<懺悔 (Monanieba・ジョージア・1984)> ★★★☆

 

 

 アブラゼ監督の3部作の最後の作品であると共に、彼の最後の作品でもあります。スターリンの死後、ソ連はフルシチョフやブレジネフの時代となりますが、相変わらず思想や宗教の弾圧は続いており、ソ連邦が崩壊したのは、この<懺悔>が制作された翌年、「ペレストロイカ(再構築)」を旗印にゴルバショフが政権を確立してからのことでした。スターリンはアブラゼ監督と同じジョージア人ですが、この映画はジョージアの都会で粛清弾圧を続けて君臨していた市長が亡くなった後の騒動を描いています。

 

>市長アラヴィゼが亡くなり、市をあげての盛大な葬儀が行われた後、埋葬されます。しかし、翌日、遺体が何者かに掘り起こされ、市長の邸宅の庭に戻される事件が起きます。市当局は極秘で再埋葬しますが、又も同じ事件が起きます。当局も市長の遺族も放置しておけず、墓場を厳重な鉄格子で囲み、見張りをつけます。深夜、又も犯人が現れたところを逮捕しますが、犯人は若い女性でした。裁判が始まり、被告人のケテヴァンは反抗の理由を、幼い時に両親が“人民の敵”として逮捕殺害されたことへの報復であり、彼のように粛清で何人も殺した人間は墓に埋葬される資格がないと思ったと証言します。弁護人は、彼女が誇大妄想患者で証言は信ぴょう性がなく、精神病院送致が妥当と主張します。当局は“偉大な英雄”としての偶像が落ちることを危惧して、その主張を認めて彼女に無罪判決にしたうえで病院に監禁してしまいます。父親の真の姿を知った息子のアベルは父を恥じて、自ら墓を掘り起こして父の遺体を引きずり出し、高い断崖から投げ捨ててしまいます。

 

ソ連邦が末期的症状にあった最中の作品なので、独裁政権への批判も前2作のように象徴的ではなく、

コメディの形をとっていますがかなり露骨になっていました。それでも、制作中はかなり検閲され、ソ連国内で公開されたのは「ペレストロイカ」が軌道に乗り始めた数年後だったようです。

 

それにしても、漸く思想や表現の自由が多少なりとも認められるようになったという解放感からか、アブラゼ監督も少しはしゃぎ過ぎて悪のりしたみたいで、市長にオペラのアリアを2度も歌わせたり、特殊警察に中世の鎧兜を着せて槍を持たせたり、なくもがなのエピソードを幾つも挿入したりして153分という長尺になってしまい、3本続けて見ての疲れもありますが、途中でかなり白けてしまいました。3部作の中では一番感銘の薄い作品でした。内容的にはかなり濃い作品なので、枝葉末節を切り落として精々120分以内にまとめれば良かったのに残念でした。