今が旬 〜 柿 その3 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

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柿の季節。
 
地元ではあちこちたわわに実った柿の木を沢山も見かける。スーパーでも柿がいっぱい。ご近所さんからもお裾分けがあったが、母と二人では食べきれず、干し柿にしてみた。
 
父が健在の頃からは、愛媛から愛宕柿というのを40キロ取り寄せて干し柿にしていたそうだ。

柿の学名は"Diospyros Kaki"。"Dios"とはラテン語で「神の」「神聖な」、"pyros"「小麦」「与えられる物」という意味で、"Diospyros" =「神から与えられた食べ物」というような意味となる。
 
柿は、「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるが、もちろん柿には効能が沢山あるが(下記参照)、それで医者いらずで医者が青くなるのか?と思っていたが、そうではなく、「柿が赤くなる秋は天候がよいので、体調を崩す人は少なく、医者は商売にならずに青ざめる」と言う意味合いだった。
 
いずれにしても、柿にはカリウム、カロチンを豊富に含む。カリウムは血圧を下げ、カロチンは体内でビタミンAになり、目や粘膜、皮膚の健康を保ち、成長を促し、病気の回復や風邪の予防に役立つ。元々栄養価の高い柿が、それを干し柿にするとさらに栄養価が高まるというのだ。
 
干し柿の効能として、高血圧、脳卒中などの予防、二日酔い、むくみ、腹水、発熱性疾患の軽減などが言われている。とはいえ、何事も行き過ぎは禁物。特にビタミンAは過剰摂取すると倦怠感や睡眠障害、食欲不振、頭痛、皮膚荒れなどを引き起こすので、気をつけたい。
 
以前、母から軒下に沢山干した柿の画像が送られてきたが、軒下などに吊るされて、寒風にさらされ天日を浴びて、水分が抜けて甘みがぎゅっと凝縮された干し柿は、甘いイメージのある熟れたメロンやぶどうよりもなお甘く、糖度は実に40~70パーセントにもなる。これがどれほどの甘さかと言うと、実に練り羊羹と同じ糖度なのである。
 
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それにしても不思議なのは、干し柿には渋柿が適しているのだそうだ。お茶などにも含まれるタンニンが水溶性の状態で多く含まれる渋柿は、そのままでは渋みが勝ってしまい、その甘みを十分に感じることができない。しかし、渋柿を乾燥させることにより、脱渋反応と呼ばれるタンニンが水溶性から不溶性へと転じる変化が起きる。具体的には柿の水分が抜けてタンニン成分が凝固し、私達の舌にある味蕾細胞よりも大きくなることによって、タンニンが細胞に感知されなくなり結果渋みを感じなくなる、というわけだ。渋柿の渋みを取る方法としては、焼酎につけるやり方がある。
 
数年前、日本出張で帰国していた夫に母の作った干し柿が託されたが、日本国内、そしてアジア出張を終えミラノに戻ってきた時には、干し柿はスーツケースの中で汗をかいてかびてしまっていた。昨年は父の介護と指先の関節の痛みで干し柿作りは断念していた。
 
現在母は少しずつ元気になり、また干し柿を作ろうかなあと言い出した。私がいる間だったら、皮むき手伝ってあげるよ、と言い来月になったら愛宕柿を取り寄せてみようと思う。