

と言われてしまったのです。

私にとっては死刑宣告でした。

いつかくると思っていたら、来てしまったのです。

その瞬間から、私の人生はモノクロの静止した世界へと変化しました。

女々しく、毎日毎日泣いていました。

家で引きこもっていたかったですが、父に家から叩きだされるので、仕方なく学校へ行っていました。

しかし、最早生ける屍状態ですから、1限から最後まで、机に突っ伏しているだけでした。

授業の内容も、友達の声も、耳に入ってきません。

聞こえてはいるものの、右から左にすり抜けていくのです。

あまりにもオープンに付き合っていたので、なんなら私と彼女が別れたということを全校生徒が知っているんじゃないか、というレベルでした。

しかし、私があまりにも悲壮な落ち込み方をしているので、みんなネタにすることすらしない、触れられない、というお通夜のような空気感だったのです。

一人、最低な現代文の教員（男）だけが

「お前～！〇〇と別れたんだって～？？もうあの子に話しかけたりするなよぉ！そもそもお前なんかがあの子と付き合えるなんておかしいんだからな！」

と、およそ教師とは思えないようなdisを投げかけてきました。

そのままラップバトルに突入！

ということはなく、ヤツの辛辣な言葉たちが心に突き刺さったものの、屍だったので、何も言い返せませんでした。

彼女からは嫌がられていましたが、多分この教師は彼女のことが好きだったのでしょう。

それは個人の勝手ですが、人間的に教師になる資格の無い人というのも存在するのだな、ということを教えてもらって、良い勉強になりました。

高校には広場に大きな池があったのですが、心身共に健康になってバリバリにブレイクダンスをしていた大学時代に、もしも同じことがあったら、確実に沈めていたでしょう笑

怒りのあまり、胸に七つの傷の男（ケンシロウ）に変身していたかもしれません。

口が裂けても、そんなことを傷ついている人に向かって偉そうに宣うような残念な生き物にはなりたくないですね。

そんな状態が1年以上続いたある日、友達の一人がこう提案してきたのです。

「タカテルさぁ。お前このまま放っといたら本当に死んじゃいそうだよ。辛いのはわかるけど、何かしようぜ！気分を変えるんだよ！そうだ、俺たち一応進学校だから、今年で文化祭最後じゃん。そこで一旗あげようぜ！」

ハッキリ言って、全く興味が湧きませんでしたが、友達の想いが嬉しかったので、とりあえず話を聴いてみることにしたのです。

当時、スーパーチャンプルというダンスの深夜番組が流行っていました。

彼は、その中で観た、ブレイクダンスというアクロバティックな踊りに魅了されていたのです。

それをやろう、ということでした。

そうは言っても、茨城のド田舎ですから、そんな酔狂なものを教えてくれる人も、経験のある人間もいません。

HIPHOPのクラシックとしても知られる、吉幾三の『俺ら東京さ行ぐだ』レベルの田舎です。

テレビも無エ♪　ラジオも無エ♪　自動車もそれほど走って無エ♪

そんな環境ですから、どうせ形になんてなりっこない、と思っていましたが、暇つぶしのような感覚で、彼の計画のメンバーに加えてもらうことにしました。

しかし、これが私の人生の大きな転機になるとは、この時はまだ知る由も無かったのです。

『ブレイクダンスで失恋をブレイクする　～I’ll be back～』前回の記事「地獄で会おうぜ、ベイビー」https://ameblo.jp/spiritual-b-boy/entry-12532988978.htm…

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へ続きます。

読んでいただき、ありがとうございます。

ps.私の実体験を赤裸々に綴っていますが、読んで笑ってもらえたら何よりです。

もしかしたら、失恋で辛い気持ちをしている人や、人生の壁にぶつかって苦しんでいる人もいるかもしれません。

少しでもヒントになれば幸いです。

こんなに打たれ弱い少年でも、人生が面白い！と思えるようになりました。

時間は、偉大なヒーラーであると同時に、導きのマスターでもありますね。