○前回、「魏志倭人伝」の主題である倭国三十国の案内は、次のようだと紹介した。
【渡海三国】
・狗邪韓国・対馬国・壱岐国
【北九州四国】
・末廬国・伊都国・奴国・不弥国
【中九州二十国】
・斯馬国・巳百支国・伊邪国・都支国・邇奴国・好古都国・不呼国
・姐奴国・対蘇国・蘇奴国・呼邑国・華奴蘇奴国・鬼国・為吾国・
・鬼奴国・邪馬国・躬臣国・巴利国・支惟国・烏奴国・（奴国）
【南九州三国】
・投馬国・邪馬台国・狗奴国
○このうち、日向国に該当するのは南九州三国になる。それは投馬国・邪馬台国・狗奴国に分かれているけれども、後世、日向国は薩摩国・大隅国・日向国の三国に分かれた。おおよそ、もともとの日向国がそのように大きく三つの地域に分かれていたようである。
○そういうふうに考えると、「魏志倭人伝」が案内する投馬国・邪馬台国・狗奴国は、おおよそ、次のようになるのではないか。
・投馬国＝日向国
・邪馬台国＝薩摩国
・狗奴国＝大隅国
○ブログ『神代三山陵比定地問題を考える』で触れたように、真実の神代三山陵は次のようになるしかない。
初代・彦火瓊々杵尊の御陵＝可愛山陵＝鹿児島県肝付町内之浦甫与志岳（叶岳）
二代・彦火火出見尊の御陵＝高屋山陵＝鹿児島県肝付町内之浦国見山
三代・彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊の御陵＝吾平山陵＝鹿児島県鹿屋市吾平町上名の吾平山陵
○これは当古代文化研究所が白尾國柱の研究を継承して神代三山陵比定地問題を追求し続けて来た結果、解明したものである。これが真実の神代三山陵であることは、神代三山陵の先坣僑位が証明してくれる。そのことについては、次のブログで案内した通りである。
・テーマ「日向国の邪馬台国」：ブログ『神代三山陵の先坣僑位』
神代三山陵の先坣僑位 | 古代文化研究所 (ameblo.jp)
○天皇家の故郷は何処か。それは神代三山陵の存在するところに他ならない。何故なら、初代天皇である神武天皇の親が彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊であり、祖父が彦火火出見尊、曾祖父が彦火瓊々杵尊だからである。
○その神代三山陵が存在するところが邪馬台国では無くて、狗奴国だと言うのに、驚く。それは大和国一宮が大神神社であることと見事に一致する。大神神社の斎き祀る御祭神は出雲神である大物主大神であって、天皇家の神様では無い。そういう肝心なことを誰も問題にしない。
○邪馬台国が発展して大和国が誕生したことは誰が考えても判ることである。その邪馬台国の神様が出雲神なのである。出雲神の故郷は鹿児島県鹿児島郡三島村硫黄島である。そのことについては、２０１４年８月に、次のブログに書いている。
・テーマ「「おしえて邪馬台国」の不思議」：ブログ『出雲神の故郷』
○天皇家の故郷が狗奴国であることについても、当古代文化研究所では、これまで何度も問題にしている。その中で、２０１１年９月に書いた次のブログを案内しておきたい。
・テーマ「邪馬台国検証」：ブログ『天皇家の故郷～狗奴国の風景～』
天皇家の故郷～狗奴国の風景～ | 古代文化研究所 (ameblo.jp)
○問題が問題であるだけに、いい加減な検証では済まない。当古代文化研究所では、この問題を30年以上、追い続けている。結果、天皇家の故郷は狗奴国とするしかないことが判る。大隅国に、嘗て救仁郷が存在したことは、江戸時代の国学者、白尾國柱が「麑藩名勝考」で指摘している。それに、実際、現在でも鹿児島には救仁郷さんがいらっしゃる。私の知人にも一人居る。
○神代三山陵の比定地問題は、そういう大きな問題である。それを宮内庁が放棄したままであることが信じられない。おそらく、神代三山陵がそういう問題を孕んでいることに宮内庁は気付いていない。気付いていれば、放棄することはあり得ない話である。
○2021年正月19日の、ブログ『神代三山陵：可愛山陵』を皮切りに、長々と神代三山陵について、書いて来た。今日2021年3月3日の、ブログ『天皇家の故郷が狗奴国であること』で、このシリーズを終わりとしたい。都合、42個のブログを書いている。
○昨年末まで書いていた「甑島周遊」がそのままになったままである。前々から気になっていた。これから「甑島周遊」について、残りを書き記しておきたい。甑島も気になる島である。おそらく、それは『小敷島』である。
○そんな話をしたところで、誰も留意しないかも知れない。実は大和に掛かる枕詞が三つ存在する。枕詞が三つも存在する、そんな名詞は無い。そういう枕詞の一つが『敷島』なのである。その枕詞『敷島』がどういう意味内容であるか。それを教えてくれるのが甑島なのである。