コロナ感染者数の増加傾向怖ろしいですね。
今日、コンビニに行き、ひょいとコンビニの食事スペースを見たら
狭い空間でマスクなしで食べながらおしゃべりしている人多数
コロナは飛沫感染だから、一番リスキーな行動ですね。
怖ろしいわ
ワクチンのニュースに、もう少しの我慢とやっぱり自重を心掛けたいですね
10月に読んだ本のアップです
52)一色さゆり著『ピカソになれない私たち』
国立東京美術大学油画科四回生、猪上詩乃・汐田望音・中尾和美・小野山太郎の4人は森本ゼミに身を置き卒業を目指すことに。
課題が山と出て厳しい評価が下されるゼミで四苦八苦しながら卒業制作に挑む。
国立大学唯一の美術の大学。当然目指すのは画家として独り立ちすること。そこに身を置く美大生4人の個性とプライドと生活が描かれている。
感性と才能がすべての世界。才能あるものが努力を重ねることで生み出され、自己満足だけでなく見る人をも感動させなくては優れた作品とは言えない。
他の人に対する憧れや妬み、自身の個性と自信が揺らめきながらゼミ活動と卒業制作に挑む4人の青春が繊細な宝石のように感じられた小説だった。
ピカソなんて世紀に1人出るか出ないかの大天才。
その大天才を目指して絵画制作に挑む芸術家の卵たちの苦悶と葛藤の青春に幸あれと祈りたくなった。
東京藝大美術学部卒業、現在学芸員として働きながら執筆活動を続ける著者の作品。原田マハとはまた違った美術小説で、とても興味深く大変面白く読めた。
53)三上延著『ビブリア古書堂の事件手帖;扉子と不思議な客人たち』
篠川栞子と五浦大輔が結婚してビブリア古書堂の物語は終わったのかと思っていたら、栞子と大輔に扉子ちゃんが生れていて物語が続いていました。
ちなみに大輔は篠川大輔になっていました。
今は栞子・大輔交互に栞子の母・智恵子から洋古書の売買を学ぶため智恵子のいる海外へ出かけている様子。
栞子に似て本好きで本に関する勘が鋭い扉子6歳。栞子より活発で自我が強そうに思える扉子に、栞子が語る古書とその古書に関わる人たちにまつわるお話4話。
「からたちの花 北原白秋童謡集」「俺と母さんの思い出の本」「雪の断章」「王様の背中」。童謡にゲーム本に推理小説そして手刷り版画付き特製本。
古書と人の想いに心揺さぶられながら読み終えた。
次回から扉子ちゃんが中心の物語になるみたいです。
続けて読んでみたいと思っています。
54)小暮夕紀子著『タイガー理髪店心中』
老境を描いた小説を「玄冬小説」というそうです。
その玄冬小説2編が収まった作品。
タイガー理髪店心中:理髪店を営む村田寅雄83歳。父親の理髪店を継いで、60年前に結婚した妻寧子と共に現役で仕事をしている。
その寧子に最近おかしな行動がみられるようになる。
夫婦は一人息子を近所の山の上に掘られた穴に落ちて亡くしていた。その穴は寅雄が子どもの時、友達をイジメるため掘った穴だった。
突然、寧子はその穴に通うという行動に出る。目が離せない寅雄!
残暑のゆくえ:夫の須賀夫99歳。妻日出代75歳。日出代は夫の営むアパート兼自宅の一角を改装して食堂を営業している。
小さな食堂は近くのセメント工場とコンクリート工場に勤める社員の胃袋を満たしている。
99歳の須賀夫は時々狂ったように夜中に叫び声を上げ、妻に暴力を振るう。彼は満州からの復員兵で誰にも言えない悲惨な体験をしていた。
年齢を重ねるということ、年を取ることは必ずしも幸せとを限らないとは考えているが、一生背負っていかなければならない悲しみや苦しみ、悲惨な体験は例え認知症になっても忘れないという。とても辛いことだと思う。そういう体験が国によって決して与えられないでほしいと願う。
考えなければいけないことだと思うが、小説読むならもっと楽しいものを読みたいと思った。
55)島田雅彦著『スノードロップ』
“私は東京の空虚な中心に広がる森に住む憂いの皇后。ハンドルネームはスノードロップ。さあ、「ダークネット」を駆使し、「令和の改新」を実行すべき時が来た・・・”(新聞広告より)
禁断の「皇室小説」?夢見る皇后不二子の改革とは?
どんなんだろうと興味を持って読み始めましたが、残念ながらそれほど面白く感じませんでした。
身近なことでなくて、想像できなくて、絶対にありえないと思ってしまって・・・小説だから?フィクションだから?だったらもっと面白くてもいいんじゃない!もっとぶっ飛んでてもいいんじゃない!と思ってしまいました。
56)青柳碧人著『むかしむかしあるところに、死体がありました。』
あー面白かった
「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の5編からなる短編集。
書名で分かるようによく知っている日本昔話「一寸法師」「花咲かじいさん」「鶴の恩返し」「浦島太郎」「桃太郎」の人物が登場する民話ミステリー。
まるで市原悦子や常田富士夫の語りを聞いているような書きぶりでどんどん読むことができた。
日本昔話だといい人優しい人が、この物語では殺されたり犯人だったり、はたまた悪人
昔話では、絶対的なその教訓が覆されたりと著者の発想に驚かされる。
その奇抜な書名と共に十分楽しむことができた作品だった。
57)冨士本由紀著『愛する いのち、いらない いのち』
命の選別は良くない!と良識のある人に怒られそうな書名ですが、読んで納得。主人公の気持ちにとても共感しました。
59歳間近の御国文音(みくにふみお)。来年は還暦。
母親の再婚相手で養父二階堂一(にかいどうはじめ)は92歳。文音の母は亡くなっており出雲で一人住む。重度の糖尿病患者であり軽度の認知症があり要介護1の認定を受ける。
文音は、つい先月結婚して御国姓になったばかり。夫の和倫はもと売れっ子のクリエーターで活躍していたのだが、信頼していた人に騙されすべてを無くしやる気も無くし文音の扶養家族となっている。文音の働きと貯金で暮らす。
父の施設入り、ゴミ屋敷と化した実家の手入れなどで横浜と出雲を往復する文音。
ある日、夫の和倫に癌が見つかる。
父の入所している施設からは父の行動でクレームが入り、やりきれない想いを抱く文音。
父と夫の命をついつい天秤にかけてしまう文音。
文音の嘆き・怒りを誰が咎められようか。私は大いに共感した。
やがて・・・・・。
1人になってしまった文音の幸せを願ってやまない。