【PS5】The Invincible 感想 | モノモリ-・ゲーム・ダイアリー

モノモリ-・ゲーム・ダイアリー

旧ブログ名「僕とPSな日々」
ゲームなどの感想
主にプレイステーションで遊んでます

テーマ:

ポーランドのSF小説作家、スタニスワフ・レム原作小説のゲームだ。

タイトル画面のBased on S .Lem’s iconic novelという表記に興奮する。

レムの小説がゲーム化されるとは。

 

雑談

何ヶ月か前にレムの「インヴィンシブル」という小説を原作とするゲームが発売される、という記事を見た時、「インヴィンシブル」…知らない小説かな、と思ってよく読んだら、昔ハヤカワ文庫SFから出ていた「砂漠の惑星」のことだった。

 

「砂漠の惑星」は00年代に新装版が出た時に読んだ。しかし内容はあまり覚えてなかった。「ソラリス」に少し似ているような、そうでもないような…そんなおぼろげな記憶しかなかった。

 

今はハヤカワ文庫版は絶版になり、国書刊行会の「スタニスワフ・レム・コレクション」第二期の一作として「インヴィンシブル」というタイトルで新訳版が出ている(原題は「無敵」という意味のポーランド語らしい)。

せっかくなので新訳版を買って読んでからプレイした。

 

ゲーム性

一人称視点のアドベンチャーゲームだ。アクション要素はない。

パズル的な謎解きもなく、ストーリー分岐と惑星での冒険や世界観を楽しむような作品だ。

頻繁に会話に選択肢が出てきたり、行動によって変わる、目に見えない選択肢があったりして、選んだ内容によっては展開が大きく変わったりちょっとだけ変わったりするので、選択肢とその分岐が無数にあるように見える。

何を選ぶかか、どう答えるかは迷うけれど、それでも五里霧中の中、自分で判断して行動してその結果を引き受けている感じがあって緊張感とわくわく感があって楽しかった。

 

それでいて、実際にメインストーリーに関わる分岐は案外少なかったりするので、どういう選択肢を選んでも話の幹の部分は共通して楽しめる作りになっている。

ただ、最後のチャプターだけはエンディングに関わるだけあって、目に見えて違いがわかる。

 

グラフィックはとても綺麗で、美しい。そんなレギスIIIを冒険するのは、楽しかった。

 

ストーリー

主人公の生物学者・ヤスナが、レギスIIIという惑星の圧倒的な生態を目にしてその進化の秘密にせまっていく、という話だ。

原作とは世界観が同じで時間軸だけが少し違っている。

インヴィンシブル号がレギスIIIが到着するよりも前の時点のオリジナルのストーリーだけど、ちゃんと原作と整合性のあるストーリーだった。

原作は描写の多い小説なのだけど、その原作で描写された世界観が美しく描かれていて、本当に感動した。

もう、砂漠の惑星が美しすぎる…!

 

レギスIIIの秘密に迫っていくストーリーも、世界観の改変はほぼなく(ただ、宇宙連合とか連邦とか若干の政治的要素は追加されている)、少しわかりやすくした解釈を加えられていて良い感じだった。

ヤスナが発見したものの意味を考え、そのことについて艦長と議論し、それぞれ理解を深めていく様子は、思索的・論理的であり、レムの小説をよく理解している人がシナリオを書いたんだろうなと思った(小ネタ的に「フィアスコ」とか「ソラリス」という単語が出てくるのもレムへの愛を感じる。)。

 

人類のような知的生命体はなぜ生まれたのか、生まれたことにどんな意味があるんだろうか、他の可能性はなかったのか、という素朴な疑問を哲学者の想像力を持って問いかける、そういう精神は全く失われていない、と感じた。

 

ガジェットも60年代、70年代の時点で想像できたようなものを配置しつつ、レトロな感じはあるけれど、実用性が感じられて、良い感じだった。

 

原作で出てきた、墓石聴診器、歯形のついた石鹸や最強兵器サイクロプスなども出てきたり、原作のハイライト的な場面がうまく別の形で再現されているのも良かった。

 

トロフィーなど

トロコンできました。

別の記事に改めます。

 

総評

SF小説のファンなら大満足するような内容だったと思う。

僕も00年代にSF小説のリバイバルブームにかなりハマったのでこのゲームを存分に楽しめた。

 

原作小説のゲーム化という点では100点満点じゃないかと思う。

 

ストーリーは原作を読んでいる必要はなく、むしろ原作の要素がしっかり詰め込まれているので、このゲームさえやればほぼ原作を読んだのと同じ体験ができるような気もする。

 

僕はこれをきっかけにレムの小説をもっと読みたい気分になったので、レム・コレクションの持ってないやつを集めていこうと思っている。

まずは、「主の変容病院・挑発」を買った。

レムコレクションは第1期の方が装丁がかっこいい。

しかし読み始めて1週間経つが、なかなか読み進まずようやく20ページくらい読んだところだ…。