★2024年亡くなった著名人(66)

 

◼️政治家

◯徳田虎雄(86)徳之島出身の医師・政治家 衆議院議員 徳洲会病院創設者

◯ジミー・カーター(100)民主党 第39代アメリカ大統領(1977〜1981)

◯マンモハン・シン(92)インド首相(2004〜2014)

◯アルベルト・フジモリ(86)初の日系ペルー大統領(1990〜2000)

 

◼️文学者・小説家・著述家

◯猪熊葉子(96)児童文学翻訳家 サトクリフ(太陽の戦士 運命の騎士 第九軍団のワシ 王のしるし ともしびをかかげて 思い出の青い丘) フィリパ・ピアス(まぼろしの小さい犬 りす女房) ルーマー・ゴッデン(ディダコイ 元気なポケット人形) メアリー・ノートン(魔法のベッド南の国へ 小人たちの新しい家) バーネット(秘密の花園) ジョーン・エイキン(しずくの首飾り) マーガレット・レイン(ビアトリクス・ポターの生涯) 

◯宗田理(95)作家 僕らの七日間戦争

◯小山内美江子(94)老衰 脚本家 3年B組金八先生

◯谷川俊太郎(92)老衰 詩人 詩集「二十億光年の孤独」 「鉄腕アトム」の主題歌の歌詞

◯西尾幹二(89)老衰 ドイツ文学者 新しい教科書をつくる会

◯さとうわきこ(89)大動脈解離 絵本作家 ばばばあちゃん

◯中川李枝子(89)絵本作家 ぐりとぐら

◯五百旗頭(80)急性大動脈解離 政治学者

◯石川好(77)急性心筋梗塞 ノンフィクション作家

◯ルース・スタイルス・ガネット(100)児童文学作家 エルマーの冒険

◯梁石日(81)作家 血と骨 闇の子供たち

◯クリストファー・プリースト(80)SF作家 逆転世界

 

◼️漫画家

◯梅図かずお(88)胃癌 漫画家 へび少女 漂流教室 まことちゃん わたしは真悟

◯鳥山明(69)急性硬膜下血腫 漫画家 Dr.スランプ ドラゴンボール

◯芦原妃名子(50)自殺 漫画家 セクシー田中さん 砂時計 Piece

 

◼️ミュージシャン・歌手

◯キダ・タロー(93)作曲家 なにわのモーツアルト 出前一丁

◯フジコ・ヘミング(92)膵臓癌 ピアニスト

◯小澤征爾(88)心不全 指揮者

◯敏いとう(84)前立腺癌 敏いとうとハッピー&ブルー 星降る街角(1972) わたし祈ってます(1974)

◯高石ともや(82)高石ともやとザ・ナターシャセブン 孤独のマラソンランナー(1977) 私に人生と言えるものがあるなら(1979)

◯園まり(80)急性心不全 歌手 逢いたくて逢いたくて(1966)

◯冠二郎(79)心不全 歌手 旅の終わりに(1977)

◯仲宗根美樹(79)歌手 川は流れる(1961)

◯黒沢博(75)歌手 ヒロシ&キーボー 3年目の浮気(1982)

◯中山美穂(54)歌手 俳優 色・ホワイトブレンド(1986) You’re My Only Shining Star(1988) 世界中の誰よりきっと(1992) ただ泣きたくなるの(1994)

◯クインシー・ジョーンズ(91)ミュージシャン 愛のコリーダ(1981)

◯フランソワーズ・アルディ(80)シンガーソングライター さよならを教えて(1968) もう森へなんか行かない(1967)

 

◼️声優

◯大山のぶ代(90)老衰 声優 ドラえもん

◯堀絢子(89)老衰 声優 忍者ハットリくん 新オバケのQ太郎 「ガンバの冒険」のイカサマ 「ムーミン」のミイ

◯増山江威子(89)肺炎 声優 「ルパン三世」の峰不二子 「キューティ・ハニー」のハニー バカボンのママ

◯喜多道枝(89)声優 「フランダースの犬」のネロ

◯小原乃梨子(88)声優 「ドラえもん」ののび太 「ヤッターマン」のドロンジョ 「未来少年コナン」のコナン

◯山本圭子(83)敗血症 声優 「天才バカボン」のバカボン 「がんばれ‼︎ロボコン」のロボコン

◯寺田農(81)肺癌 俳優・声優 「天空の城ラピュタ(1986)」のムスカ

◯三輪勝恵(80)声優 「パーマン」のパーマン1号 カリメロ

◯TARAKO(63)声優 「ちびまる子ちゃん」のまる子

◯田中敦子(61)声優 「攻殻機動隊」の草薙素子 「葬送のフリーレン」のフランメ

◯篠原恵美(61)声優 セーラームーンの木野まこと

◯松野太紀(56)右大脳出血 声優 「金田一少年の事件簿」の金田一一 「星の王子様プチ・プランス」の王子

 

◼️俳優・芸能人

◯山本陽子(81)急性心不全 女優 黒革の手帖(1982)

◯中尾彬(81)心不全 俳優

◯ピーコ(79)敗血症による多臓器不全 タレント ファッション評論家

◯今くるよ(76)膵癌 漫才師

◯西田敏行(76)虚血性心疾患 俳優 映画:釣りバカ日誌シリーズ ドラマ:池中玄太80キロ(1980) 歌手 もしもピアノが弾けたなら(1981)

◯火野正平(75)俳優 にっぽん縦断こころ旅

◯アラン・ドロン(88)俳優 「太陽がいっぱい(1960)」

◯ルイス・ゴセット・ジュニア(87)俳優 「愛と青春の旅立ち(1982)」の鬼軍曹

◯カール・ウェザース(76)俳優 「ロッキー(1976)」「ロッキー2(1979)」「ロッキー3(1982)」「ロッキー4/炎の友情(1985)」のアポロ・クリード役

◯オリビア・ハッセー(73)俳優 「ロミオとジュリエット(1868)」「復活の日(1980)」

 

◼️スポーツ・格闘

◯北の富士(82)大相撲力士 第52代横綱

◯笠谷幸生(80)虚血性心不全 スキージャンパー 日の丸飛行隊 72日本人初の冬季五輪金メダリスト

◯マイティ井上(75)心室細動 プロレスラー 和製マットの魔術師

◯小林邦昭(68)大腸癌 プロレスラー フィッシャーマンズ・スープレックス 元祖虎ハンター

◯曙太郎(54)心不全 大相撲力士 第64代横綱

 

◼️その他

◯三笠宮妃百合子(101)老衰 昭和天皇の末の弟である三笠宮の妃

◯渡邉恒雄(98)肺炎 読売新聞社主筆

◯鈴木健二(95)老衰 NHKアナウンサー

◯鈴木修(94)悪性リンパ腫 スズキを世界的企業に成長させた社長(4代目)。「アルト」「ワゴンR」を大ヒットさせた。

◯篠山紀信(83)老衰 写真家

◯福島孝徳(81)脳神経外科医 ゴッドハンド

◯服部幸應(78)料理評論家

◯小倉智昭(77)膀胱癌 アナウンサー 司会者 

 

 

※2022年は保守派政治家、2023年は宗教指導者、そして2024年は声優の年のようです。

 

 

NPD(自己愛性パーソナリティ障害)の人の特徴

NPD(Narcissistic Personality Disorder)はB群(劇場型)のパーソナリティ障害のひとつ。

①自己の能力や業績に対する過大評価、誇大感や特権意識があり、社会の中で自分が特別で優れた存在だと信じ、限りない成功、権力、才能、名声についての空想に囚われている。幼少期を過ぎても、現実の自分と、非現実的な自己評価の元になる理想的な自己との違いを認識できないまま、大人になる。本人の自己評価が非現実的に高い一方で、しばしば他者を過小評価する。

②他者・権威・社会からの賞賛や好評価を常に求め、それらの賞賛や評価に強く依存している。その一方で、他者の成功や能力に対しては強い羨望を感じ、成功した他者への激しい攻撃性を示す。逆に、自分の失敗や不成功には過敏に反応し、鬱屈した敗北感や恥辱感を感じる。

③他者の感情を理解することが難しく、共感性に乏しく、空気が読めず、尊大で傲慢な態度や行動を示す一方で、批判には敏感で、過剰に攻撃的に反応する。批判されると敵認定し、反撃したいという感情の抑制が効かなくなり、怒りっぽく、また執念深くなる。

ただし、批判されてもまったく無関心な領域と過剰に衝動的に反応する領域がある。一般に、誰の目にも見える結果や物理的事象に関する問題についての言及や批判に対しては激しく反応する一方で、結果ではなくプロセスに関わる問題や目に見えない心理的・情緒的問題についての指摘には、ほとんど反応しない。


NPD(自己愛性パーソナリティ障害)の有病率と発症原因

NPDの発症率は、人口の1%程度と考えられているが、一般にパーソナリティ障害の患者が治療を求める時には、パーソナリティ症の症状ではなく、抑うつや不安を訴えることが多い。したがって、パーソナリティ障害の症状は、多くの場合、本人に自覚がなく、周囲の人から証言を得、カウンセリングを繰り返し、時間をかけて診断するよりなく、そのため、過少診断されている可能性がある。NPDは、男性に多く、青年期から成人初期に発症する傾向があるが、小学生時代(学童期)には同定できるとも言われる。

①遺伝的要因 一卵性双生児におけるNPDの一致率は二卵性双生児より高いことが報告されており、このことはNPD発症に関して遺伝的要因が関与していることを示唆している。

②環境的要因 幼少期における過度に甘やかされたり、無視されたりした養育環境や虐待が、NPDの発症リスクを高める。幼少期に養育者との間で形成されるはずだった情緒的な絆が形成されず、自己を発達させる体験が乏しかったことが、脆弱な自己を形成させると同時に、自己愛的な防衛規制を発達させると考えられている。

◎具体的に考察すると、際限のない親の欲望を満たす対象として養育された子どもは、期待に沿う限りは賞賛され、愛されるが、無条件には愛されない。そうした子どもは、モノを介して甘やかされる一方で、信頼と受容の関係で甘える体験をしていない。輝く子どもであることを無意識に要求され続け、しかし、際限のない親の欲望を満たすことはできず、無力感に喘ぎ続けることになる。その結果、「自分は無力で価値のない無意味な存在である」と極端に価値を低下させた深刻な欠損を抱えた空虚な自己を抱えてしまい、その自己不信が生み出す抑うつを防衛するために、極端に高めた誇大妄想的自尊心によってバランスを保とうとするようになる。甘えを断念して手に入れたのは病理的な自尊心であり、その背後には、茫漠とした自己不信が横たわっており、その内部には、愛されないことへの不安と怒り、嫉妬と羨望の感情が渦巻いている。

これがNPDの精神構造の特徴である。

③心理的要因 NPD発症者は、表面上、尊大で自信に満ちているように見えて、実は自尊心が非常に脆弱であり、この脆弱な自尊心は、幼少期の心理的外傷体験や不適切な養育によって形成される。そして、NPD発症者は、誇大性や賞賛への渇望などの自己愛的防衛規制を用いて、脆弱な自尊心を守ろうとする。多くの場合、患者は、自尊心の維持のために、特別な(並はずれた)人物や団体や機関との関係を通じて、持続的に社会的な評価や賞賛を得続ける必要がある。そして、他者に良い印象を与え、賞賛を得ることを求め続ける一方で、誠実な友情を形作ることには、いかなる関心ももたない。

◎具体的に考察すると、無条件に自分が愛され、信頼されているという感覚によって生じる内的充足感に乏しく、内的自己の価値に自信のないNPD患者が社会で生きていくためには、誰でも目で見てわかるような外的価値を獲得するしかない。例えば、職業、資格、地位、資産、収入、学歴、成績、ブランド、容姿、権威などである。これらの外的価値は、獲得すること、結果を出すことでしか、得ることができないため、その獲得の過程(プロセス)には何の意味もなくなる。そして、結果主義がもたらすのは、成功か失敗かの二択であり、等身大の自己意識を持たないNPD患者においては、優越している自分にとって他者は見下す対象にしかならないし、失敗して転落した無能な自分は他者から見下される対象となってしまい、いずれにしても、対等な人間関係を築くのが困難になる。

また、こうしたプロセスを無視した極端な結果主義に依拠する精神構造は、地道な努力による技術の習熟と人間的成熟を困難にする。


NPD(自己愛性パーソナリティ障害)の治療

薬物療法は、NPD含めてパーソナリティ障害の中核症状に対しては効果がないが、抑うつや不安など併存する症状の緩和には有効な場合がある。ただし、NPDに伴って二次的に併発するうつ病は、主たるNPD症状が改善しなければ、抗うつ剤による薬物治療の効果は極めて限局的であり、根本治療には至らない上に、副作用も目立つため、推奨されない。

NPD患者の誇大的自己は、抑うつに対する防衛規制である。誇大的自己が意識にのぼっている時には、エネルギーに満ち、軽躁的な活動性を示す。一方で、無能的自己が持続的に意識される状態に陥った時には、深い無力感、虚無感に囚われ、絶望的な抑うつの海へと沈み込む。うつ病の20%はNPDに伴う抑うつ症状であるという報告もある。

NPD患者の人格構造は、誇大的自己と無能的自己の間で振幅を繰り返し、この両極端の間にあるはずの等身大の自分を持たない。失敗をきっかけに無能的自己に転落して激しい抑うつを体験する一方で、自己評価を高める体験をすると、伸び切ったゴムバンドが勢いよく元に戻るように、一気に誇大的自己へと復帰する。

NPDは、イライラ感がつのり、気分の波が激しくなり、感情が極めて不安定になると、BPD(境界性パーソナリティ障害)へと症状が深刻化すると考えられている。NPDは「神経症」であるが、BPDは「神経症」と「統合失調症」の境界にある症状であり、無能的自己に沈む期間が長く、より破滅的な兆候が見られる。

このような症状の悪化を防ぐためには、主たるNPD症状への治療アプローチが必要となる。

特に、人間関係が希薄で個人主義的な現代社会においては、かつてに比べて、放置していると、どんどん症状が悪化してしまう状況、つまり、積極的な治療が必要な状況が増えていると考えられる。

主な治療アプローチとしては、患者との治療関係を通じて、患者の自己理解を深めていく心理療法が用いられる。それによって、患者の感情調整能力の向上を目指す。また、患者の思考パターンや行動を修正し、症状や対人関係の改善を目指す。

ただし、本人に治療の意欲がなければ心理療法は成り立たない。また、NPDの特徴のひとつでもあるが、本人が地道で着実な努力を嫌う場合には、それまでの思考パターンや行動の枠組みをはみ出して、新たなパターンを見いだすことにエネルギーを集中するのは困難である。

また、ASD(自閉スペクトラム症候群)と併存している場合は、自己の内面を見つめることが難しい。そして、ADHD(注意欠如・多動性症候群)と併存している場合には、脳内の快楽をもたらす報酬回路から外れるのが難しく、一時的な気づきがあったとしても、直ぐに元の思考パターンや行動パターンに回帰してしまいがちである。

さらに、同じB群(劇場型)パーソナリティ障害であるHPD(演技性パーソナリティ障害)を併発することもある。その場合、注意を引くためのわざとらしい大袈裟なジェスチャーや、芝居がかった言動が目立つ。また、感情がめまぐるしく激しく変化するが、それらの感情はすべて皮相的で浅薄である。

そうすると対話によるカウンセリングの効果も限定的にならざるを得ない。

総じて、NPDの心理療法による治療は、困難を伴うことが多い。

NPDの治療において最も大切なことは、患者自身の内的な〝気づき〟である。


NPD(自己愛性パーソナリティ障害)の有名人

三島由紀夫

三島は、幼少期、祖母に溺愛される一方で、母親との情緒的な繋がりを持ちにくかったと言われる。

サルバドール・ダリ

ダリには2歳で亡くなった兄がいたが、両親はダリにその兄と同じ名前をつけた。ダリは、自分を見つめる両親の目の奥に死んだ兄への不毛な愛情を見ていた。

ヘルベルト・フォン・カラヤン

カラヤンはナチス党員だった。幼少期の生い立ちについては不明である。

スティーブ・ジョブズ

実母に捨てられ、養父母に育てられた。実母が養父母に親権を譲る条件として将来の大学進学を確約させた。



太宰治、尾崎豊、ヘルマン・ヘッセ、マリリン・モンロー、ダイアナ妃、ウィノナ・ライダー

上記の人々は、BPD(境界性パーソナリティ障害)であったと言われる。BPDは、パーソナリティ障害の中で、最もリストカットなどの自傷行為、自殺と関連が深い。BPDと診断された患者の75%は自傷行為の経験があり、BPD患者の60〜70%が、人生のある時期に自殺を試みると推定されている。自殺を図って入院した患者の54%がBPD患者であったという報告もある。BPD患者のうつ病の併発率は50%と高い。また、うつ病患者の10%がBPDを併発しているとの報告がある。双極性障害との併存率も20%ほどある。アルコール依存・薬物依存に陥る傾向も65%と非常に高い。

ADHDの人は、通常より20倍BPDを合併しやすい。また、BPDは、 パーソナリティ障害の中でもNPDとの併存率が最も高く、 BPD患者の40%がNPDを発症しているとの報告もある。今日の医学会ではNPDとBPDの間に境界線を設けず、連続した症状(スペクトラム)と考えるのが一般的である。



〈備考〉

①パーソナリティ障害 A群(奇異型/Odd type)⇨奇妙で風変わりで自閉的な変人で、孤立しやすい。他人に関心がなく、他者との交流を求めない分、他人に迷惑をかけることも少ない。常に引きこもりがちで、本人に問題意識がなく、治療を受けることもあまりない

妄想性パーソナリティ障害(PPD)〜Paranoid Personality Disorder〜「世の中は信用できない」と、他者への猜疑心や不信感が強く、他人に心を許さず、疑り深く被害妄想を抱きやすい。頑固で他人の意見を素直に聴けず、寛容になれない。強い執着を持ち、常に緊張状態にある。侮辱されたり、傷つけられたことを、決して許さず、いつまでも執念深く恨みを抱き続ける。他人の批判に過剰に反応する。自分の正当性を強く主張する。他人の行動を「悪意がある」と歪曲して受け止める傾向がある。他者と信頼関係や協力関係を築くことが困難。(障害のレベル→中度から重度まで)

シゾイドパーソナリティ障害(SPD)〜Schizoid Personality Disorder〜他者に関心がなく、社会から孤立しており、感情の表出が乏しい。誰かと一緒にいるよりも1人でいることを好む。他人からどう見られるか、あまり気にしない。趣味はひとりで楽しむものだけで、友人はなく、他人との交わりを楽しむこともない。他人の評価や名誉やお金や社会的地位に関心がなく、喜怒哀楽に乏しく、性的欲求も薄い。手先が器用で芸術的感性が豊かで、忍耐強く、正直で、平和主義。穏やかで豊かな内面を持つ。知覚及び思考の歪みはない。統合失調症の病前性格。統合失調質パーソナリティ障害とも言う。軽度のASDと症状がよく似ている。(障害のレベル→中度から重度まで)

統合失調型パーソナリティ障害〜Schizotypal Personality Disorder〜奇妙な迷信や魔術的な信念を持ち、対人関係がわずらわしく、慣れない環境だと不安を感じる。奇異な話し方や場違いな服装や態度が目立つ。人と親密な関係を築くのは苦手で、集団の中では居心地が悪い。人と一緒にいてくつろげない。友人がいない。直感が鋭く、超越的な感性(霊感)を持つ。神秘体験を体験したり、幻覚を見ることもある。精神病的な幻覚や妄想や認知の歪みはない。統合失調症の前段階とも言われる。(障害のレベル→中度から重度まで)


②パーソナリティ障害 B群(劇場型/Dramatic type)⇨演技的・感情的で移り気である。感情が激しく、情緒不安定で、ストレスに過敏で、行動も劇的なため、他人を巻き込み、対人関係で軋轢が生じやすく、周囲に影響や害が及びやすい

反社会性パーソナリティ障害(DPD)〜Dissocial Personality Disorder〜衝動的で攻撃的で無謀で無責任。恐怖を感じにくい。良心の呵責なく、自分の利益や快楽のために他人を騙したり、傷つけたり、暴力的に奪ったりできる。罪悪感なく利己的で詐欺的で策略的で巧妙。取り繕うのが巧みで、周囲に人格異常の危険性が気づかれにくい。(障害のレベル→極めて重度

演技性パーソナリティ障害(HPD)〜Histrionic Personality Disorder〜自己顕示欲が強く、自分が注目の的になっていなければ我慢できない。関心を惹くために芝居がかった態度や誇張した情動表現をする。(障害のレベル→やや軽度)

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)〜Narcissistic Personality Disorder〜自分は特別で重要な人間であるという誇大な感覚や妄想を抱いていて、他者の賞賛や評価を必要としている。尊大で傲慢な態度。共感、同情、思いやりの欠如。他人を平気で利用し、犠牲にする。内面には劣等感や卑屈な感情が潜む。期待した賞賛が得られないと屈辱を感じ、激しい怒りを表出する。恥の感覚に歪みがあり、馬鹿にされているという感情に囚われやすい。(障害のレベル→やや軽度から重度まで)

境界性パーソナリティ障害(BPD)〜Borderline Personality Disorder〜他者に大きな期待を抱き、見捨てられることを避けようと、なりふり構わず努力する。理想的な自己像と最低の自己像の両極端を揺れ動く。相手への評価も最高と最低の両極端を揺れ動く。不安定な対人関係。慢性的な空虚感と激しい怒り。言葉にできない感情を、突発的で破壊的な行動で表現する。自分に同情してくれる人を側に引きつけておくために、厄介な相談を持ちかける。相手のちょっとした対応に過剰に反応する。自暴自棄になる。他人から見捨てられたと感じると、どんなに尊敬していた相手にも激しい怒りを向ける精神科に受診する確率が最も高い。(障害のレベル→中度から重度まで)


③パーソナリティ障害 C群(不安型/Anxious type)⇨不安で内向的であり、他者と親密な関係を築きにくいが、本心では他者を必要としている日本人に多いと言われる。障害のレベルは軽度である。

回避性パーソナリティ障害(APD)〜Avoidant Personality Disorder〜自己評価が低く、他人の評価に敏感。重度の自意識過剰や不安から、批判や拒絶や失敗を恐れて引っ込み思案になりがちで、人付き合いが苦手。問題に立ち向かわず、避けてやり過ごそうとする。嫌われるのが嫌で自分の意見を言おうとせず、内気で臆病ではあるが、他者に愛されたい気持ちは強いので、何人かの親しい人はいる。(障害のレベル→やや軽度から中度)

依存性パーソナリティ障害(DPD)〜Dependent Personality Disorder〜自己決定が苦手で、依存性が強く、常に他人の助言や指示や保証を求める。自分を支え、支援してくれる存在にしがみつく。面倒を見てくれる人がいない状態で1人残されるという恐怖に非現実的なまでに取り憑かれている。保護者に対して過度に依存的・服従的になり、まったく自立できない。(障害のレベル→やや軽度から中度)

強迫性パーソナリティ障害(OCPD)〜Obsessive-Compulsive Personality Disorder〜完璧主義で融通が効かない。異常に頑固で秩序や規則へのこだわりが激しく、細部にこだわりすぎ、重箱の隅をつつくような確認をしつこく繰り返すので、何事も余計に時間がかかり過ぎる。いつか使うかもしれないと考えて、不必要なものを捨てることができない。強固な罪悪感がある。最も発症率が高い。(障害のレベル→最も軽度から中度)

『テレビや新聞や雑誌などのマスメディア(オールドメディア)の報道は偏向しているから信用できない』とする人々は、世界中で増えています。

アメリカでも、トランプ支持者の多くは、「CNNなどのニュースメディアは反トランプに凝り固まっていて、一方的な報道しかしない」と信じています。

その一方で、YouTube Instagram Facebook XなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で発信される情報は信じやすい傾向があります。


こうした「マスコミの情報に不信感を抱き、代わりにSNSの情報を信じる」傾向は、日本でも強まりつつあります。そのため、最近は日本でも、SNSを巧みに利用して選挙を行う政治家が増えています。

立花孝志氏や石丸伸二氏や斉藤元彦氏などが、その代表と言えるでしょう。

彼らの戦略は、「自分たちはオールドメディアによって不当に理不尽な袋叩きにあっている犠牲者であり、それでも挫けず、自らの正当な真実の主張をSNSを通して行っている」「誰が正しいのか、メディアにだまされないで、本当のことを知って欲しい」と大衆に呼びかけ、不当ないじめに屈しない正義の人のイメージをまとうことで、多数の人々の心を動かすというものです。

実際、SNSを利用して、種まき、育成、収穫と、悲劇のヒーローの逆転勝利をプロデュースするのは、少数の有能な企画・戦略担当のブレーンと効果的に動く実働部隊がいれば、意外と可能なようなのです。


ポイントは信者を生み出す事です。いったん信者にしてしまえば、彼らはもうこちらの言い分しか耳に入らなくなります。そして、頼まなくても自主的・積極的にこちら側の情報を発信してくれるようになります。

こうして〝熱狂〟が生み出されると、その信者たちの熱狂を核としてムーブメントが起こり、世論が動くのです。

オールドメディアの報道は確かに一方的になりやすい傾向がありますが、とは言え、彼らには信者がいません。

結果として『悪は常にオールドメディアであり、SNSの主張は善である』というシンプルな構図が説得力を持つようになり、戦いはSNS側に常に有利に展開します。


その意味では、今日ほど、少数派による恣意的なプロパガンダが容易な時代は、これまでなかったのではないでしょうか。

しかしながら、時が経つにつれて、「何が真実なのか、見極めるのが本当に難しい」と、多くの人々が感じ始めています。

「オールドメディアは偏向している」とSNSで訴えている側からも、悪質極まる確信犯によるデマ情報とか、真偽不明の不確かな情報が大量に垂れ流されているからです。

また、立花孝志氏に代表されるような、かなり野蛮で詐欺的な煽動者(デマゴーク)に煽られた人たち、あるいは、石丸氏や斉藤氏の熱狂的な信者となった人たちによる、多分にデマ情報を含む先入観に支配されたカルトじみた不特定多数集団による一方的で脅迫的な個人攻撃も、社会の混乱に拍車をかけており、言論封殺の嘆かわしい状況を生み出しています。

マスコミの偏向報道という社会的暴力に対して「やられたらやり返せ!」というヤクザじみた態度が、上記三氏の熱心な支持者など、SNS情報を信じる側に、往々にして見られるのです。

そうなると良識的な市民は眉をひそめてしまい、「SNSだけ信じる」という立場からは徐々に引いていくでしょう。

その結果として「オールドメディアもSNSも、もう何も信じられない」という、すべての情報に対して懐疑的な人が増えていくことになります。

しかし、それも程度問題です。

「何も信じられない」という疑心暗鬼の状態は、あるものだけを熱狂的に信じるという狂信の裏返しに過ぎないからです。

虚無こそが新たな熱狂を生む土壌となるのです。

このような狂信的な信者たちによるカルト的な熱狂が支配する選挙が各地で見られる状況は「民主主義の敗北」と言わざるをえません。



※11月28日、オーストラリア議会上院は、16歳未満のSNS利用を禁じる法案を可決。今後、下院の審議を経て成立し、一年後に施行される見込み。

今回の大統領選挙では、全米の総得票数でトランプが300万票上回り、加えて7つの激戦州すべてでトランプが勝った。獲得した大統領選挙人の数でも、ハリスの226に対して、トランプは312。これはもう圧勝と言っていい。

では、事前の「まれに見る接戦」というメディアの予想に反して、なぜトランプは圧勝したのか?

実際、CNNなど海外メディアの全てが接戦と報じ、日本国内メディアも、その報道に準じていた中で、トランプの圧勝を予想したのは、木村太郎さん、森永卓郎さんという一部の個人のみだった。

それはなぜだったのか?

主要なメディアは、一貫して、トランプは悪役であり、ハリスは善の側であると報道してきた。トランプは犯罪者の無法者であり、トランプへの支持は反知性主義の現れと警鐘を鳴らし続けてきた。ハリスこそ、民主主義の擁護者であり、マイノリティの庇護者であると誉めそやしてきた。

それなのに、そうしたメディアの喧伝は、結局、大衆の意識を動かさなかった。アメリカ国民はトランプを選んだ。それは何故なのか?


一言で言えば、多くのアメリカ国民にとって、国の指導者となるべき人物として、カマラ・ハリスよりドナルド・トランプの方が信じられたからだ。

多くのメディアが、トランプは品性下劣で低脳で野卑なポピュリストだと騒ぎ続けたにも関わらず、国民はトランプを支持した。国民のトランプへの眼差しは、メディアの偏見を受け付けなかったのだ。

同時に、ハリスが副大統領を務めた、この4年間のバイデン政権の期間より、その前の4年間のトランプ政権の時期の方が良かったと感じる人が、多かったからでもある。

もっと言えば、LGBTの権利や妊娠中絶の権利やら不法難民含めた貧民の一時的な救済でお茶を濁し、西側の結束を口では言い立てながら、二つの戦争を招いて、それを止めることもせずに放置し、物価の高騰を招いているハリスとバイデンの民主党より、就任中に戦争を起こさせず、経済的に安定していたトランプの共和党の方が、労働者の生活に、より強い関心を持って政治を行ってくれると、アメリカ国民、特にラストベルト含む激戦7州の人々が信じたからだ。

そのため、貧困や物価高に苦しむ生活実感にとぼしいハリウッド・セレブやスーパー・スター、例えばレディー・ガガ、ケイティ・ペリー、テイラー・スウィフト、ビヨンセ、ジェニファー・ロペス、ジュリア・ロバーツや、ハルソン・フォード、ロバート・デニーロ、アーノルド・シュワルツネッガー、ブルース・スプリングスティーン、ボン・ジョヴィなどが、いくらハリス支持を表明しようと、一般有権者の支持がハリスに集まることはなかった。

バーニー・サンダースが指摘しているように、一般労働者の感覚を無視し、切り捨ててきた民主党が、労働者から見離されるのは驚くことではない。

トランプへの支持は、伝統的に共和党が強い中西部やトランプ支持の牙城であるフロリダや激戦7州だけでなく、ハリスのお膝元である西海岸のカリフォルニア州や民主党の強い東海岸のニューヨークでも、前回を大きく上回った。


一方で、世界一の億万長者イーロン・マスクがなぜトランプを支持したか?

それは、イーロンが、本当の貧困の惨めさを知り尽くしている男だからだ。彼は、南アフリカのオランダ系白人の貧困母子家庭で育った。学校では激しいイジメを受けていた。その逆境の中から、非現実的とも思えるような夢を描いて、その夢をつかんできた。

民主党支持者は、イーロンが行った、激戦州で毎日トランプ支持者の一人を選んで100万ドルを贈るというとてつもないやり方のキャンペーンを非難した。しかし、よく考えてみよう。イーロンは札束で有権者に支持者を変えろと迫ったわけではない。同志であるトランプ支持者の一人を選んで夢を与えるという行為を毎日続けただけだ。貧困と逆境を知る男だからこそ、この100万ドルの持つ意味を彼は知り尽くしているのだ。

逆に言えば、民主党指導層(及び支持者)の多くは、本当の貧困を知らない(ように思われる)。

民主党には本質を見る目が欠けている。だから、敗戦理由の分析でも、ろくなことを言わない。「ハリスはアメリカのジェンダー社会に敗れた」とか「検察官より犯罪者を選んだのは、教育レベルの低い有権者たちだ」とか、見当違いもいいところだ。ハリスは、バイデンほどにも女性票を獲得できなかったし、有権者は、人の罪を責めたてることしか知らない検察官よりも、人の生活を豊かにできる優秀なビジネスマンを選んだのだ。それを「有権者の知能が低いから自分たちは負けたのだ」などと民主党側が言い立てるのは、思い上がりも甚だしい。国民を馬鹿にする政党が、国民の支持を受けることなどあるだろうか?


戦争は、莫大な資源の浪費であり、資源大国や資源供給地域での戦争の長期化は、必ず、世界的な物価高騰を招く。そして、物価高騰は、必ず、庶民の生活に危機的なダメージを与える。

マクドナルドのビッグマックセットが2700円、生卵1ダースが900円ということもある。カリフォルニア州の最低時給は2500円だが、月収70万円のトラック運転手が家賃を払えずホームレスになることもあるのだ。

そうした状況では、当然、『明日の民主主義より今日のメシ』と思う人が増えるものだ。

その実感が、カマラ・ハリスと民主党ブレーンたちには、致命的に薄かったようだ。実際、これまで民主党政権は、戦争を止めるため、そして、物価を抑えるために、具体的(及び効果的)行動をしているようには見えなかった。

「民主党は、口では綺麗事を言いながら、常に無策でまったく頼りにならない」と感じていた人は多いだろう。

そして「民主主義とか権利とか、そんな抽象的理念よりも、政治家が早急に取り組むべき、もっと重要な現実的課題があるだろう!」というように、ハリス(と民主党)への国民の不満は非常に大きなものだったと想像できる。

だから、もともと民主党支持だったアラブ票やヒスパニック票すらも、今回はトランプ支持にまわったのだ。

ところが、中流以上の豊かな人々としか向き合わないメディアには、そうした国民の声は聴こえない。だから、メディアの予想は外れるのだ。

彼らメディア関係者もまた、本当の貧乏を知らないからだ。

本当の貧困を知らないということは、生きることの苦しみを知らないということでもある。その意味では、クリント・イーストウッド、メル・ギブソン、シルベスター・スタローンがトランプを支持しているのは興味深い。


トランプは、生まれながらの億万長者だ。

だが、彼は小学生でもわかる言葉で、原稿なしの即興で人々に話す。その言葉は、とてもよく伝わる。

原稿とカンペがないとうまく話ができないハリスとは違う。難しい言い回しで、意味のわからない話をするハリスとは違う。

そして、彼は、逆境を跳ね除けて成功したイーロンのような男は尊敬する。不法移民は強制退去させるし、壁を築いて入れないようにするが、合法移民として入国し、正当な手続きを経てアメリカ市民権を取得した真っ当な者には敬意を払う。トランプ自身もドイツ系移民の孫だ。

トランプは、西側諸国の援助に頼って戦争を続けるゼレンスキーを「腕のいいセールスマン」と軽蔑する。「アメリカの税金はウクライナを守るためにあるのではない」と。

同じように、アメリカ人の息子が日本を守るために命をかけるように要請しながら、自分の息子が国を守るために命を落とすリスクは容認しない、自己中心的な日本の母親たちに、トランプは強烈な通告を突きつける。「日本を守るために、日本の若者の代わりに合衆国の若者が戦場で命を落とすリスクを負うのは容認できない」と。

石破さんは、それに対してどう答えるつもりだろうか。

日米同盟がより対等であることを望むというのなら、「日本の若者も、アメリカを守るために命をかけるべき」ということになるだろう。

しかしながら、あいも変わらず憲法9条の足枷を引きずっている今の日本に、その準備や覚悟はあるのか?



※国民民主党玉木代表の不倫問題で、早々と代表続投が承認され、リベラル・メディアや文化人の言論の多くが、それを好意的に見ている。

曰く「人格と政治的手腕は別だ」とか。

しかしながら、例えば、これがトランプの不倫発覚だったら、日米メディアが人格否定の言論で盛り上がり、袋叩きにしただろう。あるいは、自民党議員や大臣だったらどうだろうか。やはり、総攻撃されて、宇野総理の時のように「役職降りろ!」の大合唱となったのではないか。

メディアのあまりのダブルスタンダードぶりにびっくりだ。

ネアンデルタール人が滅亡したとされる4万年前に近い、4万5千年前のネアンデルタール人の人骨が、2015年にフランス南部の洞窟で発見され、そのゲノム解析の結果が、2024年9月の科学誌で発表された。

それによると、この人骨の属する小集団は、10万年前に「後期ネアンデルタール人」の系統から分かれ、その後、5万年以上に渡って遺伝的に孤立していた集団であるらしい。つまり、この人骨の属する小集団は、5万年以上もの長い間、他のネアンデルタール人の集団と交流がなかったということだ。

徒歩で10日ほどの距離にある二つのネアンデルタール人の集団が、5万年間、まったく交流することなしに並存していたという驚くべき事実は、彼らが現生人類とはかけ離れた感覚や世界観の持ち主であることを想像させる。

ネアンデルタール人は、およそ80万年前に「出アフリカ」した人種で、その後、生活圏を徐々にユーラシア大陸に広げた。30万年も時間があれば、相当な距離を移動できたろう。その間、50万年前にはシベリアでデニソワ人と分岐し、ユーラシア大陸の西側はネアンデルタール人、東側にはデニソワ人と棲み分けが進んだ。

しかし、いったん適度な生活可能な場所を見つけて、そこを生活圏に定めると、よほどのことがない限り、それ以上、移動することがなかった。

さらに、互いに近くに同族であるネアンデルタール人が住む集落があると知っていても、そこへちょっと行ってみて、交流することなど、まったく考えられなかったようだ。

老子の言うように「隣国相望み、鶏犬の声相聞こゆるも、民老死に至るまで、相往来せざらん」という感覚で生きていたということだ。

 

現代人の感覚からは隔絶した、ありえない感覚という気もする。そう感じるのが普通だろう。

しかし、沖縄に住んでいると、このネアンデルタール人の感覚が、実は、まったくわからないというわけでもないのだ。

例えば、沖縄本島から今では橋がかかっていて車で気軽に行き来できる島のひとつに、浜比嘉島という小さな島がある。この島には、東に比嘉、西に浜という二つの集落がある。ところが、この二つの集落は、小さな島に数100年並存しながら、その間、ほとんど交流がなかったらしい。

そして、互いに「自分たちは、あいつらより二百年は先に、この島に住み始めた」「あいつらは、後から流れてきて住み着いたよそ者だ」「浜(比嘉)の奴らは、何を言っているのかわからん(言語が違うから意思疎通が困難)」と言う。

同じ島の集落でさえこうなのだ。島が違えば、交流はまったくないのが普通である。

海を隔てた沖縄本島と宮古島と石垣島では、言語も風習も、遺伝子系統すらまったく異なる。例えば、本島では「おばあ」と言えば、「おばあさん」のことだが、石垣では「おばあ」は「おばさん」を意味する。また、子どものことを、首里では「わらび」と言うが、同じ本島でも田舎では「わらばあ」と言う。そして、石垣では「ふぁ」と言う。

さらに、同じ、宮古島諸島でも、池間島と伊良部島と宮古島では、言葉だけでなく、明らかに顔の特徴が異なる。遺伝子の系統が異なるのだろう。

この間、石垣島の新川地区で、地元育ちの三十代の住人に「名蔵ダムへ行ってきた」と話したのだが、驚いたことに、その人は、すぐ隣の地区である名蔵にダムがあることを知らなかった。さらに「伊原間をまわってきたよ」と言ったのだが、その人は伊原間がどこにあるのかも分からなかった。

 

ネアンデルタール人の社会、または沖縄の伝統社会においては、自分が住んでいる地域の周辺に何の興味も関心もなく、隣の集落との交流もなく、むしろ、集落同士が互いに敵対的に無視し続けるのが普通である。彼らの間では、それが伝統であり、常識なのである。

そうした共通点に着目して考えると、沖縄の伝統社会は、極めてネアンデルタール人的であると言えるのではないだろうか。

ところで、こうした超閉鎖社会には、絶滅に至る主因となりうる問題がいくつもある。

その一つは遺伝的問題だ。長期にわたって孤立している集団内では遺伝的多様性が低下する。それによって、劣性遺伝が続き、障害児や遺伝病の発生確率が上昇し、環境の変化や病原体への適応力が低下する。実際、沖縄の伝統社会では白血病の発生率が高く、風土病と呼ばれてきたが、その原因は近親交配が続いたためと考えられている。

もう一つは社会・文化的な問題だ。超保守的な排他主義が当たり前となっている社会では、新しい事物に対する受容度が低く、文化の交流が生まれず、新しい知識も受け入れられない。こうして、彼らは進化から取り残される。

それが、ネアンデルタール人が滅亡した原因でもあり、同時に、沖縄が、豊かな自然環境や政府の援助など、さまざまな好条件に恵まれながら、なかなか発展できない理由でもある、と考えられる。

 

本題に戻るが、「ネアンデルタール人はなぜ滅びたのか?」の答えを端的に述べるとするなら、それは「超保守的な排他的差別主義による集団間の分断と交流の断絶が原因である」と言い表せるだろう。

しかも、それは、ネアンデルタール人だけの問題ではない。ホモ・サピエンスにおいても、充分に種の破滅の主因となりうると思うのだ。

例えば、デジタル化した情報機器に取り囲まれて生活している現代人は、リアルな交流を面倒で難儀なものとしてなるべく避けたい傾向が見られる。婚姻率も低下し、出生率も低下する。

また、今日のアメリカ社会に見られる政治的分断のような、二つの互いに相容れない政治勢力の間の交流の断絶もまた、社会の混乱と進化の停滞を招くだろう。

こうした状況が続くなら、長い目で見れば、ホモ・サピエンスという種は、ネアンデルタール人と似たような要因で絶滅の危機に直面することになるかもしれない。