※特報

2024年2月1日、YouTubeの東映シアターオンラインで、#001 最後の犯人(ホシ)を追え【スペシャルセレクション】が公開されていました。

 

 

【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

のVoL.1-6の全巻は、2020年12月から2022年11月の間、約2年かけて視聴録アップを終えました。当方としては、あとは、自分の調べられる範囲で「特捜隊のDVD未収録回・収録回・欠番回」を編年的にまとめ、のんびり記述するつもりでした。

 

ところが、2023年の1月になり、コメント欄高校教師さんより

>第7弾5枚組30話収録。立石班のみの構成

で新たにDVD-BOX発売の情報が寄せられ、急遽、突貫工事で「特捜隊のDVD未収録回・収録回・欠番回」をまとめる方針に変更、終了次第、新たなDVD-BOXを観賞・視聴録をつくることとしました。

「特捜隊のDVD未収録回・収録回・欠番回」は幸いにも2023年8月に書完しましたが、今回の新たなDVD-BOX(結局、VoL.7,8の立石班2巻が発売)を観賞することで、さまざまな箇所に訂正・追加・削除等が出ると思いますが、その点はご了承ください。書き方は、従前の方式を踏襲することを原則とします。

 

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#152  団地夫人

特別機動捜査隊(第152回)団地夫人

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL8、disc1、2023年5月10日発売

(本放送)・・・1964年9月23日

(脚本)・・・西沢裕子

(監督)・・・松島稔

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・無し

(助監督)・・・加島忠義

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

橘部長刑事(南川直)、荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、

村上刑事(小嶋一郎)、岩井田刑事(滝川潤)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

笠置シズ子、鮎川浩、山内幸子、水城蘭子、大東良、五月藤江、小栗由里子、

小野泰次郎、志摩燎子、菊地勇一、三木宏祐、水島京子、立川恵三、

松波志保、山田千枝、安田洋子、渡辺京子、大谷淳吾、上天吉、梶谷延通、

不知火耶子、古賀薫、本城芳子

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

平和な団地に、突如として起こった殺人事件!

恵まれた家庭に育った被害者のにめん(註・意味不明のため平仮名表記)により、

飽くことなき虚栄と欲望とが交錯し、

ダニのような悪質ブローカーにつけこまれていたのだ!

平和であるべき団地内にも、

冷たく、そして熱い、不気味な空気が流れているのだった。

捜査にも、頑なに口を閉ざす団地夫人・・・。

はからずも、病院の窓から、興味ありげに覗いていた患者の見たものは?

次週、「団地夫人」に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

※VoL7、disc2、の次回予告集②に収録

 

 

(備考)・・・

【1964年】(3)特捜隊の収録回・未収録回・欠番回で、当該回の事前調査済み。

・劇中の「たまがわ駅」という発声については、本放送時には、「多摩川園前駅」(東横線、現在の多摩川駅」、「二子玉川園駅」(大井町線、現在の二子玉川駅)、「二子玉川園駅」(玉電、いわゆる路面電車)があった。「二子玉川園駅」近くにある二子橋は「電車と歩行者、自動車等が併用する鉄道道路併用橋であった」こと、「多摩川園前駅」なら「玉川浅間神社」が映っていないことから、「二子玉川園駅」周辺ロケが濃厚ではあるが、暫定的に、以下本文では「玉川駅」とした。

・特捜隊本部に板書された遺留品のうち、ペンダントは劇中では扱われていない。

・オープニング表記の「河井淳子」「黒谷」「三星」の配役表記については、劇中では「河井涼子」「黒田修二」「三林」であるので、以下本文で改めた。「田村」の配役表記も、「中村一郎」のことと見受けられるため、同様に改めた。

 

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)

 

 

〇泉ケ丘団地・301号・田島正一・・・・小野泰次郎

〇同・301号・田島の妻・恵子・・・・・小栗由里子

〇同・201号・村川・・・・・・・・・・鮎川浩

〇同・201号・村川の妻(夫人)・・・・水城蘭子

〇同・201号・村川の幼子

〇同・302号?・くさか夫人

〇同・住人・河井涼子・・・・・・・・・山内幸子

〇同・住人(多数)・・・・・・・・・・松波志保、安田洋子ほか

〇泉ケ丘病院・患者・峯田・・・・・・・菊地勇一

〇峯田の友人男性

〇三林物産・社長・三林洋之助・・・・・三木宏祐

〇同・三林夫人・・・・・・・・・・・・志摩燎子

〇同・三林の秘書・中村一郎・・・・・・立川恵三

〇八王子の農家・小林すぎ・・・・・・・笠置シズ子

〇すぎの母・・・・・・・・・・・・・・五月藤江

○白十字クリーニング・店主

○喫茶店・ヴィーナス・ウエイトレス

○旅館新月・女将

〇ブローカー・黒田修二・・・・・・・・大東良

○所轄署巡査

 

 

9月20日のこと、

「通報を受けた特捜隊・立石班は、直ちに、都下、泉ケ丘団地の現場に急行した」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

現場は、建ち並ぶ泉ケ丘団地の、ある棟の301号室。本日、外の掃除当番の田島恵子が出てこないことを、同じ当番の201号室の村川夫人が。302号室のくさか夫人に話したのがきっかけだった。そこで、301号室を訪ねたくさか夫人が、足の裏が汚れたままでベッドにうつ伏せになり、背中から血を流した恵子を発見したのであった。

鑑察医は、背中から心臓をひと思いに刺された状態、凶器は見当たらないが大型ナイフか包丁のようなもの、死亡推定時刻は昨夜9-10時ごろと、立石主任に所見報告。同様に、鑑識上田は、テーブルのビール瓶2本、グラス2つを調査、1つ目のグラスには恵子の指紋、2つ目のグラスには恵子以外の指紋がついていることを報告する。

そして、橘からは、室内には電気製品が揃っていること、荒牧からは、テーブル脇に菊の花束があり、花瓶にさしてあった気配も無く、恵子が買ってきたものかと指摘。さらに、岩井田からは、ハンドバッグから喫茶店・玉川駅前ヴィーナスのマッチ箱を発見報告、ハイヒールが玄関から片づけられていないことから、帰って来たばかりに起きた事件かと具申される。

 

外では、団地内住人たちが、恵子を「派手」「社長令嬢」と噂をしているところ、立石主任・橘が、待機中のくさか夫人・村川夫人に聞きとりに降りてくる。

昨日の恵子のようすについて、立石主任が問うと、くさか夫人は、恵子の隣室住まいではあるが、団地は案外に隣のことはわからないと答える。しかし、村川夫人は、昨夜7時過ぎ、家族でテレビをみているところ、恵子が父に買ってもらったという新車が止まり、恵子が来客だという男性を連れて訪ねてきたと話す。そして、来客なのでビール2本を拝借したい申入れがあり、村川夫人はこれに応じたが、その男性は常に背中を向けていたため顔はわからず、いつ男性が帰ったかまではわからないという。

そこで、立石主任・橘は、恵子の車のところに案内してもらい、特に異常は無いことを確認中に、恵子の夫・田島が会社の車で帰宅。急ぎ、301号室に向かう。

 

恵子を見た田島は泣きじゃくりながらも、立石主任・橘・荒牧・村上の聞きとりに応える。立石主任が怨恨の可能性に触れると、恵子は派手、わがまま、高貴に見られがちだが、殺人にまで及ぶとは考えられない、恵子は三林物産の社長令嬢であり、恵子にとって現在の暮らしは最低限のものに過ぎない、と答える。

さらに、荒牧が痴情の可能性に触れると、恵子に男性がいるなど信じられないと答えるが、立石主任が昨夜の来訪男性に触れると、トーンが下がり、実はそういう噂を聞いていないわけではないと、か細く答えるだけだった。そして、団地には恵子の短大時代の同窓で、弁護士夫人でもある河井涼子が住んでいることに触れ、涼子だったら、恵子の男性関係を知っているかもしれないと答える。

最後に、立石主任は昨夜のアリバイについて尋ねるが、田島は、宿直であり、ずっと会社にいたと締めくくった。

 

「被害者の主人である田島正一の証言により、橘部長刑事は、近くの団地(註・建ち並ぶ泉ケ丘団地のうち、恵子の棟と違う棟の意)に住む河井涼子を訪ねた」

(ナレーションに註をつけ、訂正無しで抜粋)

棟の外でゴルフ練習中の涼子は、恵子は自分としかつきあいが無いと言うわりには非協力的であった、また、恵子の男性関係については応えようとしない。その理由を橘が問うと、涼子は恵子と競争相手だったようで、恵子の「他人よりは、少しでも胸を張っていたい」という、孔雀のような傲慢さに我慢できなかった、と答えるのみであった。

「そのころ、荒牧・村上の両刑事は、近くの団地に聞きこみに回っていたが、団地の生活は表面的なつきあいはあっても、個人の生活にまで入りこんだ親密な交渉はほとんど無く、多くを語ろうとしない団地の人たちのために、何ら成果は挙がらなかった・・・」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

 

 

当作は、#410 蒼い母の復讐【スペシャルセレクション】(註・以下、参考作と略)での笠置シズ子が出演していることも有り、

>笠置シヅ子演じるとよの場面が多すぎたせいもあるのか、事件の真相が

>洋弓の如く、飛び道具的にラスト10分弱でまとめるのは、いささか乱暴

>すぎるきらい

との先入観も有り、あまり期待をしないでの観賞でした。つまり参考作では、ブギの女王?とでもいうべき笠置シズ子の見せ場を多くしようという思惑が見え、参考作の約5年前である当作では、なおさら、その思惑があったのではという先入観でした。さらに、参考作の「小川記正脚本、奥中惇夫監督」という【第1回再放送】【第2回再放送】の黄金コンビから、当作の「西沢裕子脚本、松島稔監督」という初顔合わせですから、その不安があったのです

ところが、蓋を開けてみれば、刑事ドラマ、人間ドラマの点でも興趣を沸かせる逸品で、エンディングまで面白く観ることが出来ました。

 

刑事ドラマの点では、登場人物は少ないものの、状況証拠、物的証拠がタイミング良く出現。こちらの線から怪しげな人物が登場したと思えば、あちらの線から否定されて、別の怪しい人物が登場、さらには突拍子も無く怪しい人物が登場するなど、飽きが来ません。上手く、佳作に至った作品といえましょう。

そして、刑事ドラマでのキーパーソンは、黒田を演じた大東良であります。これまで自分が観てきた特捜隊の出演作品、数々の東映作品のなかでは「軽い三枚目的配役」に過ぎなかったのが、ギラギラと「脂ぎった」配役であり、野心というかスケベ心満載の男性を演じています。この役者さんに、こんな重厚さがあったのかと思えるほど、意外性を感じる演技でもあります。おそらく、自分が観たなかでは、当作が特捜隊出演作の中では一番の存在感を出しており、大東良にとっても、代表作のひとつになるのではないか? という思いでした。

 

事件の実行時の回想場面が無いところは、物足りないとも当初は感じましたが、人間ドラマに関連させるという点では、動機解明の問題も有り、むしろ回想場面削除は有りとも考えられます。その人間ドラマの点では、犯罪動機が極めて日本的であり、おそらく平成・令和の感覚で観たら、苦笑いが出るかもしれません。

しかし、昭和の目からすれば、犯罪動機こそが当作の肝でもあり

>この時代は電化製品と団地が今で言うセレブな生活の代表格。それを実現

>するために相当な金を使っていたようで、この作品はそんな夢のための

>犠牲になった

だけにとどまらず、人物A自身の心情は受け入れなくとも良い、しかし、人物Aに関連する人物Bの心情を理解しないことは許さない、ことを団地を背景に上手く描写したことは感動的でもあり、事件解決後、残された登場人物たちはこれからどうなっていくのかも含め、見どころある作品でもあります。

 

また当初自分は、予告篇を先にみたこともあり、アルフレッド・ヒッチコックの「裏窓」(1954年)を参考にした作品であり、約6年後の作品#459 裸の狂宴の原型作ではないのかとも思っていたので、これまた、良い意味で裏切られたとも思います。

これだけのことがあるので、おそらく、当作はまったく基礎知識も無いうえで観賞したらもっと面白いのではないか。ただ、平成・令和の感覚だと古臭いと思われるかもしれませんので、万人受けはしづらいかなとも。。。

 

あと、この泉ケ丘団地とは、どこいらへんで撮影をしたのか。特捜隊十八番の桐ヶ丘団地かとも考えましたが、その割には丘陵が多く、東京都内という感じはしません。現在の二子玉川駅周辺ロケなら、世田谷区の大蔵団地かとも考えるのですが、当時の風景は失われているでしょうし、確証もありません。特捜隊を観ていると、このロケはどこでしたのだろう、一度行ってみたいと思うことも、特捜隊の魅力のひとつかもしれません。