今年も12月となりました。
コロナ感染者数が減って少しのんびりした気分になっていたらオミクロン株![]()
コロナとは今しばらく縁が切れそうにないですね![]()
手洗いうがい手指消毒、ソーシャルディスタンス、マスクとは一生縁が切れない気がしてきました。致し方ないようですね。
悲しいのは友達と集まれないことです。
そんな中で、自分らしい楽しみを見つけて、来年に期待したいと思います。
11月に読んだ本をアップしておきたいと思います![]()
59)60)米澤穂信著『秋期限定 栗きんとん事件』上・下
今人気抜群の米澤穂信さんの初期の小説、小鳩常悟朗くんと小佐内ゆきさんの活躍する小市民シリーズ第3弾。
お付き合いをやめた2人に新しい交際相手ができた高校2年の2学期からお話が始まる。
小鳩くんには同じクラスの仲丸十希子さん、小佐内さんには新聞部の1年生瓜野くん。瓜野くんは生徒全員に配るもゴミ箱行きで読まれもしない学内新聞をもっと魅力的なものにしたいと、この町で起きた連続放火事件を扱いたいと主張し記事にしようとする。部長や学校の生活指導の先生に反対されながらも独自で取材を始めてしまう。
勝手な行動に辟易する新聞部部長は小鳩くんに助っ人を依頼し、本格的に犯人の推理を行うことに・・・。
小鳩くんと小佐内さんが3年生になり放火事件が解決した秋、甘味屋さんで栗きんとんを仲良く食べる2人がいた。そこで小鳩くんが知った小佐内さんの復讐とは?
小佐内さんの許せないことは可愛いと思えたが、ちょっと怖かったその復讐。
学園ものでありながら、本格推理ものであるという本作品は読みやすくて好きです。それに小市民であろうとする小鳩くんと小佐内さんがとても可愛い!
61)千早茜著『あやかし草子』
人と人ならざる者のあいだを行き交う者を「あやかし」というそうです。←東直子解説より
「鬼の笛」:鬼、「ムジナ和尚」:ムジナ、「天つ姫」:天狗、「真向きの龍」:龍、「青竹に庵る」:幽霊、「機尋」:座敷童が主人公で、崩れかけた楼門の袂で笛を吹く男、村八分にされた娘、大家の娘で帝の女御となる姫、彫り物師の男、半妖の吉弥、いわくつきの機織り機を守っている留造と関わりながら短編6編が紡がれていく。
どれもちょっととっつきにくく、話を楽しむまで時間がかかったが読み終えるとこういうお話も面白いなと思えた。
各短編ごとに鳥山石燕の画図が使われていて、初めてきく名前の画家だったがその絵が興味深いもので、多くの作品を所蔵している「川崎市市民ミュージアム」に行ってみたいと思った。
62)七月隆文著『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
京都の美大に通っている南山高寿は、通学に使っている京阪電車で丹波橋駅から乗ってきた福寿愛美に一目惚れ!
宝が池で降りた彼女を追い告白!幸運にも彼女との交際にこぎつける。楽しく幸せな人生の始まりと思いきや彼女にはとんでも無い秘密が・・・・。
私の好きな時空越えのお話かと思っていたら、ちょっと違っていました。作家さんていろんなことを思いつきますね。
ネタバレごめんなさい![]()
この世界の隣に別の世界があり、別の世界は時間の流れが反対。
愛美のいるのは別の世界で、5年に一度こちらの世界に来れ40日間滞在できる。二十歳で会えるのは今だけ!
それでも愛美との時間を大切にし思い出を作ることに真剣になる高寿。
このせつなさ
こういう物語いくら歳をとっても私は好きで涙が零れます。
63)朝井まかて著『最悪の将軍』
書名でどの将軍か分かりますよね。
徳川家5代将軍綱吉の物語。
徳川4代までは直系で繋がっていましたが、4代将軍家綱は直系に恵まれず、思いもしなかった綱吉が将軍職を引き継ぐことに。
綱吉と言えば「生類憐みの令」。“犬公方”と呼ばれたり“最悪の将軍”と評価されたりと未だかつてよく思われていたことがありません。
この小説は今までの綱吉のイメージを覆すというか、知らなかった姿を知らしめるものでした。
決して人より犬を大切にしなさいということではなかった「生類憐みの令」。しかし役人や町人には通じない。
追い打ちをかけるように起こる赤穂浪士の討ち入り、大地震、富士山噴火。
泰平の世を目指し「文武忠孝・礼儀正しく」を説き「武を払い、文を持って世を治める」と信念を貫く綱吉。
また御台所信子と仲睦まじく暮らす姿も見せる。
今までの綱吉イメージを覆すまではいかないけれど、こうして新しい見方を作家が発信してくれるのはとても喜ばしいことだと思う。
約260年間15代まで繋がった徳川政権ですが、大奥を作り子孫繁栄に努めたけれど、直系を繋いでいくことが如何に困難かということを知り、今の皇室のことがチラッと頭をかすめてしまった私でした![]()