※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#659  俺が愛した女だ!!

 

 

 

(本放送)・・・1974年6月19日

(再放送)・・・2019年4月11日

(脚本)・・・横山保朗

(監督)・・・中村経美

協力)・・・無し

(協賛)・・・埼玉県 羽生市役所

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(西郷昭二)、

鑑識課員(田川恒夫)、関根部長刑事(伊沢一郎)、水木刑事(水木襄)、

石原刑事(吉田豊明)、松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

根岸一正、谺のぶ子、松坂雅治、木下陽夫、児玉悦朗、二階堂剛、三川雄三、

丘寵児、花岡菊子、守屋俊志、高野ひろみ、外崎恵美子

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

目を血走らせ、必死の形相で棺桶を担いでいく、若い男・・・。

すれ違った水木刑事のカンがひらめき、殺人事件を嗅ぎつける!

最愛の妻の遺体を前に、自分の母親も寄せようとしない男・・・。

異常な、その執着ぶりに、刑事たちの疑惑が深まる!

そして、隠された女の過去・・・。

やくざ者に騙され、15歳で子供まで産まされた悲惨な日々・・・。

その謎を求めて、出身地、埼玉県の羽生へ・・・!

次回、特別機動捜査隊、「俺が愛した女だ!!」、御期待ください。

 

 

(備考)・・・

・当作は、#461 私の愛した女 のリメイク作品、アメンバー記事のほうに詳細有り。

・広島県一帯を大ロケーションした前作と異なり、当作ロケ地は、埼玉県羽生市となる。

・高野ひろみ、根岸一正の共演は、#537 愛と憎しみの バラード 以来、約2年ぶり。

・エンディング表記で、信代=飯田テル子とあるが、劇中では「ノブ」の発声なので、下記本文ではこれに従う。

#657 華麗なる挑戦状 に引き続き、オープニング表記で、田中係長=山田禅二とクレジットされているが、出演場面は見当たらない。

 

 

(視聴録)

・・・開始約20分後半まで

 

街中で棺桶を背負い、脇腹が血まみれの男を見咎めた水木は、男に付いてアパート室内に入る。と、男は布団に寝ている女の髪を、遺髪を採るかのように切り始めた。異変を感じた水木は通報、三船班が現場に到着する。男は、すなだ勝(根岸一正)20歳、女は既に亡くなっており、たしろ純子(谺のぶ子)18歳であった。勝は脇腹の傷のため、近くの岸部外科へ搬送、純子の死因は後頭部打撲の脳底骨折、死亡時刻は昨夜11時-1時と推定。勝は純子の着衣をすべて着替えさせたようすで、押入れ内の着衣には血痕、泥が付着していた。

 

三船主任は、純子は他所で殺され、アパート室内に運ばれたものと推理、近辺の捜査を指示する。そして、松木の聞きこみでは、管理人(花岡菊子)から、勝は母(外崎恵美子)の反対を押し切り純子と同棲も、母はこっそりようすを見に来たこともあるという。また、2人で吉祥寺のレストランに勤務、昨日、純子は夕方6時に帰宅、勝は遅番のため夜11時に帰宅したことも明らかになる。そして、畑野、水木は犯行現場の廃工場を特定、ダクトの血痕、シンナーの痕跡が残るビニール袋を遺留品として回収、畑野はヒッピー、フーテンが噛んでいると睨む。

 

その後、勝は病院から逃走、三船主任、水木、警官2人(武内喬、菊地正孝)に確保されるが、事件の経緯については黙秘する。

一方、松木、石原は、すなだ家を訪問、勝の母、兄・正(松坂雅治)に事件のいきさつを説明、母が三船班のもとに出向くことになる。その準備中、お手伝・ノブ(飯田テル子)から、興味ある証言を得る。かつて、純子は、すなだ家でノブと働いていたが3月初旬の夜、2浪中の勝に夜食の鍋焼きうどんを運ぶと、勝、正が見下ろす中、階段から落ちて腹部に大火傷を負う事件があった。そして、母は勝を叱りつけ、入院も考え医者を呼ぶよう指示したという。

 

関根、畑野は、棺桶を販売した葬儀屋主人(三川雄三?)に聞きこみ、昨晩11時ごろ、廃工場前で、勝がヒッピー風の男2人(木下陽夫、児玉悦朗?)と喧嘩、2人を追いかける姿を目撃、その原因は2人が純子に何かをしたようだという証言を得る。

 

霊安室で顔を合わせた勝、母であるが、勝は過去のいきさつから母に反抗する態度をとる。そして、母は三船主任、松木に純子退院時の話をする。純子を、従姉の早苗(高野ひろみ)、勝、母で芝河医院に迎えに行った帰り、純子はすなだ家をお暇して、早苗と故郷の羽生市に戻ると言い出す。何とか引き留め泊まらせたが、当夜は、責任をとり大学進学を諦め純子と結婚するという勝と、両親もおらず貧乏人上がりの純子との結婚に反対する母の口論があり、それを純子は目撃したというものだった。

これらの流れから、三船主任は勝は犯人を知っていると判断、泳がせて松木、水木に監視させることにする。

 

さらに石原からの報告では、純子には性暴行の跡があり、相手の血液型はO型、3年前に出産歴が有ることが判明する。そんな中、松木から連絡が入り、勝を尾行して羽生駅に到着、犯人はこの町に潜伏している可能性を告げるのだった・・・。

 

 

勝の回想で、廃工場でヒッピー風2人と格闘・負傷の折、純子の遺体、傍に羽生市の市民プールの回数券、金子農機のライターを発見、これが羽生へ行くきっかけになります。そして、高橋工業第二工場で働く早苗と面会、真相追及を宣言。三船主任、石原も羽生へ出張、羽生署・所轄刑事(丘寵児)と共同捜査の態勢。勝VS三船班の構図になります。

 

その後、金子農機に乗りこんだ勝は、社員の磯村(二階堂剛)、斉藤(黒崎勇)とのいざかい、回数券の元々の出処は寺川(安田明純)、さらには純子の過去の男が、千葉の暴力団員の光岡しげはる(守屋俊志)ということがわかり、ストーリーは混沌としてきます。しかし、ある人物が羽生を訪れたところ(開始約37分半ば)から流れが速まり、事件解決となります。

 

 

(備考)で触れましたが、当作は#461 私の愛した女 のリメイク作品です。同じ立場の主要キャスティングなどを下記にまとめてみます(前作→当作の比較表示です)

○立石班(波島進)+藤島主任(中山昭二)→三船班(青木義朗)

○桃井刑事(轟謙二)→水木刑事(水木襄)

○並木栄二(新田信二)→すなだ勝(根岸一正)

○山脇路子(池田純子)→たしろ純子(谺のぶ子)

○栄二の母(浦里はるみ)→勝の母(外崎恵美子)

○栄二の兄・正男(川上大輔)→勝の兄・正(松坂雅治)

○元お手伝・あやだトモエ(星美智子)→純子の従姉・早苗(高野ひろみ)

○お手伝・幸子(篠由紀)→お手伝・ノブ(飯田テル子)

○路子に絡む男2人(杉山登、三浦弘久)→ヒッピー風の男2人(木下陽夫、児玉悦朗?)

○港湾労働者・門倉のりたけ(仙波和之)→暴力団員・光岡しげはる(守屋俊志)

○所轄刑事(川部修詩、伊藤正博)→所轄刑事(丘寵児)

●監督:田中秀夫→中村経美

●ロケ地:広島県・広島市宮島町・大野町、大竹市→埼玉県・羽生市

 

当作は、前作を観賞した人、まったく当作が初見という人、とで意見が分かれると思います。前作は真相追及に力を置き、映像表現でストーリーを進行させるもの。当作は、アクションに力を置いてのストーリー進行、文章的表現で真相追及をしていく点で、同じ脚本・横山保朗でありながら、対照的な作品となっています。前作から、リアルタイムで約4年経ってからのリメイクで、観る姿勢で好みは異なるものでしょう。

しかし、異なる姿勢でも、上流階級の次男と、恵まれない過去を持つお手伝の悲劇というポイントは変わらないと思いますので、その点だけを取り上げると、前作のほうに一日の長があると感じました。遺髪という箇所は変わりませんが、前作は2人の結びつきを深めた「湯呑」がポイントです。それも1つは形を整えながらも、もう1つは割れた状態・・・、それがラストの三滝寺墓参のときに、悲劇性を高める小道具による効果・撮影・演出となっていました。ラストの視聴的昇華も含め、前作は辻褄が合わないながらも(アメーバー記事にも書きましたが)

>東京で起きた殺人事件を数奇な運命も含め広島に手繰り寄せる、

>アクションとして成功した作品

として、佳作の評価をしたわけです。

 

それでは、当作はどうかというと、#658 はみだした青春 での中村俊男(旧・菅野直行)の主演ぶりではないですが、脇役・悪役に甘んじていた根岸一正の主演譚たるべきストーリーです。#598 黄色い性の 風化 でも、ある意味、ダブル主演のひとりでありましたが、当作では完全に単独主演です。その点では、見応えはあるでしょう。特に、内面に秘めた怒りを沸々と溜めるところ、そしてそれが爆発する廃工場、市民プールの場面は面白い出来になっています。

ただ、全体的には、自分は前作を観賞しているので、どうしてもそこからの比較が避けられず、前作ほどの評価は難しく感じました。面白い点を挙げるならば、上記のキャスティングの妙かなと考えます。

また、出演者という点では、自分が高評価をする高野ひろみが、当作では宝の持ち腐れ感になっているところが残念。年齢的な問題も有るのでしょうが、前作の星美智子ほどの場面展開が少なく、印象に残りづらい役柄に見えました。メーキャップで老けさせ、勝の母を演じさせたら・・・、とも。

 

また、かつて自分は、三船主任、関根部長刑事、畑野刑事は特捜隊のベストトリオ評したことがありますが、当作ではこの3人の絡みが少ないのも気になるところ。特に、関根は、前作にも出演していたわけで、リメイク作なりのポイントゲッターを少々期待していたのですが・・・。

何はともあれ、【第3回再放送】の後半から、旧作のリメイクが実見、あるいは「掲示板特捜隊」でのコメントから目立つようになっています。以降、どうなるかはわかりませんが、前作を超えはしなくとも、維持できるような作品づくりを期待したいところです。