
読書会は魂の交流の場だ。
文学を語ることは、わたしたち自身の人生を語ることなのだ。
どれほど取っ付きにくい本でも先入観なく受け容れ、どれほど忙しくても必ず読み終えてくる「永遠の文学少女たち」をわたしは心から尊敬している。
わたしはこのページのこの言葉が凄く胸に響いた……。
ヘミングウェイ「老人と海」、ヴィクトル・E・フランクル「夜と霧」、ゲーテ「若きウェルテルの悩み」、サン・デグジュベリ「星の王子さま」、モーパッサン「脂肪の塊」など、巻末の読書会課題本リストのうち、読んだことがある共通の課題本です。
読書による疑似体験によって、いままでの人生の倍以上生きてきた感があります。
成功よりも失敗をしないようにするために先人たちの事例から学んだらと常々思っています。
読書の質や量、内容が足元にも及ばないけれども、ぼくと同じ匂いや雰囲気を醸し出していました。
向井さんが紡ぎ出したほとんどのことばの意味が深くゆっくりとこころに伝わってきました。
司書、翻訳家の向井和美さん。
調べてみると多くの本を翻訳されておられます。
「読書という幸福」という題目にまず目が届きました。
本を語ることは人生を語ること。
読書生活を通して幸せに生きること。
読書が幸福となることを知っている経験者ならば当たり前なのかもしれません。
向井さんが見ている景色と同様なモノが見えてきたらしめたものです。
何か自分に示唆が得られる、大事なことに気が付けるような話が豊かにあります。
読書会に参加する人、読書会を主宰している人、書評を読みたい人、古典と呼ばれる文学を知りたい人など読書に関わる人たちにとって最適で有益な本でした。
(日本最大の読書会猫町倶楽部の臨場感あふれるレポートもあり)
4P
読書会の利点は、自分では手を出さないような本や挫折しそうな本でも、皆で読めばいつのまにか読めてしまうことだ。ひとりだったら途中で放り出していたかもしれない本でも、来月までに読んでいかねば、と思うと辛い頁も乗り切れる。生や死や宗教など、日常生活ではまず口にしない話題でも、文学をとおしてなら語り合える。さらに、ほかの人の意見を聞くことで、自分では思いもかけなかった視点を得られるのも読書会の醍醐味だ。ひとりで本を読み、物語の世界を味わう段階から一歩踏み出し、読書会という場でアウトプットすることで、自分の考えがはっきりとした形になっていく。つらい出来事があって鬱うつした思いを抱えているとき、それを文章にしてみると気持ちがすっきりすることがよくある。同じように、読書会で自分の考えを存分に喋り尽くすと、帰りには不思議とすがすがしい気分になっている。
(中略)
本を開いてページをめくれば、はるかかなたの時代から登場人物たちがやってきて、するるとわたしの心の中に入り込む。そして彼らはいっときそこに棲みついて、パリの街角を闊歩し、かなわぬ恋に苦悩し、夢を抱き挫折する。その姿をわたしは最後まで見届けたあと、ゆっくりと本を閉じる。本を一冊読み終えるたびに、人生を十年ほど余計に生きたような気持ちになる。わたしはもう何百年生きたことだろう。
6P 読書会を楽しむための作法
1 できるだけ欠席しない
2 課題本は必ず読み終える
3 ほかの人の意見を否定しない
4 課題本を敬意をもって。リスペクトする。
5 ひとりで喋りすぎない
6 雑談をし過ぎない
7 参加者同士、互いの生活に入りすぎない
12P 読書会の効用
1 自分では手を出さないような本や途中で挫折しそうな本でも、みなで読めばいつのまにか読めてしまうことだ。
2 日常生活ではまず口にしない話題でも、文学を通してなら語りあえるということだ。読書会は魂の交流の場である。
3 本の感想や意見を人前で話せるようになることだ。
4 同じ本を読んできた参加者から、さまざまな意見を聞けること。自分では思いもよらなかった視点を与えてもらえるのは、読書会の大きな魅力のひとつだ。
5 参加者の人間性を垣間見れることだ。どんな本を読んでいるか、その本を読んでどんな感想を持ったか、それを知れば、その人がどんな人かを知る大きな手掛かりになる。
16P 読書会の形式
1 おすすめの本を紹介し合う会
2 朗読を採り入れた会
3 輪読形式の会
4 同じ課題本を読んできて話し合う会。同じ本を読んできて語り合うこのやりかたが読書会の醍醐味を味わえる
21P 読書会を成功させるためのヒント
1 日時と場所をどうするか
2 課題本選び
3 参加者に年齢差、性別、職業など多様性を持たせる
4 程よい距離感をつくって読書会以外にも交流の場を作る。
5 問題意識を高めておく
6 話し合いの内容を記録しておく
<目次>
はじめに 本をとおして人とつながる
1 読書会に参加してみよう
2 読書会に潜入してみる
3 司書として主催する
4 文学に生かされて1
5 文学に生かされて2
6 翻訳家の視点から
7 読書会の余韻に浸る―「読書会報告」から
おわりに そして読書会は続く
付録・読書会報告 『失われた時を求めて』を読む
あとがき
翻訳家。東京都内の私立中高一貫校の図書館司書。早稲田大学第一文学部卒業