10月の読書 | shiratsuyuのひとことがたり

shiratsuyuのひとことがたり

宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

今年ももう残り50日を切ってしまいました。

コロナ感染者数の増加で始まった今年。

オリンピック・パラリンピックがありコロナ感染者数がものすごく増え、早くワクチン打ちたいのに大規模接種が中止になったりでなかなか予約ができず、何とか接種を終えたらやっと感染者数が減り、やっと少しは安心して過ごせるようになりました。

でもコロナウイルスが消滅したわけでは無いので、気を緩めることなく過ごしていきたいと思っています。

何もしないで生活していくことにすっかり慣れてしまった私です滝汗

 

10月に読んだ本のアップです本

 

52)彩坂美月著『柘榴パズル』

お祖父ちゃんの源一郎。お料理上手のお母さんショーコ。頼りになる大学3年生の兄友広。可愛いくて甘えん坊の10歳の妹桃子。そして19歳の私美緒。仲良し5人家族。ひと夏の物語。

寂れた商店街を盛り上げるためのお祭りで飾るガラスのオブジェの崩壊事件。

家族写真撮影中の写真館でのモデル消失事件。

自宅の庭で起こった赤ちゃんが犬に変身?事件。

箱根家族旅行の露天風呂での仲居さんぶっ倒れ事件。

楽しく暮らす日常生活で起きる事件を兄友広と私で解決。

各短篇に挟まれている「一家殺人事件の記事」が最終篇で結びつき物語が終結するという構成。

いい家族だなぁと思わせての衝撃的な真実の告白。この家族の真実を知った時涙が溢れ出た。

面白かった!

 

53)瀬尾まいこ著『その扉をたたく音』

大学卒業後、就職もせず親から生活費20万円もらいながらミュージシャンを夢見る29歳の宮路。

ボランティアで訪れた老人ホームでサックスを演奏する介護士渡部に出会う。渡部のサックスの演奏に心を奪われた宮路は一緒に演奏したいと渡部に会いに老人ホームに通うことに!

入居老人から親しまれ息子として受け入れられ頼まれた買物などすることに、そしてホームに通ううち渡部とも友達に・・・。

宮路の希望は成就するのか⁉

サックスの天才渡部君知っているような?中学の時駅伝走者で監督が美術の先生?ひょっとして同著者の『あと少し、もう少し』に居た?

さっそく図書館で借りて読んでみました。いたいた渡部君!そして県大会12位だったとの後日談も。

老人ホーム介護士になって本作品に登場。入所者さんに慕われきっちり仕事のできるりっぱな介護士になっていました。

宮路君と渡部君の演奏シーンが素敵すぎて胸にジーンときた。

私の好きな定番の温かい涙の溢れる瀬尾まいこさんの作品でしたラブラブ

 

54)二宮敦人著『最後の秘境 東京藝大;天才たちのカオスな日常』

この著者二宮敦人さんの夫人が東京藝大の学生さん。著者は夫人の行動や言動から藝大の様子に興味を持ち、出版社からも依頼され、学生さんの声を拾い集めることからこのノンフィクション作品を誕生させました。

学んでいることが芸術なら学生自身も芸術?と思わせる面白く興味津々のレポート作品でした。

東京藝大は美校と音校の2つからなり、その中は細分化されこんな学科が存在してこんなことを学んでいるのかと知り、それは私のような凡人の想像を超えたものでした。

在学中にまたは卒業後は多数の人が行方不明者となるそうですよ!驚きです!

学生は藝大2世が多く、卒業後の就職活動をしない、音校の学生さんへの仕送りは何と1ヵ月50万円が当たり前、って「親ガチャ」を思いました。

努力だけではどうしようもない世界ですね。

ここでの学びでどうぞ世の中を幸せなものにしていただきたいと切に思いました。

 

55)森沢明夫著『雨上がりの川』

父・河合淳は小さな出版社に勤め、母・杏子は出産後仕事を辞め専業主婦に、そして娘春香は中学生。

おっとりして誰からも好かれる娘だと思っていた春香がいじめで怪我をさせられたのがきっかけで不登校になる。

淳が学校に抗議に行くも、のらりくらりとした対応にガッカリする。そのうち杏子が霊能者に心酔。春香にも会わせる。杏子と春香は霊能者・紫音と親しくなり言いなりになっていく。

淳は二人の洗脳を解きたいとたまたま知り合った心理学者に教えを乞い何とか奮戦努力するが・・・。

しかし千太郎に教えを乞っていたのが淳だけではなかった⁉

さてさて洗脳の謎解きをするのは!!!

心理学者千太郎がなかなかいい味を出してこの物語を面白くしていたように思う。

登場人物すべてがいい者で誰かの幸せを願っての行動だったという読後幸せを感じる物語だった。

山田ルイ53世(髭男爵)の“失敗を糧にする義務など、僕たちにはない”と書かれた巻末解説が心に響くものだった。

著者森沢明夫氏が千葉県船橋市出身だったことも嬉しく思った。

 

56)山本周五郎著『柳橋物語』・『ひとでなし』・『ちいさこべ』

掲載済み

 

57)似鳥鶏著『理由あって冬に出る』

丘の上に建つ市立高校に通う葉山くん。その高校には芸術棟というものがあり吹奏楽部や邦楽部、演劇部、美術部といった文化部の部室として使われている。

その芸術棟には壁男とフルートを吹く幽霊が出るらしいというまことしやかな噂が流れている。

その捜査の手伝いを吹奏楽部の部長から頼まれた葉山くん。そして本当に幽霊が現れてしまって!

そのことに興味を持った先輩の伊神さんを中心に高校生探偵団が発足し事件解明に取り組むことに!

本著は“第16回鮎川哲也賞に佳作入選したコミカルなミステリ”だそうです。

活躍する高校生が可愛くて楽しく読むことができました。

伊神さんの推理は抜群で、それに振り回される葉山くんが愛おしくて、幽霊騒ぎの真相も分かってしまえば笑って済ませられるし、探偵団の1人三野くんの優しさにホロっとして、コミカルミステリいいなぁと思いました。

 

58)森沢明夫著『虹の岬の喫茶店』

『雨上がりの川』を読んで千葉県船橋市出身の著者に親近感を持ち、吉永小百合さん主演の映画の原作になったという同著を読んでみることにしました。

癒されるとても優しいお話でした。

お客として訪れる人に合う音楽を美味しいコーヒーと共に提供してくれる岬の先端にある喫茶店。

そこの女主人柏木悦子。もとピアノ弾きで夫は売れない絵描き。夫が腫瘍で32歳の若さで亡くなり、夫が描いた虹の絵をお店に飾って営業している。

陶芸家で、妻を亡くし4歳の娘と虹を捜してお店に行きついた父娘に「アメイジング・グレイス」

就職活動の憂さを発散させようとツーリングに出かけガス欠になりお店に辿り着いた青年に「ガールズ・オン・ザ・ビーチ」

研ぎ屋の事業に失敗しお金をくすめようとお店に入った泥棒に「ザ・プレイヤー」

悦子さんを愛していながら言い出すことができず大阪に転勤することになったタニさんに「ラブ・ミー・テンダー」

妹が亡くなった後面倒を見ている悦子さんの甥っ子浩司手作りバーがお店の隣に完成したお祝いに「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」

私が知っている曲は2曲しか無かったですが、流れている雰囲気と聴いている人の想いが手に取るようにわかり、読んでいて心地良かったです。

このお店を訪れた人々が自分の道を歩み進める姿に嬉しく温かな読後感を味わいました。