utopia
miida/KiKi Records
MV『utopia』にCASIO MA-101がキラキラ輝いてる。私も好きだよ。室内で何度か弾くメロディ、コンコロコロという音はTONE BANKのマリンバでしょうか。PCM(Pulse Code Modulation)音源がレトロと言われますが、登場時は「なんてクリアな音。この価格で手に入るなんて!」と驚いた逸品です。上位楽器のシンセサイザーでよく使う人気のある音がほぼ分かってきた時代なので、汎用性の効くピアノ、管楽器、弦楽器、ドラムの無難なプリセットの間に、キラッと光るパイプオルガン、メタルリード、メタルギター、チャーチベルのお値段以上にリッチなこと。80年代ポップカルチャーの1989年。→
KOE
佐藤千亜妃/Universal Music
同性婚とかその養子縁組子育て制度とか、何年かかっても一段落したら、次は産まれながらにビルや橋しか愛せない人間と建築物との結婚を法律的に認めるべきかという議論に、判断基準が出来ている可能性。そのようにしか生きれない。進んでいる遅れている等ではない。一夫多妻の国や、一妻多夫の民族はこの地球上に今だって現存する。それに対して、遠い他人が幸せの答え合わせをすることの難しさ。「僕は君のなんですか?」地球の裏側の地震津波と、自分の街の貧困格差、何が心に届くのか来ないのかそれは説明できない。ぶっちゃけ社会問題だって選り好みなら、気になる人・物・事がきっと自分の『カタワレ』。関わる使命があるのでしょう。→
adieu 2
adieu/ソニー・ミュージックレコーズ
テレビもラジオも有名雑誌も、おカネを出すファンの盛り上がりだけがイス取りゲームの勝者。色とりどりの賑わいを並べても、特定の有名人のファンにしか届いてない。そのファンの集いをやることでしか、どのメディアもマネーが集まらないのでしょう。スマホではタレント本人の発信がタダで楽しめるのだから、関係無い多くの中抜きスタッフが関わる大型のテレビを寂しいからつけておくなどコストの無駄。でも、推しがテレビに出る数分の持ち時間はお祭り。そんな今、誰がTVサイズのスターになるのか。テレビ出身の寵児、上白石萌歌さんではないでしょうか。ギターを弾く『天使』のささやきから、いつか年末の大舞台に立つまで見てゆきたい。→
Forever
Trinity-X/Aatw
YouTubeのいい音楽をピックアップする活動約9年位を振り返ると、始めた頃は曲名を検索してもダイジェスト数十秒しかアップされてなかったり、そもそも投稿も公式チャンネルも無かったりして「ファンたちよ、お前らの違法アップロードもその程度か?!」というアウトな感情になったものだが、今や使用楽曲からの著作権対応も備わり、レーベルやアーティスト公式が過去作品まで公開してくれる時代到来。だがその公開も誰かが探してくれないと0再生。人の話題に上がらなければ無いのと同じ。だからファンは過去作品に対し「わー『Forever』のプロモビデオあったんだ」とつぶやく。未来のアーティストは旧作とも時間や課金を奪い合っている。→
オムライス
橋爪もも/レインボーエンタテインメント
何年か振りの音楽体験、歌声が好きな人に出会えた。ラジオから流れてきた曲は『オムライス』。ブレス音とは違う意味で、ぬくもりとしての息を感じる。まるで低速回転のロータリースピーカーから流れるオルガンの音のように気持ちよくゆっくり震える。弦楽器でなくリード楽器から発せられる声でしょう。ビブラートというよりももっと情緒的なメロディーとして響く声のゆらぎ。わたしとあなたの二人のことを歌う「ただいまおかえり」なサイズ感も、夜ラジオを聞いている距離空間に最適だった。別れを描いた曲なのだけど、相手の言葉を聞こうとしたこと、前を向いて歩き出さなきゃいけないこと、胸いっぱいの歌声が未来の話をしようと語りかける。→
吉川美南ちゃん
ありもとねこ/ローズクリエイト
JR武蔵野線、越谷レイクタウンの脇で小さく咲いていた花に気づいていなかった。聖蹟桜ヶ丘、京王稲田堤、に感じていた語感のもどかしさをバッサリと解消してくれた、それが吉川美南駅。これを歌うのが擬人化された被り物のゆるキャラ吉川美南ちゃんなら自己顕示欲が溢れた失敗になっていたかもしれない。名曲として推し上げているのがコスプレイヤーでTikTokerのありもとねこ。「あたし、君も、僕も、みんな、吉川美南」と巻き込んでいくことで、関わっていく人や店やご当地グルメ全てがキュンキュンする存在にトランスフォーミングしていく。かわいく踊れる、切り取っても中毒性がある、駅の街の応援ソングの令和TikTok時代のリアル。→
心は洗濯機のなか
カネヨリマサル/D.T.O.30.
スリーピースロック。バンド名カネヨリマサルは架空の名前、50歳の会社員の優しいおじさんらしいです。入院病棟のナースセンターで老人が「ワシは金に困ったことは無いんだ」と大声で言ってるけど看護師が嫌な顔してるとか、「金で買えないものがあるなら教えてくれよ」とドヤ顔してるけどみんなに軽蔑されている人とか、そういうの見るの好きです。架空の50歳会社員カネヨリマサルさんはバーチャルだけど、年齢で逆算すると歌謡パンクが刻み込まれたバンドブーム直撃世代。令和のポップスはEDM全盛、ギターソロもワンツースリーゴーもありゃしない。思っていたところに、青春ロック『ラクダ』は消えた夏の日の恋、いいね。お金より優る歌。→
都会の寂しい女の子
lonely planet/sakasakasa
これ書いてる時点では分かりません。現体制終了その後どうなるのか。コンセプト「都会の寂しい女の子」は、次にドアを開ける女の子たちによって引き継がれるのでしょうか。メンバーが寂しくなくなって幸せになり卒業とかいう、美談みたいなゴールテープがあったとしても、終了発表とともに突入したサヨナラの期間は苦しい。世界から寂しさは無くならない。でも、寂しかったから通り過ぎなかった。寂しかったから同じことを思っていた。だから、寂しくてよかった。『SECRET GIRL』は、君には君の地獄があるという歌。私には私の地獄があり「がっかりされるかもしれない秘密が、お互いにある」それが解り合える一縷の望み。→
バイバイ
佐藤玖美/independent*
シティポップというジャンル、概念が再燃。ガツガツしていない。縛り付けず、押し付けてこない。我が!我が!という厚かましさとは真逆。そう文字にするとやっていることを沢山の人に伝えるのは大変そう。広告費や紹介者や、なにしろ、シティポップが流れるに相応しい時間が必須であり、それは聴く人たちの生活の時間の中に委ねられる。シティポップリバイバルに関して、皆どこで音楽を聞いているのだろう。あるいは深夜の都会のドライブを夢見ながら、マスクの満員電車でYouTubeを見ている姿が実情だったりするのだろうか。カーステレオならリアルに精神の開放。ヘッドフォンならば「仮想空間にジャックイン」という言葉が似合ってしまう。→
風に言葉を
中井大悟/エムズレコーズ
まるでギター一本男性シンガーソングライターの歴史をつなげているような弾き語りの歌声なんだ。かつてフォークギターを持っていたような会社の上層部のおじさんたちが、街角で唄う中井大悟を見ながら「どこかの人生で分岐した、あれは僕だ」と言い出してもおかしいことではない。詞の真っすぐさや、今唄いたい熱量に満ちていて、歌い手の存在を意識してしまう。そして思い入れしてしまう。いつまでも唄い続けてくれるんじゃないか。会社組織の幹部となって悩む日々も、路上でギターケースを広げる日々も、あの時選んだ道の自分のおもいっきり。いつの間にかじわじわ疲れ切っていたとき、その過程にも忘れていた全力投球があったことを、思い出させてくれる。→









