棋書「これで十分 有段者の基本」
誠文堂新光社 囲碁編集部編はっきりいって囲碁編集部編となっているものでいい棋書は殆どない。中途半端に問題提起はあるがその答えを明確に示しているものがない。「これで十分」としてあるものはシリーズ化してあるけど、どれも中途半端さが否めない。この「これで十分 有段者の基本」も中途半端。手筋や死活をみてもどれも級位者のレベルを抜け出していない。しかし、この本にはそれを補って余る長所がある。大ヨセの目数計算の問題が22問含まれているが、これがとてもよい。ヨセの手筋としてはそれほど難しいものではないが、だからこそ役に立つ。白黒両方からの相場の手順、計算結果が掲載されておりこの22問を覚えてしまえば実戦のかなりの武器になると思われる。相場の手順を知り、形勢判断するのは高段者になるための大切な技能であり、ある意味囲碁の本質(AIではなく人間的なアプローチの)でもある。