(『新・人間革命』第7巻より編集)
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〈萌芽〉 40
春山は、理性的なものの考え方をする人物であったが、それも広宣流布を進めるうえでは大事なことであるし、また、アメリカにあっては、はっきりとものを言うことも、必要不可欠な資質である。
さらに、彼が信心に励んでいくならば、頑固さは、不屈の信念となって輝いていくはずである。
初めから完成された人間などいない。一人ひとりのもっている可能性を見いだし、全力を注いで、皆を人材に育て上げていくことが、幹部としての責任といってよい。
春山は、伸一の話を、真剣に聞いていた。
「学会の真実の姿を見極めずに、軽く見ていると、将来、大きな後悔をすることになります。
学会はこれからも、さらに大発展していきます。やがては、世界各国に、たくさんの学会員が誕生することになるでしょう。
また、学会が母体となって、将来は、高校や大学もつくっていきます。音楽の交流のための財団もつくります。
仏法を根底に、政治、教育、芸術など、あらゆる文化の大輪を咲かせ、人びとの幸福を築こうとしているのが創価学会です。
人間の一生には限りがある。その中で、人生をいかに生きるかが、最も重要な問題です。
もしも、自分の社会的な地位や名声、財産を得ることに汲々として、人生を送るとするならば、最後は、空しさだけが残るにちがいありません。
結論していうならば、人びとの絶対的な幸福のために、世界の平和のために貢献していくことです。
つまり、広宣流布のために生き抜いてこそ、最高の歓喜と充実のなかに、最も意義ある自分自身の人生を完結していくことができる。そのための信仰です」
伸一の言葉には、強い力が込められていた。
彼は必死であった。