12月になりました。コロナ感染数が増大し医療危機が叫ばれています![]()
2月頃から話題になり始め、暑い夏を越し、これで2020年も終わりだという月に第3波!落ち着かない年でした![]()
来年にはワクチン・治療薬が揃い安心して過ごせる日々が来ますようにと祈らずにはいられません![]()
11月の読書をアップします![]()
58)辻村深月著『ツナグ;想い人の心得』
使者と書いてツナグと読む。『この世』の人の依頼で『あの世』の死者に会わせる仕事。7年前祖母から使者の仕事を引き継いだ渋谷歩美。前回高校生だった歩美は大学を卒業し、木材を使ったおもちゃメーカー「つみきの森」に勤務しながら使者の仕事をしている。
前回も感動の作品だったが、今回それを上回る大感動の作品だった。
プロポーズの心得:依頼者は若手俳優で戦隊モノで子供に人気の紙谷ゆずる。友達の手引きをしたいとの依頼だったが、それは出来ないと知り自分の父親と会うことに。顔も知らない間に死に、母の苦労をなじりたいと。会ったゆずるは・・・。
祖母の実家秋山家の当主杏奈ちゃんが歩美に頼まれて使者の仕事をします。
歴史研究の心得:依頼人は元教員の鮫川幸平。郷土史研究をしている。郷土新潟の名士で戦国時代の武将上川岳満。歴史上の人物
彼が残した短歌の真意を知りたいと。
母の心得:依頼人は重田彰一・実里夫婦(死者と会うのは実里)と小笠原時子。それぞれ長女。実里は6歳で海で亡くなった芽生、時子は26歳で乳がんで亡くなった瑛子。
“母親は自分の子供のことはなんでも自分に責任があると思う”“丈夫に生んであげられなかったとか母親は子供の不幸は自分の責任だと思う”母親の子を思う気持ちがストレートに書かれていて、一人で読んでいたのでこれ幸いと大号泣してしまった。
一人娘の心得:歩美の初仕事木の亀のおもちゃでお世話になった鶏野工房の大将が亡くなった。娘・奈緒の父親から了解を取れなかった仕事への引継ぎと想い。奈緒のことを考えると大将に会わせたいと思ってしまう歩美。諭す杏奈。奈緒の決意。
想い人の心得:今年85歳の蜂谷茂の何回目かの依頼。断られても断られても何年かおきに依頼がある。相手は若い時に修行をさせてもらった料亭のお嬢さま絢子。85歳と聞いてやっとOKされた。85歳の蜂谷と16歳の絢子。桜の花を見せたかったと語る蜂谷。
ツナグとしての仕事と歩美としての仕事。歩美のほのかな想い。どれも心に響き染み渡る。
奈緒のことを考えると“歩美がもし結婚したら、その相手には何でも話せるといいね。使者のお務めをしていることも・・・”の祖母の言葉を思い出す歩美。
2人の恋愛がどうぞ成就しますようにと思わず祈ってました。
59)米澤穂信著『巴里マカロンの謎』
小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、危ういときにはお互いを言い訳に使うという互恵関係のある高校生。
巴里(パリ)マカロンの謎:スイーツ好きの小佐内さんに誘われて名古屋に新しくできたマカロンのお店に来た2人。有名なパティシエ古城春臣のお店。任されているのは田坂瑠璃子で、古城の婚約者。小佐内さんの頼んだお皿に3つのはずが4つ乗っているマカロン。どういうこと?
紐育(ニューヨーク)チーズケーキの謎:マカロン店で知り合った古城の娘秋桜(コスモス)。その秋桜が通う私立中学校の文化祭に出かけた2人。お菓子同好会でチーズケーキが食べられるとのこと。その文化祭で小佐内さんが拉致された!
伯林(ベルリン)あげぱんの謎:常悟朗が新聞部にアンケートの回答を提出しに行った。そこではマスタードの入った激辛揚げパンを食べた人が次の記事を書くというゲームをしていた。しかし皆美味しかったと言っている。どうして?誰か嘘ついている?真相究明に挑む小鳩くん!
花府(フィレンツェ)シュークリームの謎:お正月小鳩くんと小佐内さんが甘味処で御膳しること田舎栗しるこを食べていると、停学になったと古城秋桜から電話が入る。パーティーでシャンパンを飲んだというのが停学理由とのこと。そんなパーティーに出ていないという秋桜。真相を調べる2人。
小鳩くんの観察力と推理力が素晴らしい。それに2人の関係もとてもいいし、日常のなかでおきるスイーツがらみの謎の小さな出来事というのが可愛いと感じた推理小説だった。
60)こかじさら著『それでも、僕は前に進むことにした』
映像制作会社共映エンタープライスCM部AD岡本勘太郎。CM大好き、老若男女口ずさめるCM制作目指して邁進中。
毎日夢中でCMの事しか頭になく一生懸命に頑張る日々。その勘太郎にある日「網膜色素変性症」という難病がふりかかる。だんだん視野が狭くなっていきいずれ視力を失い、現状では根本的治療法が無いというもの。
目が命と言える今の仕事。絶望する勘太郎。しかし・・・。
そう簡単にはいかないだろうと思いながらも、目標に向かって前向きな勘太郎の姿とそれを支え共に歩む人々に嬉しくなり、こういうポジティブな物語はいいなぁと思った。
61)有栖川有栖著『幽霊刑事(デカ)』
来年の3月の宝塚バウホール月組公演『幽霊刑事』の原作を読んでみた。今のところ決まっている配役は幽霊刑事・神崎達也は珠ちゃん(珠城りょう)で、相手役祖母がイタコの霊媒刑事・早川篤にちなっちゃん(鳳月杏)。面白そうですが、バウでチケットが取れるとは思えないし、宝塚まで行くのには躊躇しますね。
神崎が突然上司の経堂課長に射殺されるところらから物語はスタート。結婚を控えた愛する森須磨子への未練。と、なぜ殺されたか?殺した経堂に対する憎しみから幽霊になった神崎。幽霊が見え話すことができる後輩刑事早川と共に殺された真相を探り、経堂を逮捕しようと。そのうちその経堂も殺される!
そして真犯人をとらえた時、神崎も成仏しこの世からあの世へ・・・。
長い物語だったが、中だるみすることなく面白く読み終えた。が、真犯人が分かる時や殺された理由にちょっと強引さを感じた。
宝塚ではどんな物語になるのかがすごく楽しみです。あとの配役も楽しみ。須磨子役は誰なのかな?
ライブ配信で見ようかなと思っています。
早川刑事のスピンオフ作品「幻の娘」付。
幻の娘:事件が解決し、神崎があの世へ旅立ってから2年後。早川は殺人事件で逮捕した洞口の証言の裏を取っていた。その洞口が目撃者と証言した娘は既に死んでいた。
洞口も霊視できる?早川はその娘に会ってみることに・・・。
短編だったが、死んだ娘がこの世に現れる理由が切なく、とても心に染み入るストーリーだった。
作品としては「幻の娘」の方が面白かった![]()