ネタばれ注意!本誌ACT196(1/5発売)の関連妄想です!
未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!
にも初提出とさせていただきました!
メロキュンになるかちょっと怪しいですが、よろしくお願いします~
長くなりそうなので、タイトルを分かりやすいようにナンバリングしました。
亀の歩みで進みますがよろしくお願いします。
これまでのお話
ACT196妄想-11-(side/K-5)
ACT196妄想-12-(side/R-7)
ACT196妄想-13-(side/K-6)
「・・・すき・・・」
(なんで・・・!?)
口から零れ落ちた言葉はもう飲みこむこともできず、私は取り返しがつかない事態に心ばかりが焦っていた。
(よりによって、私・・・なんでそんな言葉を・・・!!!)
自覚したばかりの気持ちをうっかりぽろりとこの状況でこぼした自分の愚かさ加減に今すぐ消えてなくなりたい。
恥ずかしさといたたまれなさに、顔に血が上ってかぁっと温度が上がるのを感じた。
(真っ赤な顔してたら、いくらなんでもごまかしようもないのにっ)
突き刺さるような敦賀さんの視線は私が目をそらすことを許してくれない。
涙で半分ぼやけているのが救いだった。視界がクリアなら、その表情が分かってしまうだろうから。
(こんな手のかかるダメな後輩、見限られるどころじゃすまないわ)
あまつさえ好きだなんて、迷惑以外の何物でもない。
隠し通して、そばにいられるだけでもと願ったのに自分からそれを破壊してしまった。
ひび割れた心に楔を下したのは貴方だけど、ハンマーを打ちつけて粉々にしたのは自分自身だ。
「・・・?」
視線の先で少しだけ訝しげな表情が覗いたが、その口元がふっと笑みをかたどった。
演技ができない私への呆れなのか、この情けない表情に対してなのかなんにせよ、笑われてしまうような状況なのは理解できた。
(・・・もうこれ以上は耐えられない)
恥ずかしくて、情けなくて、縫い付けられた視線を切って顔を背けた。
本当はこの手も払いのけて、一目散にこの部屋から逃げ出したかった。
大きなこの人に抑え込まれた身体は跳ね返す力もなく、どんなに失敗していてもこの仕事を投げ出すわけにもいかない。
失敗の罰は甘んじて受けなければならない。
「・・・最上さん、今、なんて言った?」
降ってきた声は私を最上さんと呼んだ。
目の前にいる人はカインではなく敦賀さんになっていた。
(もう、セツカになれとも言ってくれないんだ・・・)
不合格の烙印をしっかりと押された瞬間だった。
それと同時に聞かれた内容の残酷さに背筋が凍る。
追及されたくない内容だったから。
「・・・え、いえ・・・あの・・・何でもな」
「何でもないなら、ちゃんと答えて」
逃げ切れる訳が無いのに何とかごまかして逃げ出したかった。
もちろんそれは無理な話で、目の前の先輩が許すはずない。
ごまかしの言葉はみなまで言わせてもらえず遮られた。
「わ・・・私、セツカに」
「演技は一時中断。俺は今最上さんって呼んだよね?」
セツカになれてないことを白状した癖に、セツかとして兄さんが好きだって言い訳しようとした言葉も止められる。
その上、この部屋のルールを一時無効にすることを宣言された。
こうなっては、私はもう最上キョーコでいることしか許されない。
そしてあなたはカインではなく敦賀蓮・・・尊敬する先輩。
「君が今セツカになれていないことは明白だ」
(・・・駄目押し)
はっきりと断定された。
敦賀さんの手が私の顔に触れた。温かいと感じていた手は、真っ赤で熱くなった私の顔には今度はひんやりと感じた。
「最上さん、何があった?・・・何を考えている?」
顎を取られ、視線をまた固定される。
目を瞑ることは許さないと暗に言われている気がして、怖くて仕方ないのに私を射抜く双眸の前にひれ伏すしかなかった。
顔を背けたときに瞼にたまった涙はシーツに吸い取られ、今度は敦賀さんの顔がはっきりと見えた。
私の心の中を探るような絡みつく視線に身を守ることができない。
「すきって言った?」
「・・・・・っ」
はっきりと確認された言葉に返事なんてできなかったけど、体が跳ねた。
それは明確に肯定として受け取られただろう。
「・・・誰のこと?」
細められた目と少し低い声。
私には敦賀さんの表情が少しだけ苦しげに見えた。
なんて酷い人だろう。
言えないと思っているのに、その本人に答えを引きずり出されそうになっている。
「・・・・・・・俺の・・・こと?」
確認されて、苦しげに見えた敦賀さんの表情の答えが見えた気がした。
(・・・敦賀さん、困っているんだ)
ヒール兄弟のミッションは続行中だ。それなのに私を知って答えるつもりなど毛頭ないのにこの部屋で一緒に過ごさなければならない。
優しい貴方のことだ、どうしたら私とこの仕事を続けることができるのか考えているんだろう。
気が付いたばかりの自分の気持ちに必死で、これから先起こるだろうことは全く考えていなかった。
「…ごめん…なさい」
後悔が押し寄せる。
今更また謝ったって、敦賀さんを困らせたことがなくなるわけじゃない。
だってほら…苦しそうな敦賀さんの表情が近い。
「ごめん」
優しい声だったけど、謝罪の言葉が形の良い唇から聞こえた。
予想通りの展開に目を閉じて、気持ちを切り替えなきゃと自分に言い聞かせる。
仕事はまだ終わってない、敦賀さんの足手まといにはなりたくない・・・。
目を開けた時、後輩として今のパートナーとして動かなきゃ。
「・・・?」
額にさらさらと何かが触れたと思った瞬間、唇にやわらかい感触。
(・・・え?)
予想してなかった感覚に目を開くと、至近距離に敦賀さんの顔があった。
「・・・つ・・・!?」
驚いて声が出たが、敦賀さんの名前を呼ぶことは叶わなかった。
開いた唇から、何かが入り込んできて私の舌を絡め取り言葉ごと飲みこまれてしまった。
「・・・っ、・・・んーっ!」
何が起こったのか理解できず口をふさがれて、呼吸が苦しい。
少しだけ口元に空気の冷たさを感じて、あわてて息継ぎをしようとしたら更に口内深くに侵入してきた何かに空気を奪われる。
「・・・っ、!はぁ、・・・はぁ、・・・はぁ・・・・」
苦しくて、拳を振り回すと敦賀さんの胸にドンと当たった。抗議するように何度も叩くと、ふさがれていた口元を解放された。
酸欠でくらくらする。不足した酸素を取り込むために自然と胸を上下させていた。
(ナニ??何が起きたの!?)
息苦しさでまた涙が滲んで、敦賀さんの表情がはっきり見えない。
勢いよく空気を取り込むと濡れた唇にひんやりした感覚で、さっきまでの熱源が敦賀さんの唇だったことがぼんやりとわかった。
(え?キス・・・されたの!?口に!?)
「・・・役者の心の法則、使えないからね」
私は荒くなった呼吸と混乱した頭を落ち着かせるのに必死で、降ってきた言葉の意味が理解できなかった。
続き→
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ヘタ蓮の逆襲!
ヘタレのくせにどこまで頑張れるかが見物です!