【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#286  女と赤電話

特別機動捜査隊(第286回)女と赤電話

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL1、disc3、2020年12月2日発売

(本放送)・・・1967年4月19日

(脚本)・・・横山保朗

(監督)・・・北村秀敏

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・無し

(助監督)・・・天野利彦

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑識医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、事務員(佐藤敏子)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、

松山刑事(松原光二)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

入江洋佑、生田三津子、松山照夫、桑原幸子、蔵悦子、松風はる美、古賀京子、

加茂嘉久、小川万里子、三谷幸子、野本礼三、笠達也、滝謙太郎、三島一夫、

河崎いち子、桜井訽子、水沢麻那、根上忠、清見晃一、水原仗二、草柳種雄、

池田朱実、岩本好恵、石橋暁子、小桜姉妹(明子・康子)、土方弘、吉田義夫、

近藤宏

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

・・・・・(受話器に耳をあてる立石主任、それを見つめる松山刑事の場面)

受話器から流行歌・女心の赤電話が聴こえてくる・・・。

・・・・・(以下、ナレーション)

3人の少女の脱走を手引きした、

ひとりの男が何者かに殺害された!

少年院を脱走した少女と、被害者との関係は・・・?

そんな事件の外側で、暗い過去を持ち合う男と女が、

一筋の光を求めて、新たな人生の設計に向かおうとしていた。

男と女のギリギリの極限をとらえ、

生と死の断面に蒼いスポットを当て、

薔薇色にもなり灰色にもなる、

微妙な男女のあやが蒼い縞模様(シマモヨウ)となって回転する。

1本の電話が結びつけた、ひとつの事件とは!?

ひとりの女ごごろを描く、次週、「女と赤電話」に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

※予告篇はモノクロ映像も、本篇はカラー映像。

 

 

(備考)・・・

・鑑識課員(新田五郎)がオープニング表記されるようになる。

・事務員(佐藤敏子)は、当作が初登場。かつて「高樹蓉子の跡」というHPに、特捜隊常連女優の霧立はるみ、牧紀子と並び詳細が書かれていたが、現在はリンク切れ。

→(追加・R6.2.19)

○アーカイブとして「高樹蓉子の跡」の「特別機動捜査隊」の項目に、「1967年ごろから事務員として出演する佐藤敏子は、1945年3月16日生まれで、銀座で買い物中に本番組のプロデューサーにスカウトされた。俳優としてはこれが初めてで、最初の撮影は緊張してお盆がガタガタ震えたとのこと。出演した時は青山学院大学英文科を卒業したてだった」とある。

○また、#153  陸の孤島【スペシャルセレクション】での高校教師さんからのコメントにおいて、1968年10月の週刊TVガイドの記事の資料提供があった。以下に、その内容を引用記述する。ご健在なら、現在79歳となる。

>「特捜隊」のマスコット佐藤敏子
>「特捜隊」のマスコット的存在の佐藤敏子の人気がお茶の間でも急上昇して

>いる。
> 佐藤は、去年四月のカラー化を機会に、殺伐とした刑事の待機室に、色どり

>を添えようと、女事務員を置くことで捜していたところ、中井プロデューサー

>がたまたま銀座のある真珠店でショッピング中の彼女をスカウトしたもの。
> 「ズブの素人ですが、彼女の『一輪ざし』の美しさを買って起用した」(中井氏)

>と抜擢されたもの。以来今年で一年五ヶ月も経つ。「最初はお盆を持つ手が

>ふるえましたが、今はもう慣れました。出演者のみなさんが大変親切なので、

>毎日仕事が楽しい」と、すっかり役も板についてきた。
> 彼女の略歴は、昭和二十年三月十六日三重県四日市市生まれ。本名佐藤敏美。

>暁学園小学校、中等部から四日市高校、青山学院大学英文科卒。家族は四日市

>に両親、祖母、中学一年生の弟さん。父親は運送会社の社長。趣味は音楽と料理。

>音楽はハワイアンが大好きで、ギターを弾く。料理は自分で手料理を作るし、

>ひまを見ては銀座のクッキングスクールに通学。

>住所は東京都目黒区○○○○○、△△△△方。

・後に、片桐刑事として特捜隊レギュラーとなる笠達也が、純喫茶・蘭のバーテンを演じる。

・また約2年後に、プレイガールでユッコとしてレギュラーとなる桑原幸子が、香川ゆり子を演じている。

・圭子を演じた生田三津子は、後に生田くみ子と改名。

・君子を演じた河崎いち子は、後に城恵美と改名。

・予告篇にもある「流行歌・女心の赤電話」は、当作ゲストの小桜姉妹(明子・康子)が実際に歌っていた(資料によると、ビクターレコード・1967年2月発売)。

・敏子を演じた桜井訽子と、清風荘住人の女性1人(女優名不明)とは、顔つきが似ている。血縁関係者かどうかは不明。

・劇中での「昨夜の12時前後」という死亡推定時刻は、最終的に「昨夜の午後11時-午前1時」と確定することになる。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)。

 

〇東多摩少年院(西原分院)の補導員・あさひな玲子・・蔵悦子

〇東多摩少年院(西原分院)の少女・香川ゆり子・・・・桑原幸子

〇東多摩少年院(西原分院)の少女・江原君子・・・・・河崎いち子

〇東多摩少年院(西原分院)の少女・中西敏子・・・・・桜井訽子

○少女3人に襲われる女子学生

〇ならず者・大塚欽一・・・・・・・・・・・・・・・・近藤宏

〇大塚の住む栄マンション管理人・・・・・・・・・・・三谷幸子

〇赤羽トルコセンターのトルコ嬢・沼田千津子・・・・・小川万里子

〇赤羽トルコセンターの従業員・・・・・・・・・・・・野本礼三?

〇千津子の住む清風荘アパート大家兼タバコ屋店主・・・吉田義夫

〇清風荘の女性住人(3人) ・・・・・・・・・・・・・水沢麻那、石橋暁子、他1名

○純喫茶・蘭のバーテン・・・・・・・・・・・・・・・笠達也

〇バー・エデンのママ・・・・・・・・・・・・・・・・松風はる美

〇バー・エデンのホステス・みずたに圭子・・・・・・・生田三津子

〇バーエデンの歌手ユニット・・・・・・・・・・・・・小桜姉妹(明子・康子)

○芸者置屋経営者・浅野・・・・・・・・・・・・・・・松山照夫

○ラーメン屋台・店主・・・・・・・・・・・・・・・・滝謙太郎

〇雇人の周旋屋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加茂嘉久

〇バイオリンのバンドマン・津島たけし・・・・・・・・入江洋佑

〇楽隊員(3人)・・・・・・・・・・・・・・・・・・根上忠、清見晃一、水原仗二

〇闇医者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・土方弘

〇所轄署・婦警・・・・・・・・・・・・・・・・・・・岩本好恵

 

 

明けて翌朝6時10分、通報を受けた特捜隊・立石班は、都内、にし区和泉町の事件発生現場へ急行した!」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

現場は材石が転がる空地で、「1人の男」が死んでいた。

(註・上記下線部 について、実は序盤で、東多摩少年院・西原分院の破れた金網を発見する補導員、脱走する少女3人、それを見つめるサングラス男の場面が描かれ、その脱走の翌日のことを指す。これにより、視聴者だけには上記の「1人の男」がサングラス男ではないかという効果を与えている)

 

「鑑識医の所見によると、被害者は年齢35歳、死因は後頭部を一撃された脳底骨折死。7,8時間を経過、昨夜の12時前後が犯行時刻と推定された」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

凶器は血痕付着の破損したビール瓶、破片散乱のため指紋採取は困難のもよう。また、被害者本人の財布に8万残されていることから、橘は酔っ払い同士の喧嘩か怨恨の線を疑う。そして荒牧・岩井田が、死体発見者の清風荘アパート大家兼タバコ屋店主(註・以降は店主と略称)に聞きこみ、被害者は清風荘住人・沼田千津子の部屋に出入りする大塚欽一と判明。

 

店主は、大塚の死体発見に驚き千津子の部屋に行くと、昨夜から千津子は帰らず女子学生服の女が1人いた(註・視聴者だけは中西敏子とわかる)。その女は大塚の死に驚いていたが、店主が警察に通報している間に行方不明になったという。

そこで、立石主任・橘・荒牧は店主と千津子の部屋に同道、大塚・千津子の写真を押収、千津子が赤羽トルコセンター勤務と聞くと、荒牧・岩井田を向わせる。さらに、部屋内には出前のラーメンどんぶりが4個あり、その人物について立石主任・橘は近隣へ聞きこむことにする。

 

すると、清風荘の住人女性3人から、大塚は千津子のヒモでありながら、他のバーの女とつきあうならず者で、昨日も午後1時半-2時に、大塚が女子学生服の女1人、赤白の縞模様服の女1人、緑色服の女1人を連れ清風荘に来たことなどを聞き出す。

そんな時、松山から立石主任を呼ぶ声が聞こえ、タバコ屋に向かう。店主が赤電話の受話器を覆った状態で、女性の声で、千津子の部屋にいる「としこ」を呼ぶよう頼まれているという。そこで立石主任は、店主に「呼んでくるから」と言わせ、受話器を持ち替え手で覆い、松山と受話器の向こう側の様子を伺うのであったが・・・。

 

 

当作は【第2回再放送】で放送されたものでありますが、【第1回再放送】【第2回再放送】を未見の自分にとっては、【スペシャルセレクション】で北村秀敏監督作品に初めて出会ったことになります。リスト特捜隊では、特別機動捜査隊(第129回)非行少年 が特捜隊第1回監督作品のようでありますが、自分としては当作オープニングで「監督=北村秀敏」の表記を見ての驚きとともに、本放送としては#452 母恋し1,500キロ を遡る3年余り前の作品であり、ワクワクした気持ちで観賞をすることになりました。

 

北村秀敏監督の評価の理由に、器用であること、物事を出来るだけ矛盾させず筋道を立てた演出をするということがあります。当作でも、脱走事件を知らなかった立石班が、大塚の周辺捜査をきっかけに追及、そこから「鶯谷→上野広小路→上野」の追撃戦。さらには、東多摩少年院(西原分院)の関係者を巻き込み、上記の追撃経路の関連人物から真相に結びつかせるなど、後年の個性はこの時点で出来上がっていたのだと感じます。

特に、上記本文以降の展開で、鶯谷・赤羽・上野・御徒町と矢継ぎ早に場面を展開させて、辻褄が合わないこと無くスピーディーに流れるのは感嘆すべきところです。

 

それでも、出来の凹凸はあるもので、具体的には、開始34分以降の流れは、とってつけたような「後出し的展開」で、急に事件解決の発端となる「予兆」が出てくるのは感心できません。あるいは、少女たちの行く末についても、完結させること無く「尻尾切り」の印象で終わらせるなど、構成(脚本・横山保朗)の問題かもしれませんが、中途半端に終わった感が強い。これは、後年の北村秀敏監督が不調なときにみられる集中力の欠けた傾向で、当作は好不調両面が目につく作品ともいえそうです。

 

個人的には、開始34分以降の流れを、削除までとはいかないまでも、#545 汚れた太陽 的ではなく#556 若い男と 女の坂道 的なエンディングでまとめれば、ずいぶん印象が変わったと思います。まあ、これは後年からみての感覚なので、仕方がないのですが。。。

ただ、【第3回再放送】での立石班に近い印象を受ける作品であり、歴史的意味合いからも観賞する価値があったと感じました。また、前述した好不調の両面で、どちらがもう一方を呑み込んでいるか。。。これも特捜隊観賞のポイントでもあります。

 

さて、ゲスト出演者が当作では結構豊富です。(備考)でも触れた桑原幸子の存在以外にも、特捜隊で後年みかける男優・女優の多いこと。その中でも気になったのは、君子を演じた河崎いち子。後年、立石班桜島噴火前三部作のひとつ、#456 ハイビスカスの女 でインパクトある役柄を演じました。後年、城恵美と改名しており、yahooオークションで、近年のフォト(サイン入り)も出品されたようです。当作の時点では、まだ単発ゲストに過ぎませんが、プレイガールで経験を積み改名、大きく羽ばたいたようであります。