80年代の筋肉少女帯
筋肉少女帯/UG
1998年発売。ライブ記録ビデオテープからのキャプチャによるメンバーの顔をふんだんに載せたブックレット。収録音源もライブ記録からで、MCも臨場感あふれる。作品としてのテンションもいいが、オーケンがバンドブームを振り返った小説『リンダリンダラバーソール』と照らし合わせると哀愁が湧く。手探りだったけど体当たりの時代から、ファンが付き、手応えと確信の時代へ。大阪ライブでのエディ脱退時の彼のマイク「そんじゃ、俺の曲『夜歩く』」からのインストで終わる。これが80年代の筋肉少女帯。超高校生級のプレイヤーだった彼らが、よく大槻ケンヂの世界観に集ったな。YAMAHA主催の高校生バンドコンテストの常連で顔、見知り仲間だったという。→
EMPTINESS
横関敦/日本フォノグラム
パイプオルガンで幕を開ける宇宙の夜明け。あまりにも自由に伸び渡るギターがテルミン演奏のようにも思えてくる一曲目。やがて地鳴りの様なバスドラからJET FINGER激弾き開始。三柴理による鍵盤はピアノの音よりも、ストリングスやブラス、ヒューマンコーラスっぽいシンセサイザー音色が交わる。激しいドラムと浮遊感漂うシンセサウンドの間をクネクネキュンキュンと高速ギターが炸裂。シスターストロベリー的なパンクメタルではなく、メタルフュージョンといえるような音楽だった。ピックも持たずに目をつぶって陶酔しながらほうきを構えたい!猫背でチュルチュチュ弾かずに、胸を張りのけぞってギュワーンと溜めながらのポーズ。掃除機じゃダメ。→
ブッダ・大いなる旅路
中村幸代/POLYDOR
NHKスペシャル「ブッダ・大いなる旅路」サウンドトラック。大好きなドラマ「はみだし刑事情熱系」のBGMを手がけていた人だった。土着半分、ストリングス半分を織り交ぜた幻想的な音。『一粒の砂』などは、口笛と現地語の伝承民謡を導入に、アコースティックギターのパートにうつってゆく。チェロとピアノのアンサンブルはきれいだが、印象に残るメロディーはない。サントラだからナレーションとぶつからない為だろう。少ない箇所に入るアジアンコーラスのこぶしまわし「あぁあ〜」声帯が、悟りへの世界観を引き上げている。残念なのは『Main Title』で、何箇所かのメロディの続きが脳内で坂本龍一『ラストエンペラー』に引っ張られてしまう。→
イーハトーヴォ日高見
姫神/PONY CANYON
どんな人が好み?「ブラッドピットみたいな」。温かい雪国の人は?「うん、そう言われれば、それも好き」。どんなお話しが好き?「ロードオブザリングみたいな」。児童文学とかどう?「うん、そういわれれば、それも好き」。宮沢賢治の世界は大好きな好みの一番には来ないけど「…そういわれれば、それも好き」。このCDもそんな感じ。取り立てて何かキャッチなものがあるわけでもなく『風のマント』『堅雪かんこ、しみ雪しんこ』など、はじめにヒントありきで、イメージに随分助けられているイメージアルバムだこと。ブックレットは日高見の写真集。これが結構良い、北の民の霊力を放っている。古い学校の教室の写真もうれしい。宮沢賢治は学校の先生。→
12の花
吉田知加/GIZA studio
メジャーレーベルの見えない鎖といいますか、操る糸が見え隠れすると聴き手に思わせてしまったら、演出についていけてなくなっちゃうよ。いろいろ不利だよな。タイトルやイラスト、最後は引退メッセージまで本人の筆文字で雰囲気ある。バンドサウンドで歌謡系で刹那系。これがライブハウスでの出合いで見つけたならば、感情移入も素直だったと思うが。大メジャー販促から振り下ろされると「自作自演系のあれに似てるな。あれの後追いだな」と分類されてしまう。宣伝費が潤沢だった事が想像できるインタビュー番組や無料配布の多種ステッカーも。このブックレットを作り上げたデザイナーの丁寧な仕事ぶりのほうが気になる。違う場所で出会いたかった。→
SQUALL
高原兄/taurus RECORDS
完全無欠じゃなかったロックンローラー、アラジンのうた担当。島田紳助による『風よ、鈴鹿へ』は鈴鹿8耐イメージソング。チーム紳助の鈴鹿8耐への挑戦は無謀だったが「一緒にやってくれ、応援してくれ、報酬は無いけど終わったら絶対に一緒に泣けるから」その言葉だけで、ファン、スポンサー、多くの人が動いた。経過を深夜ラジオや活字で追いながら熱くなったのを思い出す。3度目の挑戦で完走した時のがむしゃらに泣きまくってた、いい歳した大人たちの青春風景が忘れられない。リアルタイムのTBSラジオ「スーパーギャング」は眠気でほぼ聞けなかったのに、断片でもその熱気に動かされ、本、ビデオ、このCDとあの頃の記憶が残っている。→
海月
KURAGE/independent*
極東アジアっぽい印象の聴かせるメロディーと、気持ちのいいザクザクとしたギター。過剰なアレンジや、いかにもポップス的な曲展開もかなりビシっと決まっている。ドラとか「ジョワーン!」と入るし。ただ、詩ののせ方が残念。東洋音階っぽい音符の一個一個に一文字一文字のってるのが、何を唄っても学校の優等生っぽい。たぶん、正直な人なのだと思う。声には説得力あるしアレンジも厚いので、「聞く人にとって他人すぎる特定の私とあなた」に留まらず、もっと大きな事を唄えばいいのにー。グルーヴを作り出すためには、何の要素が必要だろうかと考える。人の気持ちを巻き込むのは、音楽のバックボーンだろうか、あげてしまう愛情であろうか。→
弓になって
山葉/Bad News Records
印象は無気力に漂うフォークだが、ヤッホーなど気楽な単語にダマされるな。メンボーズを聴いていた頃とは確実に違うところを湿った手で撫でてくる。向こうもこちらも、ココロウキウキ自転車漕ぐだけではごまかせない時間を生きた。戻らない恋の時間を過ごした。「遠いものは遠くあって欲しい、私は幸せで、沼津の空へ全部おいてきた」とかぐっと来る。中村房代の歌声はもう大きな存在だ。世界の仕組みすら知らなくて、目の前の不安は目の前のことを頑張ることで解消できた、楽しくて仕方なかったあの頃を切なく思い出させる。歌詞カードの5と7が入れ代わってるミスプリントを発見。責任がどうこう言わずに「あちゃー」って笑っていて欲しい。→
THE BEATLES TOKYO DAYS
THE BEATLES/OVERSEAS RECORDS
日本人に向けてのインタビューや、アナウンサーが勢いづいて紹介する音声を収録した来日時の記念盤なのだろうけど、海外のコレクターはこういうのもフルコンプリートするのだろうか。聴きどころはコンサートでビートルズが登場する直前の司会。昭和のマジメさ「これより日本で初のビートルズコンサートはじまります。盛大な拍手で迎えたいと思います」。けっこうツボだったのが『ウィー・ラヴ・ビートルズ』というフニャフニャガールポップが入ってる。「あたしったちは~ビートルズ大好きよ~あたしはポールあたしはリンゴ好きよ~」みたいな英語の歌。かき集めた録音を商品化したみたいだけど、ファンは買ったんだろうな。→
ボヨヨンロック
まんが道/トイズファクトリー
筋肉少女帯に加入したギター橘高文彦のオーケンワークスの初仕事。大槻の「青春歌謡メタルを弾いてくれ」という注文にみごとに応えている。橘高はこれを最後にトレモロアームを使う奏法を封印している。まんが道の第二段シングルは企画のまま幻となってしまった『セニョールセニョリータ』。「セニョールセニョールセニョリータ、セニョールセニョールセニョリータ、おいらはいつも魚屋さん、おぉジーザスおぉジーザス、オーマイガー」2番は「セニョールセニョールセニョリータ、セニョールセニョールセニョリータ、おいらの父ちゃん高島忠夫、おぉジーザスおぉジーザス、オーマイガー」フォークギターでのパフォーマンスだけが発表されたがCD未発売。→









