大学生講師に授業を任せる際に、最も重要なことのひとつは「長期的視点を持たせた授業を行わせること」であると考えます。これは単にその日その日の授業をこなすだけではなく、生徒の将来、つまり定期テストや高校受験、あるいはその先の進路までを見据えた上で授業を構成する必要があるということです。
たとえば、ある中学3年生に対して週2回英語の授業を担当すると仮定します。中学3年生の2学期が始まった時点で、受験までに残された授業回数は単純計算で60回にも満たないことになります。この60回の中で、生徒に必要な知識・技能をどのように配分して教えていくかは、極めて戦略的な視点が求められる作業です。
仮にそのうち30回を中3内容の学習に充てるとすると、残りの20回は中1・中2の復習に使い、さらに最後の10回は受験を想定した総合的な演習に充てることが想定されます。このように回数ベースで授業計画を細分化してみると、1回1回の授業の重みと重要性が明確に見えてきます。つまり、「今日は何を教えるか」という視点ではなく、「受験日から逆算して今、何を教える必要があるのか」という視点が不可欠なのです。
そのような視点を大学生講師に持たせるためには、まずは「実感させること」が第一歩です。限られた時間の中で成果を出す難しさや、計画的に物事を進めないことによって生徒の成績やモチベーションに悪影響が出ることを、具体的な事例や数字を通して伝える必要があります。「この授業でつまずいたら、後に響く」という緊張感を講師自身が理解することが、生徒の学びを支える第一歩になるのです。
そして、それ以上に大事なことは、講師自身がその授業を「自分ごと」として捉えることです。生徒の成績や志望校合格に対する責任感を持ち、自らの授業が生徒の未来にどのように影響するのかを常に意識して授業に臨む姿勢が求められます。そのためには、定期的な振り返りや指導計画の共有、他講師との情報交換といった、チームとしての指導体制の中で成長を促していく必要があるでしょう。
大学生講師はまだ教育の専門家ではないかもしれませんが、だからこそ、指導の方向性や視点を与えることが周囲の大人の役割です。そして、講師自身も生徒と同様に「学び続ける存在」であることを忘れてはならないと考えます。