先月のブログは去年12月に読んだ本の記録のみ。
今月のブログも先月1月に読んだ本のこれ1本になるかもです。
観劇の予定も2月には無く、3月に月組予定が2日入っているのですが公演自体がどうなるのか予測できないですね
それにコロナワクチン3回目接種も接種券すらまだ届いていません。
鼻マスクで道を歩きながら大きな声スマホでしゃべっている人、マスクを付けずはぁはぁと息を吐きながらランニングしている人。横を通る時申し訳ないですが顔をしかめてしまいました
確かコロナが流行りだしたときランニングの時マスクしなくてよいと言われてましたが、このオミクロン株は感染しやすいという特徴があるので人の横を走り抜ける時は配慮をお願いしたいです
1月に読んだ本のアップです
1)山本文緒著『落花流水』
7歳だった1967年から2027年67歳まで10年ごとに綴られる手毬の物語。
それぞれの物語の主人公は手毬でありながら、語りは手毬の関係者というちょっと面白い構成。
人の温もりを知りながらも自由奔放に生き、子供や家族の迷惑は省みない。子供が居ようと旦那が居ようと自分の愛のままに行動する。波乱万丈な生き方を厭わない手毬。
登場人物も個性的で面白いが・・・。
10年ごとの物語は確かに面白く読めたが、こういう人物が好きか?と聞かれたら私は苦手。近くに居てほしくはないなぁと思う。
でも小説だから楽しませてくれる要素はあったと思う。
2)原田マハ著『キネマの神様』
新型コロナでお亡くなりになった志村けんさん主演、山田洋次監督で映画化する予定だった作品。志村けんさんの代わりにジュリー(沢田研二)でクランクイン。撮影時間が伸びたものの去年の8月に公開されたとのこと。私は気が付かず映画を見ることができませんでした。
今、この小説を読み終えて、映画を見られなかったことが残念でなりません。
原田マハさんが自分の父親をモデルにこの小説を書いたとのことです。
ギャンブル好きで借金を重ねどうしようもない方だったようです。が、映画愛だけは本物で、誰にも負けない想いがあった“映画館にはキネマの神さまがいる”と・・・。
有名再開発企業の課長職をつまらないゴシップのためになげうって退職した歩(あゆみ)。父親円山郷直(ゴウさん)やゴウの友達で個人映画館を経営するカーネルサンダー似のテラシンと交わり、益々映画の魅力に取りつかれていく。そんな歩がひょんなことから傾きかけの映画雑誌社で働くことに・・・。
ここからの展開がすごく面白かった!
ゴウとアメリカの伝説の映画評論家とのブログのやり取りが心に染みわたる。
テラシンの映画館を守ろうと立ち上がる人々の様子に心が温まる。
最後のシーンで登場人物がみんなで見る思い出の映画は「ニュー・シネマ・パラダイス」。私も見たい!!!!!
“この世に映画がある限り、人々は映画館に出かけて行くだろう”
この一文が全てですね。
3)浮穴みみ著『小さい予言者』
図書館の新着棚に置かれていたのをカバーの絵に目が留まり借りました。著者も知らない内容も皆目分からないまま読み始めたのにぐんぐん惹かれて気が付けば読み終えていました。
北海道を舞台にした物語。
*ウタ・ヌプリ:北見国の枝幸(えさし)で川から砂金が出ると評判になり、多くの人が向かう中に留次と弥太郎がいた。にわか砂金堀りの2人がどうなるのか?
*費府(フィラデルフィア)早春:明治の初め、地質研究のため日本に来た地質・鉱山学者ライマン。北海道の地質鉱床調査を言いつかる。そして広瀬常と出会い一目惚れするが結婚は叶わず帰国。アメリカで暮らす彼は・・・。
*日蝕の島で:枝幸の町は日蝕が観測される町としてと海外から多くの人々が観測に来た事があった。その時英語の図書が寄贈され、町に公立枝幸図書館ができた。その図書館再興のため奮闘する玲子。
*稚内港北防波堤:稚内にある稚内港北防波堤。樺太へ渡る玄関口だったところ。昭和10年に完成、今は選奨土木遺産に認定されている。渡るかやめるか?迷う兄弟のお話。
*小さい予言者:北海道中央部、炭鉱で栄えた上空知(架空の地名)を舞台に昭和16年国民学校4年生の清水範夫が出会ったタクト少年との交流。未来を予告するような不思議なタクトの言葉。
中年になった範夫が上空知の過去の場所を訪ねまわる。
どの作品も大きな感動というものは無かったのですが、静かに胸の中に何か漂う感じがして好きだなと思いました。
4)澤田瞳子著『泣くな道真;大宰府の詩』
右大臣まで昇り詰めた菅原道真が大宰府に左遷された。そのお世話係を言いつけられたのが龍野保積(たつののほづみ)。周りからは「うたたね殿」と呼ばれているやる気のない男。道真のお相手に四苦八苦していたところに美人の歌人小野恬子(おののしずこ)が現れ、道真を博多津の唐物商へ誘う。そこで道真は書画骨董の目利きの才を発揮し、唐物商から大尊敬され生きる気力を取り戻す。
そして、大宰府庁で発覚した不正事を解決するため、保積や恬子の依頼に、道真は奇策を思いつく!
こんな道真見たことない!楽しくて面白くて痛快!
天神様がこんなに愉快だったらいいなあと思った。
恬子が小野小町?と思わせるところも良かった。
歴史小説と現代小説のいいとこどり!の小説でした!
5)朝井まかて著『白光』
イコン画家、山下りんを主人公にした小説。
待ってました!という感じです。
随分前に何の本だか忘れましたが、山下りんが描いたとされるマリア像を見て、気になりながらもそれ以上追及することも無く今まできてしまいました。
そして遂に朝井まかてさんが山下りんの小説を!!
図書館に予約をかけやっと手にすることができました。
エルミタージュ美術館に所蔵されている山下りんの『ハリストス復活』は皇帝ニコライ二世が皇太子時代に来日した際に献上された作品です。
笠間藩が茨城県笠間市になった明治の初め、16歳の山下りんは母や兄の心配をよそに「絵師になる」と宣言し、江戸に向かう。
江戸で南画師の仲丸清十郎に師事、そこで工部美術学校開校を知り受験、見事合格。
工部美術学校の学友山室政子からロシア正教会を教えられ信徒となる。洗礼を受けイリナ山下りんと名乗る。
正教会のニコライ主教から勧められサンクトペテルブルク女子修道院で絵を学ぶことになる。憧れの西洋画を学べると期待していたりんだが、徹底した聖像画(イコン)の模写に体調を崩してしまう。5年の予定が2年5ヵ月で帰国してしまったりん。
帰国後、正教会から離れた時期もあったが、聖像画は祈りのためにあるもの必要なものを心に刻み聖像画家として生きていく決意を固める。聖像画家は署名を行わないと理解したうえでりんは数々の聖像画を制作する。
りんが聖像画家として制作している時代は日本とロシアの関係が悪化している時で正教会自体が攻撃の対象となってしまう。
そんな時代の中でただひたすら聖像画を描き続けるりんの姿が逞しくて愛おしい。
白内障を患い制作をやめ、故郷笠間に戻ったりんの穏やかなことにホッとして読み終えた。
時々睡魔に襲われながらも、りんの生涯と正教会の歩みとロシアの情勢をこの物語に織り込む朝井まかての凄さに大尊敬の念を抱いた私だった。