朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -35ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

全体を通してみるととても感動的なストーリーでした。

これまでのやりきれない気持ちで悩むよりも、これから将来のことを憂うよりも、今を楽しむことを。そしていまの自分の幸せに感謝するのです。気づかされました。有難い。

 

281P

がんばれ、という声が飛んだ。

千舟は深呼吸をするとノートを持ち直した

「すると女神は答えました。未来を知るよりも大事なこと、それは、今がどうかということです。あなたは今、生きています。豊かではないかもしれません。でも、生きています。病に苦しんでいるかもしれません。でも、生きています。食べ物があり、眠るところがあり、夢見ることができます。それが誰のおかげでしょうか。あなたひとりだけの力によるものでしょうか。そんなことはないはずです。何が今日のあなたの生を支えているのかを考えてみなさい。

(中略)

大切なのは今です。今、健全な心を持っていられるのなら、それで幸せなのです。今のあなたが存在することをありがたいと思い、感謝しなさい。そうすれば昨日までのことなど気にならず、明日のことも不安でなくなります」

 

東野圭吾さん

大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。「放課後」で江戸川乱歩賞、「秘密」で日本推理作家協会賞、「容疑者Xの献身」で直木賞、本格ミステリ大賞を受賞。

 

池上彰さんは、記者生活やテレビの仕事をしてきたことで、その時に何を思ったのか、これまで何を考えてきたのか、どのように行動してきたのか、いかに物事に対応してきたのかなどを振り返って赤裸々に語っていました。

彼は、むずかしいことをやさしくして話ができる人。中学生にもわかるように噛み砕いて伝えることができる人、内容をしっかり頭に入れて話し言葉でレポートできる人だ。人として尊敬できる人だ。これらは池上彰さん以外は簡単ではないだろう。

この本は、ジャーナリスト池上彰さん自身の総決算ともいうべき見事なほどに含蓄がある言葉が多くありました。

 

174P 記者レポートの方法を考えた

「人が死ぬと池上が顔を出す」と言われるように、大きな事件・災害が起きるたびに、ぼくはその現場に行った。

「どんなリポートをすれば、視聴者に届くのだろうか」と考えるようになっていた。

現場から伝えるというのは、現場にいないとわからない何かを伝えるためだろう。その場の雰囲気でもいい、熱さ・寒さ・臭いでもいい、何かを伝えられないのだったら、現場リポートの意味はない。ぼくはそんなことを考えるようになった。

まずは、現場にいる自分しか伝えられないものをリポートすることだ。次に大切なのは、伝える順番だ。視聴者の知りたい順番にリポートの内容を組み立てることだ。つかみを大切にするということだ。冒頭で視聴者の心をつかんでしまうことを言う。

内容をしっかり理解し、それを思い出しながらリポートすれば、そもそも原稿の棒読みにはならない。よくある「書き言葉」のリポートにはならない。「話し言葉」で伝えることができる。これが大事だ

 

216P わかりやすいニュースをみんな待っていた

「こどもニュース」を担当して一番驚いたのは、子どもより大人、とりわけ高齢者から絶大な支持を受けたことだ。番組あてに、お年寄りからのファンレターが殺到した。「普通のニュースはむずかしすぎて、このくらいがちょうどいいのです」という趣旨のものばかりだった。

「こどもニュース」は、むずかしい言葉は一切使わず、ニュースの背景を基礎から解説する。これが、高い支持を受けることになった理由だろう。

新人研修のとき、ぼくは「中学校を卒業して数年たった人にわかるレベルの原稿を書け」という指導を受けた。

むずかしい言葉をそのまま使って原稿を書くことは、実はたやすい。むずかしい内容を誰にでも理解できるようにやさしくすること、これが大層むずかしいのだ。

 

223P 現実は現実として伝えながら……

子どもたちだって、この現実社会で生きている以上、やがてさまざまな現実に直面する。いつまでもかくしておくことはできない。だったら、子どもに理解してもらえるような説明を付け加えて伝えてみよう。あるいは、「こう考えてみたどうだろう」というアドバイスを添えて伝えてみよう。

「こんな悲惨なニュース、子どもには伝えられない」ではなくて、「こんな悲惨なニュース、子どもにはどう伝えたらいいんだろう」というように考えるべきなのだ

これは、ぼくが子どもたちにニュースを伝える仕事を11年間続けた末にたどりついた結論だった。

 

1973年にNHKに入局して以来、半世紀にわたり報道の第一線を走り続ける池上彰。地方記者を振り出しに、警視庁担当、災害担当記者として、ホテルニュージャパン火災や御巣鷹山日航機墜落など数々の大事件を取材した。

「週刊こどもニュース」のお父さん役として、オウム真理教や9・11を子どもにどう伝えるか悩み抜いた。

NHKを退社して独立後は90の国と地域に赴き、激動の世界情勢をリポートし続けた。いま、過去の報道に学ぶべきこととは?

池上彰の視点で体感するスリリングな日本報道史。

 

 <目次>

はじめに 移り変わる報道の世界に身を置いて

第1章 新聞の時代から放送の時代へ

第2章 記者は国民の代理人

第3章 転機となった「ロッキード事件」

第4章 「被爆二世」と向きあって―呉通信部での日々

第5章 誘拐、落石、飛行機事故―社会部が扱ったさまざまなニュース

第6章 「人が死ぬと池上が顔を出す」―現場リポートの意味

第7章 「教育問題」の時代

第8章 平成へ、そしてキャスターへ―オウム真理教を子どもにどう伝えるか

第9章 独立、そして令和へ―過去の報道から学ぶべきこと

おわりに 

主要参考文献

 

池上彰さん

1950年生まれ。ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授、東京大学客員教授、愛知学院大学特任教授、立教大学客員教授。信州大学などでも講義を担当。慶應義塾大学卒業後、73年にNHK入局。94年から11年間、「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年に独立。ニュースの基本と本質をわかりやすく解説する。

六つの連作短篇集であり、桜木紫乃さんの真骨頂であった。底力を魅せつけられたおとなの作品だった。

 

いつものように、出身の北海道を舞台にしたものであり、鼠色のどんよりとした雲が全体に深く重く漂っていた。

 

アイヌの歴史や民族に関しては、簡単には語れないものだ。

 

アイヌ出自を持つ紋様デザイナーの赤城ミワは、独自のスタイルで不動の地位を確立していく。

彼女は、誰にも冷静に対応できる。相手を突き放すわけではなく、真面目で芯の強い。

触れると怪我をするのに関わらず、ミワにもっともっと近寄りたくなる。

おそろしく魅力的な不思議な女性の物語だった。

 

29P

遠慮なく酒が飲めて、一緒に食べるものが旨い。滝沢がそれだけで十分ではないかと思うのに懸命なのは、踏み込めば短命な関係を何度か経験しているからだった。長く付き合ってみたい女だが、長く付き合うためには多少の我慢が必要なのだ。

 

 

 <目次>

谷から来た女

ひとり、そしてひとり

誘う花

無事に、行きなさい

谷へゆく女

谷で生まれた女

 

桜木紫乃さん

1965年、北海道生まれ。2002年「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞、07年『氷平線』を刊行。13年『ラブレス』で島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で直木賞、20年『家族じまい』で中央公論文芸賞を受賞

NHK大河ドラマ放映の影響で、紫式部や藤原道長など平安時代の歴史を彩った人物が現代で脚光を浴びています。

それらについて触れ合いたいし、少しでも知りたい気持ちが手に取るきっかけとなりました。

 

わかりやすくおもしろく読みやすい文章に編集し執筆された源氏物語対応の「事典」です。

源氏物語の各巻を理解するための補助として、脇において時々参照するのがよいかと思います。

また、多くの人物系図や女性関係図等人物相関図などを見ながら物語の全体像を把握するために必要なツールとして、平安時代の歴史背景を知り紫式部の人生を深く知るための参考本として、これは活用していけるとても良い書籍です。

 

「源氏物語を知る事典をお使いになるにあたって」

日本古典文学の最高峰に位置する「源氏物語」は、54帖に及ぶ壮大な長編の物語であり、物語のストーリーや人物関係がすこぶる複雑多岐にわたっており、そのうえきわめて難解で奥深い文章で連綿と綴られた物語である。

(中略)

われわれの生きる現代から遠く隔たった、千年もの昔である平安朝時代に書かれら物語であるから、それを本当に理解するためには、歴史的・政治的・社会的な予備知識が必要であり、また複雑な人間関係をうまく把握しておかなければならないのである。

 

<特色>

・あらすじ、登場人物、その系譜・関係図を一冊に凝縮。

・紫式部の人生や仕事、人間関係、作品など、作者の人物像にもふれることができる。

・京都御所、石山寺と逢坂の関、伊勢神宮と斎宮など、聖地巡礼や文学散歩、修学旅行などにも役立つ、「ゆかりの旅」を紹介。

・文学作品として後世に与えた影響や現代語訳などの情報も満載。

 

 <目次>

源氏物語を知る事典をお使いになるにあたって

『源氏物語』の全体をとらえる

『源氏物語』巻々のあらすじ

光源氏を愛した女性たち

紫式部とその作品

小説としての『源氏物語』

文学史の中の『源氏物語』

物語の舞台:平安時代を知る

『源氏物語』ゆかりの旅

収録図版出典一覧

索引

 

西沢 正史さん

国文学者。東京大学大学院修了。昭和女子大学・駒沢女子大学教授。編著書に『日本の古典30を読む あらすじダイジェスト』幻冬舎、『中世王朝物語・御伽草子事典』勉誠出版、『古典文学にみる女性の生き方事典』国書刊行会、『古典文学鑑賞辞典』『古典文学を読むための用語辞典』『源氏物語作中人物事典』東京堂出版など多数。2019年没。

 

山田 南平 さん(装画)

漫画家。1991年『花とゆめプラネット増刊』春の号に掲載の「48ロマンス」でデビュー。思春期の少年少女の成長を描いた『オトナになる方法』、『紅茶王子』など。

お洒落の基本は、相手を思いやる清潔感だと思います。

内面が外見に表れると言いますが、TPOに留意して自分の外の姿に気をつけていくことは、世の中で生活していく上でご縁のある方々を不快にさせないためにも大切だと思います。

 

7P ファッションはあなたの価値を上げる最強のツールであり、見た目はあなたを瞬時に伝える暗黙の言葉である。

59P すべてのファッションデザインや色はイメージと言葉を持っている。

64P 人間は幼い頃から色々なものを見て、感じて、触ってきた経験に基づいて、知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・問題解決をしながら、あらゆるものを認知し、情報として受け取っています。目の前の人が着ている衣服の形、デザイン、色、映画や物語の中で似たような服を着ていた人物、それらの衣服の持つイメージと言葉を重ねながら無意識にその人物の印象を判断しているのです。

 

コロナ禍以降、働き方改革やテレワークの進行によって、ビジネスシーンを取り巻く環境は多く変わりました。内勤やオンライン会議が増えたことで、仕事上のカジュアル化が進み、またクールビスでネクタイをしないで通勤や仕事ができるという風潮が広がりました。

このため、ビジネス上の服装は、スーツ、ネクタイなどのフォーマルなものから、セットアップできるジャケット、パンツ、ポロシャツなどのカジュアルなものを選択できるような環境が広がってきたものだと感じています。

カジュアルな服は、単に着やすいとか自分にとって楽な服でよいのか?仕事だから一定の歯止めがあるはずだと思いつつ、そもそもビジネス上のカジュアルウエアとはなにかを知りたかったのです。

16P

ビジネスウエアとは、「オフィシャルウエア=公的な場で着る服」である。仕事で着る服、すなわち仕事服なのです。仕事服とは「その仕事に適した服装」が基本である。重要なのは、「ビジネスシーンに適したビジネスウエア」を選択し、立場を適切に表現する「外見の整え方」を心得ていることなのです。服装や衣服をツールと考え、その場にふさわしい外見で自分の存在感を明確に表現し、よりよいビジネスに繋げていきましょう。

 

185P 自分の存在感を表わすために、信頼、品格、知性、情熱、誠実、叡智などのキーワードに落とし込む。

服を購入するときは、この3つのポイントを念頭に置く。

1 ビジネスの場に適した服である

2 流行に惑わされない

3 信頼でき仕事ができるように見える

 

188P 著名人の名言から

ソニー創業者 盛田昭夫

「男は外見にも責任を持たなければならないよね」

 

アメリカのジャーナリスト ジョージ・フレイジャー

「服装は必ずしも男を作らないが、男に自身と満足感を与えるというのは少なくとも納得できる事実である」

 

イギリスの劇作家 オスカー・ワイルド

「外見で人を判断しないのは愚か者である

 

フランスの小説家 オレノ・バルザック

「服装に関する無関心は、精神的な自殺行為に等しい」

 

 <目次>

はじめに エリートカジュアルとは、自分の仕事に誇りを持ち「哲学を纏う」こと

第1章 “新常識1”ビジネス・カジュアルは「ビジカジ度数」で決まる(ビジネス・カジュアルとは何か、しぎはら流「ビジカジ度数」とは何か ほか)

第2章 “新常識2”ファッションは「錯覚させる」が正解(脱「何となくかっこいいから」という服選び、デザイン×認知心理学=「ファッションの知恵と力」 ほか)

第3章 “新常識3”似合う服は「型」ではなく、「自分の体型」で決まる(コロナ禍と筋トレブームで身体のシェイプを意識、鍛えた身体をより魅力的に見せる服選び ほか)

第4章 “新常識4”「色×心理学」で自分を表現する(色をつかさどる三大条件(光・物体・人の目)配色と人に与える印象 ほか)

第5章 “新常識5”服はもうたくさんいらない(オンライン時代に服はたくさん持たなくていい、自分が心地よいと感じる「上質な着心地」 ほか)

おわりに ビジネスファッションは「センスと学問」である

 

しぎはらひろ子さん

ファッションプロデューサー。服飾専門家。日本ベストドレッサー賞選考委員。(一社)日本パーソナルスタイリング振興協会代表理事。デザイン教育の名門、神奈川県立神奈川工業高等学校産業デザイン科を卒業後、松下通信工業(現パナソニックコネクト)の研究開発部で、デザインと機能の研究開発職に就く。23歳でファッション業界に転職し、ミストグレイ・ファッションプランニングを設立。シューズブランド「JELLY BEANS」の立ち上げ、「SHIBUYA109」「JR東日本(アトレ)」「ベルメゾン」などのブランド戦略や商品企画などに携わり、経営者、作家などビジネスパーソンのために「存在感を際立たせるスタイリング」も行う。服飾戦略家・服飾の第一人者。ロジカルにファッションを説明できる稀有な服飾専門家として幅広く活躍中。

 

【No1621】一瞬で心をつかむエリート・カジュアル 一流の男だけが知っている、ビジネスファッションのニュースタイル しぎはらひろ子 KADOKAWA(2024/04)

自分の行為がほんのささやかであっても、世のため人のためになっていることと実感できれば幸せだとぼくも思います。

また、たとえ年齢を重ねても目的に向かって突き進むことができる、伊能忠敬の行動力の素晴らしさを感じました。

 

132P

著者のわたしがいだいたのは、「人生にはこれですべてよし、という終わりはない」という実感でした。

人間はいくつになっても、男女の別なく、忙しい日々を過ごせることこそが幸せのものではないかと、わたしは思っています。それだけ、世のため、人のためにつくせるからです。

幸せな人生とは、ただ豊かにのんびりと暮らすことではなく、自分のしていることがささやかでも、世のため、人のためになっていると日々実感できる生き方ではないか、と思うのです。

 

5P

55歳になっていたこの日から、足掛け17年にわたって日本全国を測量して歩いた忠敬は、地球の大きさを明らかにしただけではありません。

わが国初の実測による日本全図を完成させるという、それまでだれもできなかったりっぱな仕事をなしとげたのです。

 

 <目次>

はじめに 

1 大海原と夜空の星

2 やるべきことをやる

3 人の心をつかむ

4 生き方を決めておく

5 先生は十九歳も年下

6 地球の大きさを知りたくて

7 未開の地の道なき道

8 なかなか決まらない距離

9 太陽がしずんでしまった

10 日本全国を制覇

おわりに 

資料 忠敬をとりまく人びと、もっと知ろう、ゆかりのある場所 人生と、いきた時代、美術館・記念館へ行こう ほか

 

たからしげる さん

大阪生まれの東京育ち。立教大学社会学部卒業。産経新聞社で記者として働いているときに作家デビュー

明治時代に日本人女性として初の海外留学生となり、帰国後は津田塾大学の前身となる女子英学塾をひらき女性の教育につくした津田梅子さん。女性の地位が低かった時代に女性の自立と解放を目指したパイオニアだ。

 

日本で最初の女子留学生で当時6歳だった。

科学者として優れた才能を持っていた。

女子留学生のために奨学金制度を作った。

ヘレン・ケラーやナイチンゲールに会っていた。

女子英学塾(のちの津田塾大学)を開校した。

 

津田梅子さんの名言から。

 

家の外面はすばらしく見えても、内部はそれほど美しくないことがある。人の中には、見た目が美しくても心が良くない人もいる。(アメリカで過ごした少女時代のことば)

 

始まりは小さくても、着実に前進すれば、素晴らしいことを成し遂げられるでしょう。(女子英学塾開校式にて)

 

何かを始めることは易しいが、それを継続させることは難しい。成功させることはなお難しい。

 

 

 <目次>

序 日本の女子教育のパイオニア

1 6歳の女子留学生

2 アメリカでの日々

3 女性のための学校をつくりたい!

4 教師か研究者か

5 女子英学塾を開校!

終 受けつがれる意志

もっとよくわかる 津田梅子とその時代

 

【No1619】津田梅子 女性の向上に力をつくした教育者 髙橋裕子 針田りん GAKKEN(2024/05)

ニーチェ、吉田松陰、チャールズ・チャップリン、ヘルマン・ヘッセ、ドフトエフスキーなど、古今東西の先人たちの「死」を巡る言葉に込められた死生観について、佐藤優さんの解説を踏まえてわかりやすく紹介していた。

 

多くの死生観のなかで、かつて夜と霧(V・E・フランクル)を読んだのち読書会で語り合ったときから薄々感じていたこの「ことのは」に関して強く共感したのだった。

170P「アウシュヴィッツでは死が至高の支配者だったが、死の傍らには偶然があり、(財力でも能力でもなく)これが収容者たちの運命を決めたのである」責任と判断より ハンナ・アーレント

 

自分の頭で考え判断していくためには、読書は必要不可欠だ。決して欠かせない手法だと僕は思う。

自らの利害のために善を放棄してはいけないし、特定の善の観念に囚われすぎてもいけない。自分の利益になる理由だけである政党に投票してもいけないし、皆が特定の思想や意見を盲目的に支持してもいけない。

全体主義に抗うためには、国民一人ひとりが自分で考えて自分の意見を自発的に発言し公共の場で語り合うのは本来の政治の姿だ。

全体主義国家を作らないために必要なことは、国民一人ひとりが為政者の言葉を単純に信じずに、自ら考え、判断していくことである。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 死を乗り越える(神は死んだ。―フリードリヒ・ニーチェ、死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。―吉田松陰 ほか)

第2章 死を知って生きる(お前たち、そうやって死を遁れようとしているが、どうせいずれは向こうからお迎えに来る。―ムハンマド、燃えたよ…真っ白に…燃え尽きた。―梶原一騎・ちばてつや ほか)

第3章 死を受け入れる(散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ―細川ガラシャ、死とは死によってすべてから去るものであるとすれば、すべてから去られるときも死であるといってよいに違いない。―森敦 ほか)

第4章 死の周辺を巡る考察(アウシュヴィッツでは死が至高の支配者だったが、死の傍らには偶然があり、これが収容者たちの運命を決めたのである。―ハンナ・アーレント、野心は思考の死である。―ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン ほか)

言葉の出典

参考文献

 

 

1960年、東京都生まれ。作家、元外務省主任分析官。1985年に同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省に入省。在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館に勤務。その後、本省国際情報局分析第一課で、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月、執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞

 

消費者金融のお金にまつわる悲喜こもごもの体験、目撃した内容が赤裸々に綴ってあった。

消費者金融業は、破産者の増加による貸出量の低下やグレーゾーン金利による過払い金請求をうけて2010年ごろから斜陽産業となる。

加原井末路は、消費者金融に勤めているのにかかわらず、延滞者への督促などの怖さを知っているのにもかかわらず、お金を借りて借りて、借金という蟻地獄に陥ってしまう。

住宅ローンの返済にも行き詰まり生活再建へ。追い込まれて自宅を手放したが、わずかな稼ぎを得ながらも、義母からお金を借りて中古住宅を手に入れた。

彼は、結局足るを知るに至った。

 

 <目次>

まえがき 旦那さんのお仕事は?

第1章 サラ金業、始めました(某月某日 きちんとした会社:どうして私はサラ金に?某月某日 督促部屋:サラ金ビルの一室で ほか)

第2章 貸した私が悪いのか?(某月某日 ミニロト当選:常連延滞者のドヤ顔、某月某日 延滞者リスト:よく見りゃ、知り合いの名 ほか)

第3章 可笑しくて、やがて哀しき…(某月某日 おまとめローン:甘く、やさしい言葉で、某月某日 無人契約機:人の気配はないけれど… ほか)

第4章 お金に教えられたこと(某月某日 あんた責任取れんの?:時代は法令遵守、某月某日 様変わり:改正貸金業法完全施行 ほか)

あとがき 足るを知ること

 

1965年、埼玉県生まれ。1990年代半ばに、中堅の消費者金融会社「デック」に入社。以来、債務の督促・取り立てや貸付、「おまとめローン」の営業など、20年間にわたり債務者との前線で四苦八苦する。一方、サラリーマン時代に組んだ35年の住宅ローンの結末も本書につづる

 

【No1617】消費者金融ずるずる日記 当年59歳、「ご利用は計画的に」お願いします 加原井末路 三五館シンシャ フォレスト出版(2024/06)

これまで不思議に思っていたことのうち解決策のひとつが見つかった。

デジタルが発達してもアナログは大事だ。

リアルに直接会ってはなしをすることにとても大きな意義がある。少人も同様に心掛けたい。

 

先進国の首脳たちが集まる、G7、G20という先進国首脳会議。インターネット社会が進展して、こんなにリモートができるのに関わらず、ZOOMなどのテレビ電話のような機能を使えばお互いにしゃべれる。なぜそれぞれの国のトップの人たちが集まって話し合う場を設けるのか?

また、ウクライナの紛争の最中、ゼレンスキー大統領が極東アジアの日本までわざわざ危険を冒してまで足を運んで支援の事情を説明するのか?

 

エレベーターや玄関、休憩時間などで一言話すとき、ちょっとした無駄話のようなおしゃべりのなかに余韻のような大切な対話があるのではないか。

対話の力。わざわざ直接顔を合わせる意味があると気づいたのだ。

 

14P 

クリックひとつで終わってしまうリモートには、決定的に欠けている何かがある。会って話しているのとかわらないようでありながらもクリエイティビティ(創造力、独創力)が感じられないのだ。

体温でもない、匂いでもない、しかし、リモートには「気配」と言われるものがないことに気がついた。相手に「気配」を感じられないことで、対話が生むはずの何か積極的な力が生じていないだろうとおもうのだ。

 

 

 <目次>

まえがき

第1章 失われた気配

第2章 これからの日本語

第3章 リモート時代の日本語力

第4章 不思議な巷の日本語(回らない寿司屋、二刀流、あいうえお、みだりに、○活、2回目、経験値、落としどころ、投入金が不足しています、歯磨き粉、高級食パン、激おこぷんぷん丸、っす、ダム汁、痛っ、ダメ出し、日本語の壁、うれしみ、大器晩成、ブースター、潤い、すみやかに、“そだねー”、井の中の蛙、まじまんじ、て、乾物屋、パリピ、忙しい、気もい形容詞、高輪ゲートウェイ駅、負けず嫌い、アポ電強盗、万葉集、;気分、無理、真逆、打ち言葉、肉肉しい、身の丈、にわかファン、ワンティームの光と影、聖地、Jリーグ様、不要不急、ネコハラ、スピード感、面目ない、街の声、盛りは後になってわかる、会食、自己判断、言霊、小言、昭和、心が折れる、そうめん、出口戦略、理解を願う、フィルターバブル、ハマる、正解、バールのようなもの、成人、やはり、ゲリラ豪雨、おしゃか、卒業)

 

1953年東京都生まれ。祖父の金田一京助(言語学者)、父の金田一春彦(国語学者)に続き、自身も日本語研究を専門とする言語学者。東京外国語大学大学院を修了。その後、中国大連外語学院、コロンビア大学などで日本語を教える。1994年、ハーバード大学客員研究員を経て、杏林大学外国語学部教授。2018年度より山梨県立図書館館長。現在、杏林大学名誉教授。現代用語の基礎知識選「ユーキャン新語・流行語大賞」選考委員

 

【No1616】あなたの日本語だいじょうぶ?SNS時代の言葉力 金田一秀穂 暮らしの手帖社(2023/07)