※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#456  ハイビスカスの女】

 

(本放送)1970年7月29日

(再放送)2015年4月16日

(脚本)横山保朗

(監督)天野利彦

(協力)警視庁

(協賛)鹿児島県

(捜査担当)立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、事務員(森るみ子)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、森田刑事(北原隆)、桃井刑事(轟謙二)、

岩井田刑事(滝川潤)、立石主任(波島進)

 

(出演者)

白石奈緒美、河崎いち子、古川義範、美山ゆみ、柴田秀勝、三田村賢二、

沢村ゆき江、岩城力也、宮川洋一、浅見比呂志、水木梨恵、村上不二夫、南州太郎、

峯京子、太刀川寛

 

 

(あらすじ・予告篇から)

 

乱痴気パーティーの果てに、

カクテルに混入された毒物により殺害された若者たち。

捜査線上に浮かびあがった殺人現場(ゲンジョウ)の女主人と、

ある一組の夫婦との関係は何か?

南国鹿児島への新婚旅行のときから、

ハイビスカスをあしらった女に脅(オビヤ)かされる、この夫婦の秘密は?

事件の謎を追って、舞台は遠く日本の最南端へと移っていく。

犯人の大量殺人の目的は何か?

南国指宿(イブスキ)を中心に、

ある殺人事件に巻き込まれた夫婦の危機と葛藤を描いた、

次回、「ハイビスカスの女」に御期待ください。

 

(備考)

・「#452  母恋し1,500キロ」「#454  霧の中の聖女」「#456  ハイビスカスの女」は、出演者、脚本の共通点からロケ3本まとめ撮りしたものと推察。

・登場のフェリー波之上丸(当時の大島汽船所属、初代か2代目かは不明)の後継に、

フェリーなみのうえ(1994年6月竣工)があるが、2012年引退後韓国に売却。不適切な船体改造のうえセウォル号として航路航行、2014年4月16日に珍島沖にて沈没事故を起こす。

・「日本本土最南端佐多岬」と縦書き標識が映っているが、2016年9月現在では「本土最南端佐多岬」と横書き標識のものに変わっている。

・ヘレン里見邸で死んだ3人は、エンディング表記から、ミッチ=関芳枝、真理=朱鷺えつ子と配役確定できるが、もう1人の「ゲン」は見当らない。

・鹿児島県警・なかもり刑事とナレーションされるが、エンディング表記だと中村=岩城力也となっており齟齬がある。とりあえず、中村刑事が正しいものとする。

・長騎鼻パーキングガーデンは、現在では、長崎鼻パーキングガーデンと改称されていると推察。

 

 

(視聴録)

桜島噴火活動収束期の鹿児島ロケ3部作の最後を飾るもので、のちに刑事ドラマの大家となる天野利彦が監督した一篇。37歳壮年期の監督作品で、wikiによると特捜隊「#422上流階級」で監督昇進したようですね。このブログで取り上げる#451~#650の197回分(欠番3回は除く)のうち33回分を演出しており、後年の人間の機微をじっくり描く作風は影を潜め、流れる展開でハラハラドキドキさせ、それでいて考えるゆとりの場面を挿入するのが、特捜隊時代の作風のような気がします。ただ、当たり外れの回がある特捜隊の特長も引き継いでいますが、この回は面白い作品に仕上がっています。

 

今回のストーリーは、

歌手・ヘレン里見(水木梨恵)

付き人の従姉妹・里見シマ(峯京子)

ヘレンのマネージャー・藤井(浅見比呂志)

ヘレンの後援者・笠原はるお(太刀川寛)

笠原の妻・稲子(白石奈緒美)

タレント見習いの(?)かたおか公子(河崎いち子)

公子の情人(註・エンディング表記で菊川とあるが劇中では紹介無し=古川義範)

ヘレン邸に出入りする東田(三田村賢二)

金町工業所の娘・滝京子(沢村ゆき江)

の9人が実はどういう男女関係になっているのか、誰が嘘をつき真実を語っているのかがポイント。そして、それは、佐多岬でのメインゲスト集合で大団円となり、驚くべき結末を迎えます。良い意味、悪い意味でも唖然とする結末でした(笑)

(追加)

公子はさまざまな男とつきあっている様子で、古川義範演じる男の名が劇中では明らかになっていないため、恋人の中の1人の意で「情人」と表記しました。

 

残念なのは物語のエッセンスが#452、#454より多いせいか消化しきれず、真相究明が説明的文章的になってしまったことです。ですので、面白さ・完成度では「#454  霧の中の聖女」に譲るものの、この時代に90分枠、2時間枠があれば#456のほうが上になっていたと思います。

天野利彦監督の後年の作品を見ると、スペシャル作品や前後編作品に秀作が多いのは、偶然ではないでしょう。競馬でいう、マイラーではなくステイヤー気質なのかもしれません。

 

白石奈緒美は、3部作では貞淑のイメージを常に演じていましたが、のちの作品や他番組ではヴァンプ役をもこなせる女優さん。特捜隊では、メジャー部類の常連女優です。とんでもない母親役を演じた「#502  親なき子」では、最後に泣かされました。

 

水木梨恵は、逆にマイナー部類の常連女優です。チョイ役もあれば重要な役でも出演していますが、特捜隊以外ではあまり見ることはありません。後継の、特捜最前線にも出た様子はないので、気になる特捜隊女優の一人ではあります。

 

峯京子は、#454の項目でも触れましたが、今でも脳裏に焼きついています。今回は三つ編みで登場、甘ったれた話し方で、前回と同一人物とは思えない可愛らしさを強調していました。残念なことに、これ以降(#650まで実見した中では)特捜隊作品に再出演することはなく、記録より記憶に残る女優さんになってしまいました。wikiでは1936年11月21日生まれとのことで、ご健在なら現在は80歳。消息は分からずミステリアスな存在でもあります。

 

河崎いち子は、鹿児島前2作にも出ており自分には記憶には残らない扱いでしたが、今回は物語のキーパーソンに抜擢され水を得た魚のようでした。しかし、その後は特捜隊に出演した様子は無く引退したのかと思いきや、城恵美と改名して1980年ごろまで女優を続けていたようです。ネットオークションで「丸尻!美乳!おんなの部分観察」で城恵美として顔が出ていますが、同一人物でしょうね。

 

ロケだと2作品撮るのが特捜隊のパターンですが、遠いからか鹿児島ロケは3作品。これは後年の、ハワイロケ3作品、桜島噴火再活動期の鹿児島ロケ3作品でも明らか。どの時代でも制作費の問題はあるのでしょうが、「#460  砂の墓」の福島ロケはなぜか1回撮りのみでした。

 

(2017年11月21日、全面追加)