『しのゼミ』 -75ページ目

『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

「間思雑慮の粉粉擾擾たるは,外物之を溷すに由るなり.常に志気をして剣の如くにして,一切の外誘を駆除し,敢て肚裏に襲い近づかざらしめば,自ら淨潔快豁なるを覚えむ.」

『心に無益なことや雑多な考えが起こって,ごたごたするのは,外界の事物が心を乱すのによるのである.故に,平生から,精神を剣のように鋭利にもって,一切の外界の誘惑を駆除し,絶対に腹の中に襲い近づけるようなことをしなければ,自ずと,きれいさっぱりとした気持ちになることに気付くであろう.』
(「言志四録」佐藤一斎著/川上正光訳 講談社学術文庫)





<しの訳>
剣のような精神を持って,いろんな誘惑を駆除し,一切惑わされてはいけない・・・とおっしゃっているが,なかなかこれは難しい.

私たちの現状というか周りの環境は外誘だらけと思われる.よって,それらがある程度は近づくのを防ぐことはできないだろう.毎日接していかなければならないこともあるだろう.

ならば外誘がすべていかんという風に読むとやっていけないので,溺れることなくうまくつきあうべしと考えてみよう.

それに剣とは言うまでもなく戦う道具であり,外誘がその相手ということになるが,剣からは常日頃の鍛錬とか手入れの大切さなどが連想される.

ゆえに,「精神を常日頃から鍛錬して,外誘に溺れずうまく付き合えば,澄みきった気持で精進できるよ」・・・とこんな感じでどうだろう.
予期せぬことが起こって,びっくりして「頭が真っ白!」になってしまう・・・これをはじめて経験したのは米国留学のときである.

自分の留学先は,胸を張って自慢できるような大学とか研究所ではなく,ほんとに寂れた大学であった.

そんな所だったが,だいたい7時過ぎ頃に研究室に着いて,夕の6時頃まではしっかり働くようなまじめな研究生活を送っていた.

一般に米国では,ハードワークするならばどちらかと言えば朝型のヒトが多いので,7時過ぎと言ってもそんなに早い出勤ではない.

しかし,この寂れた大学では,7時出勤はかなり早い方であった.



ある朝のこと.

いつものように研究室へは一番乗りで,研究室のドアの鍵を開けようとすると・・・・・

ドアの窓が直径15㎝ほど割られていた.

割られたドア窓から,まだ暗い研究室内が覗き見える.


「あれっ・・・?」



・・・・・頭,まっしろ・・・・・



・・・ガラスが割れてる・・・

・・・なぜだろう?・・・

・?・?・?・?・?・?・?・

・・・割れたガラスには血がついてる・・・

・・・なんじゃこりゃ?・・・

・?・?・?・?・?・?・?・


割れたドア窓を前にして,頭が真っ白のまま立ち尽くしていた.


・・・これって,ひょっとしてどろぼう?・・・

・・・今アメリカにいるんだっけ?・・・

・・・だとすれば,どろぼうはピストル持ってるかも・・・

・・・ひょっとして,ピストルを持ったどろぼうがまだ室内にいるかも・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

ぐわぁ~」と言ってすぐに逃げ出した・・・つもりだったが,どう考えてもドア前に30秒くらいはボケーっと突っ立っていたと思われる.



結局は研究室内の共有PCが盗まれており,物盗りの仕業であった.

犯人はドアのガラスをパンチでぶち割って,中から鍵をこじ開け,PCを持ち去った模様.

割れたガラスに付いた血痕が,この犯行の荒々しさを物語る.

血痕はしっかり固まっており,少なくとも数時間前(真夜中?)の犯行と思われた.

犯人はあまり頭がよさそうに思えない(手が痛かったろうに・・・)が,明らかに自分たちの部屋のPCを狙っての犯行であり,内部事情に通じたものが絡んでるし・・・,物盗りがいるかもしれない部屋の前にボケーっと突っ立っているし・・・

今から思い返しても,ホントに背筋が凍る思いがする.

先日に家族の迎えのため,某所に向って車を運転中のこと.

バシッッ!

とてつもない音がして,我が愛車のフロントガラスに何かが当たって弾けた.

「んっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

突然の出来事に頭が真っ白!である.


・・・なにかが当たってすごい音がした・・・ってことは・・・

・・・石か?・・・

・・・あぶねえなあ・・・

・・・子供が車の窓から顔出してたらどうすんじゃ・・・

・・・ひょっとすると・・・誰かに投げられたか?・・・

・・・でも,見渡しても誰もおらんみたいやし・・・

・・・あの家あたりから投げつけられたかも・・・

・・・あるいは対向車から投げられたかも・・・

・・・でもまさか,さすがにそんなことはあるまい・・・


上記は石があたった直後に頭に浮かんだ偽らざることである(ちょっと被害妄想的な傾向があるのが気になるが・・・).

情けないことに,何が起こったのか,その理由はなにか・・・ということについて,まったくまともに考えられていない.


それから少しして・・・


・・・そういえば対向車にダンプカーがいたっけ・・・

・・・ダンプカーからだったら,小石が落ちてきても不思議じゃないか・・・

・・・その小石がアスファルトで跳ね返って,運悪く我がフロントガラスにバシッときたか・・・


まぁ予期せぬ物事が突然身に降りかかってきた時の人間の反応とは,多かれ少なかれこのようなものかもしれない.

とんでもないことがおこると,まずは頭が真っ白になってからっぽになる.

それから,見たり聞いたりした状況が,からっぽな頭に一つずつ入ってくる.

そしてだんだん周りが見えてくる.

状況が大きく変わらなければ,頭の白さが取れてくる.

ようやく冷静になって,少しずつまともに考えることができてくる.

頭が真っ白になってしまい,少し冷静な思考に戻るまでに数十秒~一分ちょっとかかっている.

こんな経験をすると,たとえば「フリーズ!」などと突然言われても,頭真っ白で固まることはできても,的確な行動などできないだろうと思えてくる.

まぁこのような予期せぬコトに対しては,たぶん「慣れ」ることはできないだろうし,できることなら二度とお目にかかりたくはない.

ちなみにこの件は,「飛び石による窓ガラス破損」ということで,幸いにも車両保険の補償対象になっていた.

保険会社とカーディーラーに手続き及び修理依頼をした.
年末から年始にかけて,そろそろ来年度の人事が動き出す.

西日本大病理部の人事も,この年度代わりで大幅に変更である.

大幅といってもたったの4人だが,部で働いているのが合計11名ほどだし,ここ2年ほどは変更無しだったので,刷新とは言わないまでもかなりの様変わりを感じてしまう.

具体的には以下のヒト達の異動が決まっている.


助手のK先生→市中病院へ異動
医員の後輩くん→大学院へ
主任技師さん→定年退職
非常勤技師Yさん→契約期間切れ退職


今時,非常勤職員で3年でクビという制度はなんとかならんもんか・・・と思ってしまうが,以上4人が去るヒト.

まぁそれぞれがいろんな面で重要な役割を果たしてくれていたし,思い出もたくさんあって言いようのない淋しさを感じる.

4名が去って3名がやってくるので,マンパワーとしては一名減でちょっと苦しくなる.

ちなみに,来年度からの布陣は以下.


大学院生アミ→助手へ
(医員補充なし)
新規採用Mさん→常勤技師へ(K技師が主任になる予定)
まだ正式決定ではないがOさん?→新規採用で非常勤技師へ


この異動のおかげで3・4月は送別会歓迎会が目白押し.

検査部・病理部・病理講座のものがあるので,単純に考えて6回はある.

まとめてやってくれんかなぁ・・・という声もあるが,自分は飲む機会が増えて不満はない.

それにしても,医師一人減の分が来年度はもろに自分の負担になるだろう.

はぁ~,永遠に楽にはなれんなぁ・・・
「面は冷ならんことを欲し,背は煖ならんことを欲し,胸は虚ならんことを欲し,腹は実ならんことを欲す.」

『顔面(今は頭脳)が冷静ならば,正しい判断ができる.背中が暖かいならば,熱烈,人を動かすことができる.虚心坦懐にして,我見がなければ,他人を容れることができる.腹が充実していれば,胆力が据わって物に動じない.人間はかくありたいものだということである.』
(「言志四録」佐藤一斎著/川上正光訳 講談社学術文庫)





<しの訳>
背中が暖かいって意味がわかりにくい.最初は組織の先頭に立つリーダーの背中のことを言っているのかとも思ったが・・・,ちょっと違うか?

ここは,面と背をセットにして読んだらどうだろう.

「面」とは外面というか表情や態度として外にほとばしり出るもので,「背」とはその反対で内に秘めた情熱ややる気など,と考えれば辻褄が合うように思う.

つまり冷静で,心暖かで,虚心坦懐で,腹が据わっている・・・・・まぁこんなヒトになりたいもんである.