
歴史から学ぶべきことは多いが知らないことも多い。
井沢さんからワクワク、ドキドキしながら歴史の面白さを教えていただいています。
日本史上最大の外国からの侵略戦争『元寇』
このときの北条時宗の英断に光を当てるところがすばらしい。
井沢さんは、早稲田の法学部卒業であり、歴史研究家とすれば異端児なのかもしれません。
今までの日本の歴史観に対して、こうなんだよと怒りながら発言しているように感じてなりません。
根源的な理由を追究するため、自分の想いを入れつつ論拠をまじえて検証しています。
井沢流の検証のもと歴史の真実に向かって、じわじわと迫ってくるところが面白いと思います。
第1章 モンゴル帝国の脅威―遊牧民族による拡大戦略(なぜ万里の長城が必要なのか、なぜ朱子学が生まれたのか、なぜ元は日本侵略を企てたのか)
第2章 執権政治誕生の真相―鎌倉武士団が支持した組合(なぜ摂関政治は日本史上最低最悪なのか、なぜ「承久の乱」は失敗に終わったのか、なぜ源氏は三代で絶えたのか)
第3章 元寇をめぐる虚実―日本に「神風」は吹いたのか(なぜ英雄・北条時宗が評価されないのか、なぜ神風信仰が常識となったのか、なぜ日本が元軍に勝てたのか)
関連年表
1954年名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業。TBSに入社。報道局在職中に「猿丸幻視行」で江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。ほかの著書に「英傑の日本史」など。
16P
歴史上の格言に「絶対的な権力は絶対に腐敗する」というのがある。
完全無欠な神ならともかく、欠点だらけの人間や組織が絶対権力持つと、批判的勢力を潰してしまうために、自己改革する意欲も姿勢も失ってしまい決定的に腐敗してしまう、ということだ。
「平和に溺れ安逸をむさぼる国家は滅亡への道をたどる」
75P
しかし日本では、家臣が天皇家を滅ぼして自分が天皇になるということがまったく不可能であった。天皇家は神の子孫であるから貴いのであり、家臣の分際でそれを滅ぼすことなど倫理的に決して許されないからだ。
また仮に滅ぼしたとしても、天皇家の血を引いていなければ絶対に天皇にはなれない。神の「DNA」がないからである。当然ながら藤原氏は天皇家とは別の血統を持つ一族である、つまり絶対に天皇にはなれない。ではどうやって日本の統治権を奪うか?そのために考えられたのが関白制度であった。
一口で言えば、関白という地位を新たに設けたのである。関白は基本的に地位(身分)であって職位(ポスト)ではない。たとえば太政大臣は大臣としては最高のポストであり、これより上はない。しかし、いかに大臣であっても「臣(臣下)」であることには変わりがない。
つまり家来であって主人ではないのである。ところが関白は臣下出身のはずの藤原氏がなれる「身分」であると同時に、天皇の権限すら代行することができる「地位」でもあった。言ってみれば皇族扱いであり、敬称も「殿下」である。
155P
私の基本姿勢は、日本史の真の姿を右とか左とかのイデオロギーにとらわれずに、客観的に見ることである。ところが日本は、どうもイデオロギーのメガネをかけて歴史を見る人が圧倒的に多い。
212P「全体像を見ない歴史学」
要するに私の言いたいことをたった一言で延べれば、「日本史上最大の外国からの侵略『元寇』を撃退したのは神風ではなく、鎌倉武士団の奮闘である」ということだ。(中略)
理由は簡単で、今の日本の歴史学が根本的に、歴史上の重大な事件が起こった根源的な理由を追究する構造になっていないからである。個人の能力の問題ではないのだ。