人間愛 | くにまさのブログ

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    (『新・人間革命』第7巻より編集)

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         〈操舵〉 3

 

 しかし、同志が雪で止まった列車にいることを思うと、自分の家の雪下ろしどころではなかった

 

 どの家も、自分たちの食事も早々に、炊けるだけの飯を炊き、大急ぎでオニギリをつくり始めた

 

 炊きあがったばかりの飯はまだ熱く、手はすぐに真っ赤になったが、手を水で冷やしながら、飯を握り続けた。

 

 菓子箱やボウルなどに入れ、風呂敷で包み、急いで、吹雪の夜道を徒歩で宮内駅に向かった

 

 胸まで雪につかり、白い息を弾ませ、泳ぐようにして歩いた。場所によっては電柱が雪に埋まり、電線をまたぎながら、進んでいかなければならないところもあった。

 

 長岡支部の人たち多くは、長岡駅の周辺に住んでいた。長岡駅から宮内駅まではおよそ三キロの道のりである。

 

 普段なら、四、五十分の距離であったが、吹雪の夜道とあって、二時間余りかかった。

 

 オニギリは、いったん宮内駅の近くの会員の家に集められることになっていた。この会員の家は鮮魚店で、仕出しも行っており、大きな釜や鍋、椀なども揃っていた。

 

 ここにも、二十人ほどの人が集まり、味噌汁をつくっていた。

 

 オニギリの数がまとまったところで、駅に止まっている列車に運び込まれた。時刻は、既に、午後十一時ごろであった。

 

 「皆さん、長岡支部の方々がオニギリを届けてくれました。温かい味噌汁もあります。これから、お配りいたします!

 

 疲労と空腹で曇ったメンバーの顔に光が差し、歓声と拍手がわき起こった。

 

 長岡支部の婦人が、車内に入り、オニギリと味噌汁を配り始めた。

 

 「さあ、温かいうちに召し上がってください」

 

 配り終えると、長岡の婦人は言った。

 

 「皆さん、大変でしょうが、頑張ってください。私たちも、できる限りのことは応援させてもらいます。

 

 必要なものがあったら、遠慮せずに言ってください

 

 車内の人びとの目が潤んだ。

 

 

 

 

 

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