ソリューションのおぼえがき -21ページ目

ソリューションのおぼえがき

中小企業を応援するために、経営者と共に元気に戦っています!


正解なき、組織や事業の課題を発見し、
向き合って、ソリューションを提案しつづけるための「覚書」。

マネジメントコントロールと組織文化の関係には、以下のような相関関係が考えられます。

 

コミュニケーションと透明性:組織文化がオープンで透明な場合、情報共有が活発に行われ、マネジメントコントロールの効果的な実施につながります。

 

目標と報酬:組織文化が目標志向的な場合、報酬システムが成果に結びつく形で設計されることが、メンバーのモチベーションを高め、マネジメントコントロールの効果を高める要因となります。

 

リーダーシップと信頼:組織文化が信頼と共感を重視する場合、リーダーとメンバーの信頼関係が強化され、マネジメントコントロールの指示がより効果的に受け入れられる可能性が高まります。

マネジメント・コントロールと組織文化は、組織の健全な機能と成果を向上させる上で密接な関係があります。

マネジメント・コントロールは、組織の目標を達成するために戦略的に計画し、組織内の活動を監視・評価するプロセスです。これに対して、組織文化は、組織内で共有される価値観、信念、行動のパターンを指し、組織のメンバーが共通の理解を持ち、共感し合う社会的なシステムです。

 

組織文化は、マネジメント・コントロールの設計や実施に影響を及ぼす重要な要因です。組織文化が共通の価値観を形成している場合、メンバーは共通の目標に向けて努力し、組織全体が一体となって業績を向上させることができます。

逆に、組織文化の違いやコミュニケーションの欠如は、マネジメントコントロールの障害となる可能性があります。

 

また、マネジメント・コントロールが組織文化を反映する形で設計されることもあります。

例えば、目標管理システムや評価制度が、組織の価値観や文化を反映している場合、メンバーは組織の方向性を理解しやすくなり、より一体となった行動が期待できるでしょう。

ミシガン大学のK.S.キャメロン&R.H.クインは、組織の文化を理解するために競合価値観モデルを提案しました。このモデルは組織文化を4つのタイプに分類し、それぞれに特徴的な特性と価値観が存在します。

 

階層文化(Hierarchy Culture)

階層文化は、組織内の階層的な構造と規律を重視するタイプです。組織は堅固なルールと規制によって統制され、管理者が強い指導力を持ちます。安定性と効率性を重視し、組織全体が統一された目標に向かって進むことを重視します。

 

市場文化(Market Culture)

市場文化は、組織内の競争力と成果を重視するタイプです。競争意識が強く、目標達成と成果の追求が主要な焦点です。組織は顧客のニーズを把握し、市場の要求に迅速に対応する柔軟性を持っています。

 

家族文化(Clan Culture)

家族文化は、組織内のメンバー間の結束力と協力を重視するタイプです。組織は一つの大きな家族のような雰囲気で、協力とコミュニケーションが大切にされます。指導者はメンバーの成長と発展を支援し、信頼と共感が築かれます。

 

創造文化(Adhocracy Culture)

創造文化は、変化とイノベーションを重視するタイプです。組織は柔軟で創造的な環境を提供し、新しいアイデアやプロジェクトの実現を奨励します。リスクを取ることが評価され、組織内のメンバーは新しい挑戦に向かっています。

 

Cameron&Quinnの競合価値観モデルは、組織の特性を把握するための有用なフレームワークとなります。組織文化のタイプによって、組織の行動や意思決定に影響を与える要因が異なることが理解されます。組織は自らの文化を理解し、必要に応じて変革を行うことで、持続的な成功を達成することができます。

組織文化は、組織心理学者のE.H.シャインによって、以下のような3層構造に分けて紹介されました。

 

レベル1:人工的に創造されたもの(artifact)

組織の表面に現れる物理的な要素や観察される振る舞いを指します。例として、組織のロゴ、スローガン、社内のルールや制度、物理的なオフィスレイアウトなどが含まれます。これらのアーティファクトは組織文化の内側にある価値観や信念を反映しています。

 

レベル2:信条と価値観(espoused belief and values)

組織のメンバーが共有する組織の象徴的な要素やストーリー、伝説などを指します。これらは組織内で共有される言語やコミュニケーションパターン、成功や失敗にまつわる物語などです。エスパウンデッド層は、組織文化の深層を形成する重要な要素です。

 

レベル3:基本的仮定(assumption)

組織の核心に位置する、メンバーの共通の価値観や信念、根本的な前提を指します。これは組織のメンバーが意識的でなくとも共有しているものであり、組織文化の根幹を形成します。

 

組織文化の理解と分析は、組織の健全性を保つためにも重要な要素となります。

組織文化と組織風土は関連する概念ですが、微妙な違いがあります。 

 

組織文化は組織内の共有された価値観や信念などを指し、組織のメンバーが自覚的に共有している要素を表します。

一方、組織風土は、組織の持つ特有の雰囲気や習慣、ルーティンなど、暗黙的で意識しないレベルの要素を指します。

 

つまり、組織風土は組織のメンバーが無意識に受け入れている組織の「空気感」とも言えるものです。組織風土はしばしば組織文化の現れ方として観察されることがありますが、組織風土自体は形式的な定義が難しく、直接的に変更することも難しい特性を持ちます。