草原と鉄屑
センチメンタルバス/EPIC SONY
タワレコで取ってきたスカパーのフリペ「タダダー」に付いてた8cmCDサンプルに、思わず「このヒゲの男すげぇな」と思った。デビューまでの期間を詰め込んだのがファーストアルバムだとすれば、曲、詩、アイディア、見事にどばっと放たれた才能の結実。鍵盤ロック、しかも「ピヨヨー」とかいうイタズラ音がヘッドフォンの横の端っこの方でずーっと鳴ってたり、アレンジも多用で、ドラムンベースあり、ぶっ壊れ暴れピアノあり。詞がボーイ乙女で、声が少年ガール。ボーカル赤井奈津代の世界観がキュンっとする。シングル以外のアルバム曲も勢い収まらず個性強い。『9月9日』は何気ないのに、何年たっても忘れられなくなる予感がしている。→
REBECCA LIVE SELECTION 1

レベッカ/Ki/oon Sony Record
レベッカの全盛時代を知る者には、普通のベスト盤よりも、ベストな曲がより集められたライブ盤の方がいい。なにしろライブで本領発揮するライブバンドによるライブテイクだから。レーザーディスクを見ている気分になるCD。DVDじゃないよ。『Wild Eyes』で幕開け。『76th Star』『Lonely Butterfly』『London Boy』。ハイスクールじゃ教えてくれない、教科書より複雑な世の中にとまどっていた『Cheap Hippies』たちの熱狂が完全パック。『Bottom Line』からのOLロックは『蜃気楼』の向こう、遠くまで投げられた。『Sexy Groove』は届いている。→
REBECCA LIVE SELECTION 2

レベッカ/Ki/oon Sony Record
苗字が無しで下の名前オンリーの女性シンガーの走り?NOKKOが駆け回り「腰を振ってちょうだい!」と客を煽る。80年代PopRockの天才土橋安騎夫の超80年代的名曲集。1989年の東京ドームと1990年の武道館ライブから『moon』『Raspberry Dream』『Friends』。放課後の女の子、OLの机の下を唄っていた野性爆弾。背が低いのにやたら存在感のあるその女の子は全力で駆け抜けて、光の中に消えた。『One more kiss』to me Give it to me、輝きはせつなくて永遠に幻…。だけど明日は、きっといいことあると信じてたいの『Maybe Tomorrow』。→
仏陀L

筋肉少女帯/TOY'S FACTORY
昭和63年発売。最後の昭和文学は大槻モヨコこと初期筋少だった。屋上のコンクリートの深いつなぎ目を覗いていたら、その暗がりに死の世界を感じたとか、そんな他言無用な妄想でさえも表現の出し方でロックになり、共感を集う事ができる。ペンの力と音楽の魔法を、多くの文学少年に与えたトラウマ大作が『仏陀L』である。救われた気持ちになったキッズたちの熱狂は「もっと救って欲しい」という渇望だったのかも知れない。10年経って『サンフランシスコ』という曲の10年後を描かれることをこの時はまだ知らない。そして平成14年『リンダリンダラバーソウル』を読むまで、ジャケットがYMO『増殖』のパロディーだとは気づかなかった。→
あと何分あるの?番外編
POARO/ライトニングスカーレット
情報が無くて…。フォークギターをかき鳴らし、意味不明シャウトするポアロの電波歌だと思いきや、メンバーがダラダラ喋ってるだけの、一応CDのラジオ番組だそうな。クラスでおもしろい事言うやつって、テレビで見たギャグをいち早く言ってただけだったでしょ、そのノリ。聞けば「ポアロより私の方がおもしろい」と自信が湧くでしょう。番組中にDTMで作ったみたいな曲流れてたけど、あれはポアロの曲なのかな。買ってから内容がわかってがっかりの45分。それで、結局、音楽アルバムって出したのかどうなのか。伊集院光の番組でハガキ職人というか替え歌職人だった時の名作の数々は、元が普通のメジャー曲だから権利のクリアが難しいのか。→
BREAK ROCK

Scoobie Do/SPEED STAR
テレビ朝日、新日本プロレス中継のタイアップ『左胸のボス』とか。ずるいよなー見た目アフロとかいるし、ファンキーだし、ボーカールがミョンミョンいってるし。単純でいい音でカッコイイ。「ポケットの中、何もかも詰め込んできたはずなのに、帰り道の切なさを払うものが見つからない」だってさ、男節。勢いがあるのに頭空っぽじゃ無くて、どこか掴まれた手を振り切ろうとしてる言葉が入ってくる。吹っ切ろう。いかんともしがたい現状も、前に行くしかねぇもん。それにしても、Victorのスピードスターはほんとにいいレーベルだよね。センスの共振、私の眼に触れるところにきっちりプロモーション打つの。ありがとうスピードスター。→
未成年
大江千里【アレンジャー清水信之】/EPIC SONY
85年冬発、NHKの特集番組で彼の曲を飯島とデュエットする組合せは少々不思議だった。次にさらに不思議な映像が登場。ドラム、ギター、ベース、キーボード、合成画面で同じ人物が演奏してる。これ誰?「ノブさん」と呼ばれたその人との会話をはさみ、デートドラマ半分の歌番組は続いた。ノブさんが全能者という印象が残る。本当に『リアル』なのはスタジオミュージシャンで、歌番組よりも音楽雑誌が気になりだした。手にしたアルバムには「All songs and lyrics by Senri Oe/Produced and arranged by Nobuyuki Shimizu」と大きく記されていた。→
midori
飯島真理【アレンジャー清水信之】/VICTOR
85年冬発、NHKの特集番組で、杉真理と彼女のデュエット曲『いつものパーティー』を大江千里と唄う組合せは少々不思議だった。番組は信頼を込めて「ノブさん」と呼ばれる男をトークに絡めながら大江千里と飯島真理が交互に唄い、国立音楽大学卒の彼女が作ったピアノ協奏曲『もののかたち』で終わった。詩曲を書き唄うシンガーソングライターを、ポップスたらしめていたスタジオの仕事人は、どうやら清水信之という総監督らしいと知る。手にしたアルバム『midori』には「All Song Writtar by Mari Iijima/Arranged by Nobuyuki Shimizu」と太字で記されていた。→
Drops will kiss

福間未紗/MIDI
1st『モールス』から前作『フェスタマニュフェスト』までの連作コンセプトや、エレクトロ完全装備から、ある意味で解放されたシンプルな、弾き語り、口笛で綴るフォーク&ボサノバ。福間未紗自らを落ち着ける為に選ばれ唄われたアンプラグド。丸ごしの癒しって解説に安心しきって聴いてたら。体の外の頭の後ろの方からザワザワと震えが!あれ?!福間未紗が浅川マキを唄ってるじゃんか!うわー!私にとって最重要な音が、この人の元に全部つながる。なんで?いいと思う物全部の影響が年上のお姉さんから来たような信頼感。裏の家に住む憧れのお姉さんの弾き語りが、高校生僕の勉強部屋に届いたようだ。時間よこのまま続いて欲しい、時代がここで止まって欲しい。→
Hamilton

ハミルトン/TDKコア
コーラスハミングからゆっくり始まるハウス系のループドラム、荒げないエレキピアノ、ベース。シンセソロさえ控えめなのに、しっかり全方面が鳴ってる曲と、聴く者の好みの容姿になってくれる出過ぎないボイスワーク。ラップになったり、多重コーラスしたりのささやき系。ドライブにもラウンジにも合うしなやかなサウンド。太いベースが目立たない位の音量でぐるんぐるんいってたり、やさしくてフリーな音だけどリズムは機械でカチっとタイトに前へ前へと進む。水の流れる音とかふいに使うし。機材がちょこっと入ったジャケット写真含めて、つまみを回してるであろう電子エフェクトとか、こんな感じのホントに探してました!総合私ランキングベストスリー入り。→



