日本 呪縛の構図(上) この国の過去、現在、そして未来 | サンディの今日もワイン

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サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。

読書時間:6.0h
一読:なし
再読:なし
R指定:日本人はNG
著者:R・ターガート・マーフィー/訳:仲達志
原題:Japan and Shackles of the Past
刊行:2016年9月
価格:2100円+税
出版:早川書房
本本本本本本本本本本本本本本本本
 

飛鳥時代から昭和までの日本史
 

1呪縛の根源を探る
1江戸時代以前の日本

2日本近代国家の育成

3明治維新から占領期まで

4奇跡の時代

5高度経済成長を支えた諸制度

6成長の成果と弊害

(下巻)

2日本を支配する「歴史の呪縛」

7経済と金融

8ビジネス

9社会的・文化的変容

10政治

11日本と世界

 

中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)
小学校で習ったあー

日本の呪縛を語るのに、中大兄皇子が出てくる?
中大兄皇子にどんな意味があるっていうんだ?

 

飛鳥時代に始まり、平安時代、、と軽くながして江戸時代へ。明治は多少ページを割いて、昭和の最後は松田聖子。
対象読者は日本で過ごしたことも考えたこともない人物と聞けば合点がいく。
日本を紹介しているだけなのだ。もちろん中大兄皇子が出てくる意味はない。

現代のことを語るとき、江戸時代からの―、明治時代からの―、という論説はときおり見かけるが、なんの根拠もない。
本書は的を得ていないうえに伏線!?を回収しないので、話がつながらない。

一例をあげよう(キリがないので一つだけ)
 

『日本で矛盾して見える現象は、元をたどれば江戸時代の公的な組織のあり方と現実社会のズレに由来している。
20世紀後半、日本企業が世界市場でトップの成功をおさめたが、日本は主体性を失って硬直した官僚制度の代名詞といえる存在だった。
だがこれも江戸時代に大阪商人と硬直化していく一方の武士階級が並存していたという前例を知れば不可解に思えない。
一方では自己犠牲が常識を逸したレベルにまで高められ、
他方ではゲーム、過激なアニメ、マンガ、奇抜なファッションなどを頂点とする、型破りで反体制的な芸術が生み出されていく。こうした文化の2面性は江戸時代に端を発している。』

 

江戸時代の公的な組織のあり方と現実社会のズレとは何だろう。
「硬直化していく一方の武士階級」と「硬直した官僚制度」はズレといえるだろうか。
「日本企業がトップの成功をおさめたこと」と「硬直した官僚制度」は矛盾といえるだろうか。
「自己犠牲」と「反体制的な芸術」を矛盾としても、ゲーム、過激なアニメ、マンガ、奇抜なファッションは、反体制的だろうか。まして、江戸時代に端を発していると、何を根拠に言えるのだろう。
「自己犠牲」と「反体制的な芸術」を矛盾としても、「江戸時代」と「現実社会」のズレに由来しているのだろうか。

この後も度々江戸時代は起源となるが、飛鳥時代は影も形もなく、中大兄皇子も出てこない。

久しぶりに・・・実に30年ぶりに 聞いたぜ「中大兄皇子」・・・

 

にて、締めたゐと存じまする。