【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#304  私が悪かった

特別機動捜査隊(第304回)私が悪かった

 

 

(収録DVD)・・・VoL1、disc4、2020年12月2日発売

(本放送)・・・1967年8月23日

(脚本)・・・大和久守正

(監督)・・・中村経美

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・浜松市細江観光協会、ホテル観音

(助監督)・・・吉川一義

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、事務員(佐藤敏子)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、

松山刑事(松原光二)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

生井健夫、生田三津子、生方功、福原圭一、広瀬明、松本染升、笠間雪雄、林寛、

潮健児、加藤土代子、石田守衛、鷹裕二、滝謙太郎、島田潤子、松山沙知子、

桜井純子、安田隆久、佐々倉英雄、水紀のり子、西谷純子、山田甲一、伊藤慶子、

高野ひろ美、吉岡淑子、大曽根良信、雪比呂志、菅志麻子、司健、永石千賀子、

田島光男、樫村英男、出沢義征、松元陽一、小池修一、小山柳子、奥野浩毅、

土田全厚、大谷健、中村竜三郎、加賀邦男、笠木シヅ子

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

逆境に耐え、ようやく幸せを掴んだ美津子の前に、

突然現れた昔の男・・・。

彼女には、暗い過去があった。

翌日、東京都内のある放水路に浮かんだ男の死体・・・!

そこには、青春を踏みにじられたものの、

深い恨みの爪跡が有った。

浜松を舞台に、夜の女の背後に潜む、

黒い魔手の実態を探る特捜隊・立石班の活躍、

次回、「私が悪かった」に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

 

 

(備考)・・・

・ロケ地が異なるため2本撮りではないものの、#288  黒い砂漠 と #304  私が悪かった とはゲスト出演者が重なっているものが多い。

・ナレーションの「墨田区竪川水門」は、現在の墨田区立川に存在する。しかし、水門の外装色が異なること、現在の竪川水門上には1971年開通の首都高小松川線があり、本放送当時(1967年)に建設気配が見えないことから、竪川水門で撮影はされなかったと推察される。この点では、開始約5分過ぎに映る周辺都図は興味深い。

・ロケ地の細江町は、2005年7月1日に浜松市に編入され、さまざまな経緯を経て、現在では浜松市北区の一部となっている。

・ロケされた遠州鉄道経営の館山寺遊園地は、1971年に遊園地パルパル、1997年に浜名湖パルパルと改称され、現在に至る。

・後に、特捜隊メンバーとして佐久間刑事を演じる生井健夫が、当作ではゲスト出演。長谷洋品店店主・長谷を演じている。

・劇中表現のデートガールとは、売春婦、立ちんぼ、街娼、コールガールを指すようであるが、以下本文では、そのままデートガールの表現を用いる。

・劇中では、浜崎の下の名が「りゅうじ」「ゆうじ」と発声が混在しているが、以下本文では特捜隊本部の板書から「竜次=りゅうじ」と表記する。

・題名の「私が悪かった」の「私」とは誰を指すのか、これは主要な関連人物のどれにも当てはまるようで、興味深い。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)。

 

〇長谷洋品店の店主・長谷・・・・・・・・・・・・・・・・生井健夫

〇長谷洋品店の女事務員・・・・・・・・・・・・・・・・・小山柳子

〇長谷洋品店の男事務員・・・・・・・・・・・・・・・・・田島光男?

〇長谷の弟・孝二・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・広瀬明

〇あんみつ屋しまだの店主・島田・・・・・・・・・・・・・中村竜三郎

〇あんみつ屋しまだの従業員・横川(ヨコガワ)美津子    ・・・生田三津子

〇島田の娘・友子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・桜井純子

〇竪川水門の係員(2人) ・・・・・・・・・・・・・・・・出沢義征、松元陽一

〇流しのジュンちゃんこと谷村順一・・・・・・・・・・・・福原圭一

〇順一の流し仲間・ケンちゃん・・・・・・・・・・・・・・大谷健

〇バー・ヴェル前の若者(2人)

〇バー・銀河前のホステス ・・・・・・・・・・・・・・・・

水紀のり子?菅志麻子?永石千賀子?

〇洗濯中のホステス風女 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

水紀のり子?菅志麻子?永石千賀子?

〇ケンちゃん馴染みのバーのホステス ・・・・・・・・・・・

水紀のり子?菅志麻子?永石千賀子?

〇ケンちゃん馴染みのバーのバーテン・・・・・・・・・・・・雪比呂志?司健?

〇赤垣荘アパート管理人・・・・・・・・・・・・・・・・・・松本染升

〇赤垣荘アパート住人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加藤土代子

〇赤垣荘近くの紙芝居屋

〇赤垣荘近くの中華そば屋台店主・・・・・・・・・・・・・・石田守衛

〇重盛医院の医師・重盛   ・・・・・・・・・・・・・・・・・加賀邦男

〇重盛医院の看護婦・なかた・・・・・・・・・・・・・・・・松山沙知子

〇静岡県警・刑事(2人)・・・・・・・・・・・・・・・・・安田隆久、佐々倉英雄

〇純喫茶フルフルのバーテン   ・・・・・・・・・・・・・・・雪比呂志?司健?

〇純喫茶フルフルのウエイトレス(青柄服女)・・・・・・・・高野ひろ美

〇純喫茶フルフルのウエイトレス(黒白柄服女)・・・・・・・吉岡淑子

〇浜松市第一通りをうろつく青年

〇パチンコ店・TOKYOの常連デートガール・芳子(ヨシコ)・・・島田潤子

〇芳子の同僚   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西谷純子?

〇デートガールの元締め・浜崎竜次・・・・・・・・・・・・・生方功

〇麻雀店富士の雀ゴロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・潮健児

〇建設作業員・こばやし勉   ・・・・・・・・・・・・・・・・鷹裕二

〇勉の恋人・ゆきこ

〇廣寿しの仲居・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笠木シヅ子

〇長楽寺の住職・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笠間雪雄

〇長楽寺の寺男・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・林寛

〇ホテルかんのん・支配人・・・・・・・・・・・・・・・・・山田甲一

 

 

「通報を受けた特捜隊・立石班は、直ちに墨田区竪川水門の現場に急行した」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

これは放水路に浮かんでいる男を発見した係員の通報によるもので、鑑識医は、死亡推定時刻を昨夜8時前後、12時間は水に浸かっていたと思われることから、昨夜9時過ぎに川に投棄、死因は刺殺と見立てる。

 

凶器は、鋭利なナイフ状のものと推定された。被害者は、年齢37,8歳、一見やくざ風の男で、身元を判定すべきものは何一つ身につけていなかった。しかし・・・」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

松山が、被害者の所持品のハンカチに「三周年記念 純喫茶フルフル 浜松市第一通り」という文字刺繍があることを発見。立石主任は、現時点での手がかりはハンカチだけであることから、桃井・松山に浜松でハンカチの線を追うよう指示を出す。

そして、

「立石主任らは、係員の説明により、昨夜の潮の干満並びにそれに伴う河川の流れを聞き、直ちに沿岸一帯の聞きこみに散った」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

 

「一方、浜松に飛んだ桃井・松山の両刑事は、静岡県警の協力のもとに、被害者の身元を割り出すべく、懸命の捜査を続けていた」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

純喫茶フルフルを訪れた、桃井・松山・静岡県警刑事は、バーテンやウエイトレス2人から、被害者は常連客であり、いつもデートガールらしい2,3人と打合せをしていたが、女のヒモのような雰囲気だったことを聞き出した。

 

「喫茶店フルフルのバーテンらからの証言から確信を得た刑事らは、浜松市内の繁華街をしらみつぶしにあたっていった」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

その結果、パチンコ店・TOKYO常連客でデートガールの芳子に辿り着く。被害者は、2年前までは暴力団の顔役だった浜崎竜次で、現在はデートガールの元締めと判明。芳子は浜崎の下で売春を行なっていたが、浜崎の死を聞くと「本当に殺されたの?」と意味深な笑みを浮かべる。しかし、ほどなく「まさか、みっちゃん・・・」と呟いたのを、桃井は逃さなかった・・・。

 

 

当作の予告篇から、視聴者は上記の「みっちゃん」が横川美津子とわかっています。しかし、美津子はこの時点で誰だか(顔は)明らかではなく、浜崎殺害事件に関わっているのかどうか、関わっていたらどれくらいか、興趣を沸かせます。

そして序盤、日中に、赤電話から女性が電話をかけ、それを受けるホテルかんのん宿泊客の男性の場面、さらに夜、かかってきた電話を受けた医師が、看護婦と赤垣荘8号室に向かうも誰もいないという場面が描かれ、果たして彼らは誰なのかという疑問から、上記本文の浜崎の死体発見場面と繋がります。これは、視聴者とも「なぜ」という疑問があることから、自分が過去に批判気味の「刑事コロンボ風展開」では無く、ストーリーの進行とともに視聴者も立石と捜査に参加している気分に浸れる点、心地よい展開となり、これが終盤まで続きます。

 

ただ、特捜隊のストーリーの恒例かもしれませんが、粗を探せば

・上記の電話の件で、終盤に「ある人物」が「別の人物」に、「診てもらおうと、医者に電話したけれども・・・」などの台詞の描写場面を付け加えていればよかった。

・クライマックスで、桃井の台詞は挿入せず、荒牧のジャブ的台詞、岩井田の直接証拠提示と台詞だけで収めておけばよかった。

などのタラレバはあります。

 

しかし、これらの粗があっても、当作は面白いと評価できます。

刑事ドラマの醍醐味の謎解きの点で、動機、アリバイが各所に散りばめており、一見矛盾するように見える死亡推定時刻が、ストーリーの進行に従い明確になっていくなど、全体的に非常にテンポよく展開します。そして何よりも、容疑者から犯人への絞り込みが、二転三転していき、視聴する側からするとワクワクドキドキの連発です。

これらの優れた箇所が粗を呑み込み、ラストの和解の場面が納得できるよう昇華させたものとも解されます。これは、使い古しの三文芝居にみえようとも、当事者が自己犠牲の精神で、自分なりに事件を解決させようとしたことが、「ある頑固な人物」の心の中のモヤモヤを氷解させたようであります。#286  女と赤電話【スペシャルセレクション】 のような過去の場面を、当作では目立つ挿入をしなかったのも奏功、当事者にさほど嫌悪感を感じさせません。

個人的には、今のところ【スペシャルエディション】VoL1.の観賞で、面白いと称した、#121 けだもの【スペシャルセレクション】 、#206 大都会【スペシャルセレクション】 、#302  悲しい善意【スペシャルセレクション】 に少なくとも劣らない出来ではないか、そういう思いを抱きました。

 

不思議なのは、小川記正脚本でしか本領を発揮できないイメージの中村経美監督が、なぜここまで傑作に近い出来の作品を生み出したのか? 助監督の名を見て驚きました、後に特捜隊四天王監督と自分が考える1人、吉川一義の名前がそこにありました!

かつて、#691 三船刑事死す で見違えるような中村経美監督の演出に

>コンテも含めた演出を三村道治助監督に一任したかもしれない

と評したことがあります。三村道治は、後年の三ツ村鐵治監督その人です。

ですので、遡る8年も前の当作ですが、もしかして当時の吉川一義助監督にも、同じような試練(?)を与えたのではないか、そう思うのです。

特に、浜名湖ロープウェイの展望台でのカメラアングルやアップショットが、後年(ただし昭和期)の吉川一義監督作品(時代劇も含め)に本当にそっくりなのです。あくまで自分だけの推測に過ぎませんが、【第2回再放送】の作品の時点で吉川一義監督らしさのある作品に巡り会えたことに感謝します。

 

さて、吉川一義監督については、先日「映画秘宝・2021年2月号」をようやく手に入れました。どうやら、吉川一義監督が特捜隊について語っているらしいので、期待しての購入です。

読んでいると、自分の認識とずいぶん違うなあと思うところがあるのですが、小川記正との関りについては

>小川さんはプロデューサー好みの脚本家。

>ベテラン中の大ベテランですが、ぼくのほうでけっこうホンを直しました。

は自分の読み通りでした。

小川記正ワールドを実現させるには、吉川一義流の捌きがあったというのは正しかったわけですが、自分が2人の最高傑作と絶賛した#550 ある異常人間 については

>「呪いの館」とか「ある異常人間」とか、このあたりはまったく覚えてないなあ。

というのはちょっと残念。

これらは、A4見開き2頁にわたる分量であり、読んでみて損は無いと思います。