その1の続きです。


今度は表地の初着の検品です。
京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~  まず袖畳みにします。衿は手前に。

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ そうすれば左前袖全体を見ることができます。画像中央にかなり濃いシミがありますね。

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ ピラっとめくれば左後袖と右後袖を見ることができます。

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~  袖山付近にシミがありますね!!

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ もう一度めくると今度は右前袖とした前身頃を見ることができます。

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ 右前袖にシミ発見!!

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ 下前身頃はどうかな~?

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ 衿の近くに黄変発見!!

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ ひっくり返したら上前身頃です。

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~  こちらにもかなり濃いシミがありました。っとこれは色の濃さと形が左前袖についていたものと似ています。畳んだ状態で黄変ジミが発生して打ち合ったことが想像できます。

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ 紐の近くにもシミ発見!!

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~  近くで見ると何かがついたまま変色しているようです。


京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ 次は上前身頃です。




京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~  松葉の近くに黄変がありました!!


京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ すそのほうは・・・


京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ ぼかしの境近くにシミ発見!!



京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ すそにも何やらあります。


京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ 何かついてます。これは洗えばすぐに取れそうですね(≡^∇^≡)


京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ さて、後身頃です。何度見ても立派な刺繍ですね!!これが作られたころは機械も普及してなかったころなので手縫いなんでしょうね。

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~ 羽の近くに黄変がある程度でほかに目立つシミは無さそうです。



これで初着と下着の検品が終わりました。
その1にも書きましたがここで2~3日虫干ししておきます。


京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~  これは玄関から作業場のほうに向いて写真を撮ったものです。

京都の職人のひとりごと ~伝統工芸士・一級染色補正士・きもの職人ぜんきちの奮闘記~  これは作業場から玄関に向かって写真を撮ったものでこのように廊下になってます。
なので、直射日光は絶対に入らないし玄関の戸の開け閉めと作業場への人の動きで空気が流動します。
これで生地に付着した防虫剤の薬品を蒸発させたり、水分含有量を本来の状態に戻したり、いわゆるリセットをします。
これが結構重要な工程なんです。

以前に踊りの会で同じ時に着物を作られて踊りの発表会の後シミ落としに出されました。
納期的な時間がなかったのですぐに作業を始めました。
そしたら同じ着物のはずなのに薬品の反応がまったく違うのです。
一枚は発表会まで防虫剤とにおい袋の入った箪笥に入ったまま。
もう一枚は発表会前日に衣文掛けに吊るされていたものでした。
防虫剤の箪笥に入っていた着物は薬品にかなり反応を示しましたので(生地が弱っていく)かなり効力の弱い薬品を使用しなければなりませんでした。当然、きれいにならずできるだけでの処置ということで納品しました。
もう一枚のほうはまったく何事もなくきれいに直って納品しました。そうしたら、箪笥に入っていた方のほうの着物がクレームで帰ってきたのです(;^_^A
先方にはこれ以上は生地がもたないので直らないと言ったのですが、もう一枚のほうがきれいに直っているのでそんなことはないと聞いてもらえませんでした。
仕方がないので処置しないといけませんが抱えている商品が手一杯ですぐにはかかれませんでした。
しわになってもいけないのでしばらく吊って置いておきました。
5日ほど経ってようやく作業できるようになったので薬品耐久テストを行ったところなんと普通より効力のある薬品が使用できたのです。これにはびっくりしましたあせる
なぜそうなったのか理由を考えたりしましたがしばらくは分かりませんでした。
ある日、カビ黄変だらけの白い襦袢が見積もりで来ました。一通り検品を済ませ(見積もりなのですぐに金額を出さないといけないので)一部分で薬品テストをしましたが結果は黄変が落ちませんでした。
見積もりの連絡をして襦袢を畳んで保留しておくとカビが進行する恐れがあるので虫干しついでに吊っておきました。一週間してから実行(見積もりOK)の連絡があり作業に取り掛かるとなんと以前落ちなかった黄変がきれいに落ちるんです。
この時に踊りの着物がなぜ後になってから普通に処理できるようになったのか分かりました。
虫干しの重要性を認識しましたね~ニコニコ
これ以来必ず納期のある着物は虫干しを行ってから作業しています。するのとしないのとでは大違いですからね(=⌒▽⌒=)


次の工程としては漂白剤による生地の耐久テストですがどうなりますかね~?






 

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