<クリフハンガー フォールアウト(The Ledge・英・2021)>★★★☆

 

 

高さ3000メートルの岩壁で凶悪な男たちに命を狙われた女性ロッククライマーの戦いを描いたイギリス製のサバイバル映画ですが、82分と比較的短い作品でした。原題は単に“岸壁”ですが、邦題はシルヴェスター・スタローン主演でヒットした<クリフハンガー>をパクって。これに”フォールアウト“なんて変な言葉をくっつけてお茶を濁しています。しかし、かつては登山が趣味と豪語していた私にとっては、山岳映画はいつも興味深く見られるジャンルです。

 

>LAからイタリアへやって来た若い女性2人、ケリーとソフィーは岩登りが好きで、標高3200mのアンテラオ山の岸壁に挑戦しようとしています。実は、ケリーは婚約者と1年前にこの岸壁に挑戦中に婚約者を失っていました。そこへ隣のロッジから4人の男がやって来て、やはりこの岸壁に挑むと言います。男たちは2人をキャンプファイアに誘いますが、

ケリーは気が晴れず早々にロッジに戻ります。ソフィーは酔った挙句、4人の中のボス格のジョシュにレイプされ、3人も共犯と脅されて口封じのため崖下へ突き落として殺害してしまいます。ソフィーを心配して探しに来たケリーはその現場を偶然目撃して写真を撮っていました。その結果、ケリーも命を狙われ、岩壁を登って逃げようとしますが、男たちは一般登山道を通って頂上へ先回りして上部から執拗に彼女を追います・・・・

 

と言うことで、そうとは知らず、ザイルもなく素手で必死に登攀するケリーの苦闘が延々と描かれます。山頂で彼女を待ち伏せている男たちは、厚着をして火を焚いているのに、必死に岩登りをしている彼女は必至の逃亡とは言え、真夏のようなタンクトップ姿は男性観客へのサービスだと思います。でも、水も食料も亡くなった頃、山頂直下の崖に運よく誰かが残していった宙づりのテントがあり、少量ながら水と飴にありつけます。しかし、それに気付いた男たちは山頂からリュックをつけたザイルを垂らして、時計の振り子のように降ってそのテントを壊してしまってサスペンスを深めます。カメラをよこせば命は助けるというジョシュの声に、ケリーはメモリーカードを抜き取ったカメラをロープの先に結んで渡しますが、すぐに気付かれ、ジョシュは荒れ狂います。脅されて共犯者にさせられたて嫌気のさした仲間をジョシュは山頂から突き落としてしまいます。

 

映画の常套として、ヒロインは助かり、悪い男たちは死ぬのは最初から見当がついていて、どんな形で決着をつけるのかと思って見ていましたが、仲間割れと遂に登頂したケリーともみ合ったジョシュが転落死することでハッピーエンドとしていました。ヨーロッパ・アルプスの一角を見られたのが取り柄の作品でした。