晴れの特異日が続くのが10月と思っていたのに、今年は雨が続き寒くなりました。もう暖房を使ってしまいました。
3日に雪組のライブビューイングに行って、休憩時間と何回も続いた最後のご挨拶に疲れてしまい、いまはやりのライブ配信をしてみよう思い立ちました。
パソコンで見るのはしんどすぎるのでテレビで見られるようパソコンとテレビ繋ぎました。先ずは今日から開演のカチャさん(凪七瑠海)コンサート購入してみました。一幕40分なので小手調べにはいいかなと思います![]()
楽しめるといいのですが・・・楽しめると信じて・・・![]()
9月に読んだ本をアップしたいと思います![]()
45)新章文子著『名も知らぬ夫;昭和ミステリールネサンス』
“高度経済成長期に発表された推理小説を・・(中略)・・集めた復刻シリーズ”初出が1959年~1965年の作品8編収録。
この新章文子さんはナント!もとタカラジェンヌさん![]()
「1922年生まれ。1939年宝塚音楽舞踊学校に入学。同期に淡島千景、久慈あさみがいる。1943年歌劇団退団。」ちなみに「同じことの繰り返しがやりきれなく」て退団されたようです。
「併殺(ダブルプレー)」「ある老婆の死」「悪い峠」「奥様は今日も」「名も知らぬ夫」「少女と血」「年下の亭主」「不安の庭」の8編。
女性が主人公で、悪い人やおかしな人だけれど憎めない、いやらしさが無く面白く読めた。お金の価値が違う今読んでもその面白さに共感できる。古さを感じさせない不思議で魅力的な短編集だった。
46)岡田鯱彦著『薫大将と匂の宮』
初出が昭和25(1950)年で、それから何度か再版された、そして約20年ぶりの新版本。
表題作以外に『艶説清少納言』『「六条の御息所」誕生』『コイの味』の短編とエッセイで構成されている。
著者は日本古典文学研究者で大学の教授も務め、平成5(1993)年没。
『薫大将と匂の宮』は非常に面白い作品だった。
『源氏物語』後半の宇治十帖の半端な終わり方感にモヤモヤを感じていた研究者の私。その私が古本屋で手に入れたものはその宇治十帖の続編だった!
その内容は還俗し薫の妻となった浮舟と中君・匂の宮の連続変死!自殺か殺人か?殺人なら犯人は?推理する紫式部と清少納言。
これは最古の探偵小説かっ⁉
やー
すごく面白かった。薫と匂の宮の人間性が魅力的に良く書き込まれていて、これなら好きになれそうと思ってしまった。
作中の紫式部が薫推しなのが楽しく読めた原因かな?
70年経っても決して古ぼけない内容で、絶版にならなくて今読めてすごく幸せに思った。
鈴木朱雀氏の挿絵がまた素晴らしく、小説と共にすごく楽しめた。
47)一色さゆり著『絵に隠された記憶;熊沢アート心療所の謎解きカルテ』
臨床心理士の資格を取り、スクールカウンセラーを目指している大学院1年生の日向聡子。インターンシップとして現場を見たほうが良いと勧められ、熊沢アート心療所でインターンをすることになった。ここはアートセラピーを専門とした心療所。
所長の熊沢にカウンセラーの飯塚。そして患者として電車ばかり描くタケル、飛行機恐怖症の佐々木、花の名前に詳しい認知症のカヨ、ユニコーン好きの百葉に、特別養子縁組の瑞穂・凛音母子などの心療所に通う人々と交わり、彼らの描いた絵から悩みや本心を見抜く熊沢。その姿見つめながら、自分自身の思い出せない過去と向き合う聡子。
聡子が幼稚園の時描いた絵のデータ(実物はなく保存用に作っていたCDのコピー)を受け取り、それを見た時ある記憶が鮮明によみがえる!
東京藝大出身で、学芸員でもある著者だから書けた作品だと思う。
実際はこんなに簡単にはいかないだろうと思われるセラピーだが、心温かくなる優しい物語だった。
48)米澤穂信著『Iの悲劇』
とっても面白かった。
誰も住む人のいなくなった南はかま市蓑石地区。市長は目玉政策として「Iターン支援推進プロジェクト」を立ち上げ蓑石に移住者を募った。
担当は西野課長・万願寺邦和・観山遊香の3人からなる「甦り課」。
移住者募集に第1陣として2家族応募。移住者同士のトラブルありで1ヵ月でどちらも転出。
第2陣は10世帯応募。鯉の養殖を夢見る人、素人歴史研究家、病弱な子供を抱えた家族等々。盛り上がるかと思われた移住生活だが、やっぱりトラブル勃発で結局・・・一人二人と去って行きやがて誰も!?
でも万願寺は気付いた!このトラブルには仕掛け人がいたことに!
仕掛け人の言葉が胸に刺さる。
それは悲劇か!喜劇か!
どこの地方でもありそうでなさそうで、移住生活をこんな面白物語にしてしまう米澤穂信。すごいなぁ![]()
“今もっとも新作が待ち望まれる作家”ってわかるわ![]()
49)宮部みゆき著『昨日がなければ明日もない』
杉村三郎シリーズの最新版
杉村探偵事務所での3件の仕事の物語。
絶対零度:杉村探偵事務所 記念すべき10人目の依頼人筥崎静子の依頼。嫁いだ娘が自殺未遂をして音信不通になったので娘のことが知りたいとの調査依頼。
娘の夫を調べていくうちにとんでもないパワハラ集団と中心人物を知ることに・・・。
華燭:探偵事務所の大家さん竹中家の夫人の知り合いで、駅前でオートバイ専門店を商う店の奥さんから、従姉の結婚式に出席する娘の付き添いを頼まれる。
結婚式場に行ってみると大混乱!何があったのか⁉
昨日がなければ明日もない:竹中(大家さん)家で同居している長男の嫁と娘から小学校の同級生の母子の話を聞かされた。
その母親がチョー問題ありで子も子だという。その母親から杉村に相談が持ち込まれた。
ほっとけないと思った杉村は承知し調査をすることに・・・。
1作目「絶対・・」と3作目「昨日が・・」は、やりきれない思いにとらわれた作品だった。悪いのは絶対相手なのに殺してしまう。そうすると殺人者となり、いくら仕方ないことだと認識されても罪を償わなければならないし、その後人生は辛いものとなってしまう。そんな理不尽なこと!
私は、小説は読後幸せ感を感じさせてくれるものが好き。
折角の宮部みゆきさんだったけれど、結末にガッカリさせられてしまった。
50)岡本貴也著『運命の人を見つけた、ら』
2016年、僕、竹田融、34歳。いつも一目惚れするけれど、相手に全然伝わらず恋人いない歴○○年。思い切って婚活パーティーに参加。そこでカメラマン篠木杏莉と出会う。彼女こそ運命の人⁉
出会いがあったのか無かったのか、わからないまま職場でCTスキャナーのテストを受けると・・・・あららら、21年前にタイムスリップしちゃった!
1995年、中学生2年生13歳に舞い戻った僕はそこからまた新たな人生を歩むことに・・・。体は中学生、知識は34歳。モテモテの優秀児になっていた。ついに憧れの医師となる。そして杏莉と出会う!!!!!
こちらの世界での人生が進んでいくのかと思いきや、結局また2016年に舞い戻ることに!
うぉぉぉ何この小説。
面白いと言っちゃぁ面白い?ハッピーエンドと言やぁハッピーエンド?
でも、心底楽しむには私は歳を取りすぎてるかな![]()
51)篠綾子著『岐山の蝶』
信長の正室、斎藤道三の娘・帰蝶の著者独自に作り上げた物語。
帰蝶には占い師の予言により寺に預けられた姉きよがいた。というとこらから始まる。
光秀に寄せるほのかな好意。信長との結婚。子に恵まれず「自分だけの、自分にしかできない生き方がしたい」と新たな一歩を踏み出す帰蝶を描く。
京で商売を始めるというのが新しい生き方というのにはちょっと違和感を持ったが、最後は信長と死を共にすることで納得できた終わりかたで良かったと思った。
信長と帰蝶は色々な小説や映画・テレビドラマになっており、どこまで真実か分からないし、小説にするにも場面設定は誰かの小説の引用かもわからない。これを独自の小説に仕上げるのは困難なことだと思う。
新しい帰蝶像を作り上げるのは余程の覚悟が必要なのではと思った読後感だった。