【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#400  警察官

特別機動捜査隊(第400回)警察官

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL1、disc5、2020年12月2日発売

(本放送)・・・1969年6月25日

(脚本)・・・村田武雄

(監督)・・・北村秀敏

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・無し

(助監督)・・・広田茂穂

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・藤島班+立石主任

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、関根部長刑事(伊沢一郎)、荒牧刑事(岩上瑛)、

笠原刑事(伊達正三郎)、岩井田刑事(滝川潤)、内藤刑事(巽秀太郎)、

藤島捜一係長(中山昭二)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

 

神戸一郎、日野麻子、湊まさゆき、西沢和子、森本景武、伊藤純夫、直木みつ男、

柴田秀勝、谷沢裕之、若原初子、山田晴生、佐野哲也、岸井好子、池田よしゑ、

西島多伊子、泉三枝子、井波健、水島京子、市川夫佐惠、久保美芸子、山田甲一、

大阪憲、右京孝雄、内田勝正、長谷川悦子、武田一彦、新林イサオ、米沢幸子、

出沢義征、飛世賛治、渡辺広志、近藤素子、渋谷みのる、松山純子、林寛、

田中三津子、笠間雪雄、磯村千花子、笹川恵三、村上不二夫、波島進

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

※予告篇無し

※直前作、特別機動捜査隊(第399回)緋牡丹の女(緋ボタンの花) は【第2回再放送】では欠番とならず現存、再放送されていたので、予告篇未収録理由は不明。予告篇自体が元々無かったものか? 【第2回再放送】を未見なのが悔やまれる。

 

 

(備考)・・・

・オープニング表記に「藤島捜一係長=中山昭二」とある。その通りならば、今までの【スペシャルセレクション】の流れからいくと、藤島主任は、「捜三係長→捜二係長→捜一係長」と昇進・昇格・異動を繰り返し、最終的に「主任」として#497 人生試験地獄 (藤島班最終話) を迎えたことになる(註・自身が観賞した【第3回再放送】では「藤島主任」として常時表記・出演していたので、設定に混乱をきたしているともいえる。

→(追加)R3.9.14

当作では考え方によって、捜査一係には、西本捜一係長を総括係長として、立石主任率いる立石班、西本と同格の藤島捜一係長自ら率いる藤島班、の2班が存在していたと解釈可能。

・しかし、当作劇中では常に「藤島主任」と呼称されているため、以下本文では藤島主任率いる藤島班に、立石主任が影ながら応援に加わったストーリーとして表記する。

・当作は、約7年後に、#561 ある警察官 でリメイク、「藤島班+立石主任」のような混成ストーリーではなく、三船主任(青木義朗)率いる「三船班」単独ストーリーである。なお、両作に共通して出演したレギュラーは、鑑察医(仲原新二)、笠原刑事(伊達正三郎)である。

・Amazonでの書評書きこみに、武藤刑事を演じた神戸一郎、明を演じた湊まさゆきは兄弟との情報有り。なお、神戸一郎は#206 大都会【スペシャルセレクション】 、#207 続 大都会【スペシャルセレクション】 にも出演していた。

・準レギュラーである毎朝新聞の記者、村上(村上不二夫)、柴田(柴田秀勝)が、【スペシャルセレクション】では初登場の回となる。劇中では名前が明らかにされないが、【第3回再放送】では明らかにされているので、以下本文ではそれに従った

・関根部長刑事(伊沢一郎)もまた、【スペシャルセレクション】では初登場の回となる。

・本放送当時の公衆電話ボックスは、ドアノブの辺りに穴が開いており、その穴に指をひっかけてドアを開閉していた。以下本文では、「ドア穴」と略称する。

・劇中の「純喫茶・ラムール」のマッチ箱に表記される2つの電話番号のうち1つは、東武東上線近くに実在する喫茶店と一致する。

・検証本216頁の「腕輪」は誤りで、劇中では「万年筆」である。著者の誤字とは思われにくく、孫引きした当時の新聞記事は、記者が作品を観ずに脚本のみであらすじを作成した可能性もあるが判定不能。

・奥宮の死亡推定時刻は、特捜隊本部板書に「23時前後」とある。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)。

 

〇城東署刑事・武藤和男・・・・・・・・・・・・神戸一郎

〇城東署部長刑事・汐見英太郎・・・・・・・・・笹川恵三

〇城東署署長・河上・・・・・・・・・・・・・・笠間雪雄

〇武藤の妻・綾子・・・・・・・・・・・・・・・日野麻子

〇綾子の弟(武藤の義弟)・もりした明   ・・・・湊まさゆき

〇明の恋人・百合子・・・・・・・・・・・・・・西沢和子

〇百合子の母

〇汐見の妻

〇汐見の娘・咲子・・・・・・・・・・・・・・・泉三枝子

〇双葉荘の管理人・・・・・・・・・・・・・・・林寛

〇管理人の妻

〇双葉荘の水商売風女住人・・・・・・・・・・・田中三津子

〇双葉荘住人・奥宮猛・・・・・・・・・・・・・伊藤純夫

〇奥宮の会社の同僚・・・・・・・・・・・・・・内田勝正

〇奥宮の母・・・・・・・・・・・・・・・・・・磯村千花子

〇日の丸寿司・店主・・・・・・・・・・・・・・直木みつ男

〇店主の妻

〇日の丸寿司の常連ホステス・玉枝・・・・・・・市川夫佐惠

〇玉枝の情夫・豊島吾一・・・・・・・・・・・・森本景武

〇豊島家の賄い婆

〇純喫茶・ラムールのバーテン

〇純喫茶・ラムールのウエイトレス

〇昭東工業の守衛

〇昭東工業寮・あづま荘の管理人

〇昭東工業寮・あづま荘の入居社員

〇公衆電話ボックスの通行人(3人)

〇医者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・山田甲一

〇看護婦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・米沢幸子

〇毎朝新聞記者・村上・・・・・・・・・・・・・村上不二夫

〇毎朝新聞(?)記者・柴田・・・・・・・・・・柴田秀勝

○毎朝新聞(?)記者・上原・・・・・・・・・・谷沢裕之

〇立石主任・・・・・・・・・・・・・・・・・・波島進

 

追加・R5.10,19

※記者欄を毎朝新聞(?)として、訂正・追加

 

 

「所轄署からの通報を受けた特捜隊・藤島班は、直ちに北区城東町の事件現場に急行した」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

 

被害者は射殺(心臓に3発被弾)されており、公衆電話ボックスのドア穴から手錠をかけられていた。通報者は所轄の城東署刑事・武藤で、岩井田と警察学校の同期だった。そして事件は、同僚の汐見部長刑事と張り込み、追跡の中での出来事で、以下のように報告した。

「今夜11時ごろ、この先のアパート(註・双葉荘)に住む被害者の奥宮猛を拳銃の密売容疑で逮捕しようとしましたら、逃走しましたので・・・。奥宮は自分が捕まえましたが、長さん(註・汐見を指す)は奥宮と連れ立って帰った30歳くらいの男を、追って撃たれたんです」(武藤刑事の供述を、訂正無しで抜粋)

さらに、奥宮を逮捕して手錠で公衆電話ボックスのドア穴にロックしたところ、銃声が2発聞こえたので駆けつけると汐見が撃たれていた。汐見は拳銃を奪われ、近くに遺留品らしき日の丸寿司のマッチ箱を発見した。と、そこに、またしても銃声が3発聞こえ、駆けつけてみると奥宮の射殺体を発見したという。そして、重傷の汐見は救急病院に搬送されていた。

 

また、マッチ箱を関根が注視したところ、マッチ棒を擦った位置から、汐見を撃った30歳前後の男は左利きであると具申。これは特捜隊本部での、弾丸の発射角度から左利きであるとの鑑識医の報告と一致。さらに、鑑識課員・上田から、汐見を撃った弾丸は奪われた拳銃から発射されたもの、奥宮を射殺した弾丸は32口径の別の拳銃から発射されたもので、過去に事件で使用された拳銃では無いと報告された。

これらから西本捜一係長は、汐見を撃った人物と奥宮を射殺した人物とは別人との見解を話す。藤島主任は、武藤の証言によると、現場には(武藤・汐見を除き)奥宮と30歳前後の男しか確認できていないことから、その見解に疑問を呈するのだが・・・。

 

 

当作は(備考)の通り、#561 ある警察官 (以下、リメ作と略称)でリメイクされています。上記本文直前(序盤)に、張り込み中の双葉荘から武藤の義弟・明が出てくる場面があり、これを武藤は藤島班に報告していません。リメ作と同様、武藤(リメ作では片桐)しか知り得ないことを藤島班(リメ作では三船班)がどうやって突き止めるのか、興趣あるつくりにしています。これは、いわゆる刑事コロンボ風設定というより、警察機構内(特捜隊と所轄署)の問題であり、観ていて特捜隊が「置いてきぼり」の感にならず、何時この事実を掴むのだろうという目を見張りながら観賞できます。この点、当作もリメ作も良い感じでスタートします。

 

そして、観終わったとき、リメ作で疑問に思ったこと

(1) >片桐刑事の現状に悩む姿が描ききれているか?という問題点というか物足りなさ

(2) >万年筆の件はどうなったのか?

(3) >犯行現場で犯人とすれ違ったという三船主任の推測はどうなったのか?

がかなり、解消されていたのに驚きました。

(2)は、リメ作は軽く考えていたのか、当作では終盤に至るまで追及・描写されていること。

(3)も、武藤が奥宮を確保したきっかけが、公衆電話ボックス沿いの草叢の微かな揺れであり、すれ違ったというより草叢の中に隠れていたと推察できること。あるいは、第1現場(汐見被弾場所)と第2現場(奥宮射殺現場)の位置設定が適切で、射殺犯はガード下方面に逃走したと推測可能なこと(リメ作は、上記の位置設定が真逆のためガード下方面逃走は不可)。

 

それよりも(1)における現状に悩む姿の描写が、当作では深く描かれており、警察愛と身内愛との葛藤に悩む若き刑事が、神戸一郎の好演もあり心打つものが有りました。これは、義弟・明を、神戸一郎の実弟・湊まさゆきが演じたことも奏功、両者が一瞬同一人物にみえるカメラアングルも有り、リメ作を上回る出来であると感じます。

また、リメ作に無かった、係長と主任の見解相違(註・上記本文の下線部)が描かれているのも効果的で、これにより所轄署刑事への視点がクローズアップされ、ドキドキワクワクしながら視聴者は展開を見守ることにもなります。

 

そして、オープニング表記されなかった立石主任の虚を突いた登場も奏功。リメ作では、三船主任と片桐との関係がイマイチ掴みきれず、なぜ三船主任はひとりの所轄署刑事・片桐を応援するのか、ここいらへんも描写も足りませんでした。しかし、当作では非番の立石主任が偶然武藤と出会い、過去に武藤と師弟関係があった雰囲気を醸し出すことに成功しています。

>立石:武藤君、君は警察官になって何年になる?

>武藤:足掛け7年になります・・・。

>立石:7年か・・・、俺とは長い付き合いだな・・・。

周りに子供がいる公園で、立石主任に相談する武藤、ショートホープを勧める立石主任、そして座った立石主任に立ったまま恐縮そうに答える武藤の構図、ここいらへんは上手く描けています。これは武藤こと神戸一郎の、警察愛と身内愛に加えて、画面から溢れるような真摯さを訴える演技が貢献しています。自分からみて、リメ作での片桐こと久富惟晴との差はそれだけ大きい。

さらに印象的なのは、終盤

>立石:警察官はやたらに辞表を提出することは出来ないんだ。

>責任をとることは、任務を遂行することだ。

という発言。これは、本放送の約1年後、#466 十年目の事件(ヤマ) で絶体絶命に追い込まれた立石主任が遂に最後の決心をしたとき、三船主任のアシストにより、衝撃的な事件解決になったことを思い出します。そういった意味でも、自分としては、当作は面白い作品と評価できます。

 

さて、その三船主任はリメ作ではインパクトが思ったほど発揮できず

>例えれば、画家さんが佳作入選を目指そうと、しっちゃかめっちゃか絵を描いて

>いる、といった感じに見えました。

という評価でした。その理由は、リメ作の視聴録を書いた3年半前はわからなかったのですが、今にして思えば、元々リメ作は「高倉主任活躍譚」として制作する予定ではなかったか、とも。。。高倉主任がメインで、それこそ三船主任が非番のときに片桐と偶然出会う設定だったのを、高倉主任こと里見浩太朗が「水戸黄門」助さん役で多忙のため出演できなくなり、急遽三船主任こと青木義朗に白羽の矢が立ったのではないか? そして、三船主任に通しで活躍してもらおうと、村田武雄脚本に手をつけたところ、「彼方立てれば此方が立たぬ」脚本になりリメ作の伊賀山正光監督が苦心惨憺完成させたのでは。。。そんな思いが湧いてきます。

それでいくと、共同脚本に名が連ねていないことから、脚本に手をつけたのは、助監督の広田茂穂か? 7年後の特捜隊初監督作品・#763 逆光線の女 の評価からすれば、あながち間違いではないのかもしれません。

(追加)・・・R3.3.19

リメ作の助監督は下村善二であり、上記の評価は誤りであることに気づいたので、取り消すことにしました<(_ _)>

 

いずれにせよ、「当作>リメ作」の評価であり、北村秀敏監督の器用さが生きた作品といえそうです。さらに厳しい見方をすれば、当作とリメ作は、北村秀敏監督と伊賀山正光監督、神戸一郎と久富惟晴、これらの差があると思われます。

【スペシャルセレクション】では、#305 富士山頂【スペシャルセレクション】 に引き続き面白さを備えた作品でもあります。自分は、【スペシャルセレクション】について、【第1回再放送】【第2回再放送】を視聴していないため、そこから作品選択をすることは憚れますが、少なくとも、特捜隊四天王監督(北村秀敏、天野利彦、田中秀夫、吉川一義)の作品群は取り上げて欲しいと思うところであります。そういう意味でも、当作は観賞するに十分値する作品でした。