昨夜遅く、長男が日本から戻って来た。
「息子が帰ってくると嬉しいでしょ?」と良く聞かれるが、面倒くさいな…というのが正直なところ。ごはん、洗濯、ごみ捨てなども頼んでも、後でやる…といってもいつやってくれるかわからないから、結局自分でやってしまう。
この夏は、次男、長男が帰国し、夫も長くアジアへ出張していたので、全く一人になることはなかったが、ほぼほぼ悠々自適な生活を送っていた。
それよりも7月から約2カ月、次男と長男が実家の母のところにいたので、手もかけてもらったかもしれないが、3人がお互い貴重な時を過ごしたのではないかと確信している。
ただ、途中で気になることがあった。
母に電話をすると、次男は既にミラノに戻っており、長男は日本の夏必ず頼まれるバイトで地方を回っており、母は一人であったのに、「ご飯だよ、といっても誰も来ないから一人で夕飯食べちゃった!」というではないか!「えっ今はお母さん一人でしょ?」と聞くと、ああそうか、とわかるのだが、えっ?と言うことが度々起こるようになった。これが痴呆の始まりなのか…。
またしばらく携帯電話の調子が悪かったようなので、長男が一緒に出掛け新しい携帯電話を購入したと言う。それが買った途端にない!と大騒ぎ。結局長男とわかれ、一人で買い物している間に、どこかに置き忘れてしまったと言う。
連絡をした時には、既に警察に届けを出していたようで、携帯ショップから長男と別れた道のりを一人で歩き、結局見つけたと連絡が入り、ほっとしたが、日本だからこそ、見つかったのだ。
新しい携帯の使い方は、携帯ショップに毎月500円払えば使い方を教えてくれるそうで、何度通っても良いとのこと。(店員さんには頭が下がる!)幾つになっても新しいことを覚えることは大切なこと。ショップまで自分でバスを乗り、歩いていけることも大事。
しかし、以前のようにすぐに電話に出なくなり、着信メッセージにも気づかなくなった。まあそれも仕方ないか…。
まあこれまた高齢者(と言っても自分でもやってしまうのだが)にありありだが、ミスタッチで空のメッセージやヴォイスメッセージを送ったり、変な広告を転送してしまっているようで、僕はいいけど、他の人に迷惑だよ!と長男が心配していた。まあ仕方ないよ。良くあることだから…となだめたが、母と長男の間でもよく口喧嘩をしたようであった。決して母は急に怒ったり、喧嘩などすることは私の人生の中では一度もなかったので、その気分の変化も痴呆の始まりなのか…と気になった。
笑い話だが、歌を習っており、昔のCDウオークマンで課題曲を聞いては一人で良く練習しているのだが、昨日まで使えたのに、おばあちゃん急に新しいの買って来たんだよ。無駄遣いだよ!と長男。(どの口が言う!と思った。彼は、湯水のように持っているお金を使う癖があるのでいつも私に小言を言われている!)
「叩いたら直っちゃったわ。だから新しいのは友達に売っちゃった!」と母。後からわかったのだが、CDを裏側に入れていたのだと言う。そりゃかからないわ…。苦笑
遠くにいる分、心配だが、近くにいて手を出しすぎても逆にそれが受け身になることも良くないとは思う。
長男も出発してしまい、少し寂しい、とは言っていたが、かれこれ30年習っている歌の発表会があり、覚えなきゃいけないし、何着ていこうか悩んでいるのよ!と言っていた。それくらいなら安心だ。
いつまでも若くはないと自分自身も気づく今日この頃。母は83歳だもの。なんでもできた母が少しずつできなくなることも増えてくるのは当たり前。
ただ孫にも思われている事を思うと胸が熱くなる。また近いうちに長男は日本へ行くといい、次男も来年夏は友達を連れて行くと言っている。私も時期を見て一時帰国したいと思っている。ずっと生きているわけじゃないんだからね!と母は笑うが、それは誰も同じ事。
会えるうちに、元気なうちに、親孝行、祖母孝行しておこう。
今日の一句
親の恩 子で送りつつ また親思う

