※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#657  華麗なる挑戦状

 

 

(本放送)・・・1974年6月5日

(再放送)・・・2019年4月4日

(脚本)・・・松本昭典

(監督)・・・天野利彦

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(西郷昭二)、

鑑識課員(田川恒夫)、関根部長刑事(伊沢一郎)、水木刑事(水木襄)、

石原刑事(吉田豊明)、松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

大堀早苗、平野康、関戸純方、宇南山宏、武田一彦、相馬剛三、中島元、

佐々木一哲、石黒正男、岡崎夏子、清水理絵、田沢祐子、葉山美樹、

ローズ・牧、浦里ひとみ

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

ゲイバーのマダムが殺され、2500万という大金が盗まれた。

捜査を始めた三船班は、

男が女装をし、その精神までもが、

完全な女になりきって生きている倒錯の世界に、

何か釈然としないものを感じるのであった。

彼らは、彼らだけの世界に生き、

他のものは一切寄せつけようとはせず、

その捜査は遅々として進まなかったが、

やっとひとりのゲイボーイが容疑者として浮かんだ。

果たして、

彼をこの世界に走らせたものは、暗い生い立ちなのか・・・!?

それとも、金と虚栄への憧れなのか・・・!?

次回、特捜隊、「華麗なる挑戦状」に御期待ください。

 

 

(備考)・・・

・特捜最前線の常連ゲストの相馬剛三が、特捜隊に出演したのは、【第3回再放送】以降で自分の視聴した中では初めてだと記憶する。

・エンディング表記で、特別出演(東京ローズ)でお蔦=ローズ・牧、とあるが、その他にも所属する俳優(?)として、光江=淡路はじめ、房子=小宮浩二、タカシ=磯貝明、スミオ=岬誠、とクレジットされている。

・田中係長=山田禅二とクレジットされているが、出演場面は見当たらない。また、畑野刑事の台詞・発言が、開始約26分半ばまでされていない。

 

 

(視聴録)・・・開始約23分まで

 

新宿の雑踏の中を歩く派手服の女(大堀早苗)、その目線の先にあるショップでは、鍵のかかった女性トイレに赤い女性服、ハンドバッグ、金髪カツラのほか女性の小物が放置されているのが発見された。所轄の南新宿署では、その遺留品の「ふくはらかずお」名義の通帳から、本日2500万が引き出されていることに着目。係長(未詳)は古田巡査(石黒正男)、服部巡査(佐々木一哲)を、同じく遺留品の名刺から「ふくはらかずお」が代表を務める、三光町のクラブ・ドウルへ向かわせる。

 

折から出勤のアンナ(平野康)、マリー(関戸純方)をはじめ、ゲイボーイたちに翻弄されながらも、店内でふくはらことドウルのママ(浦里ひとみ)の絞殺死体が発見され、三船班の捜査が開始された。死亡推定時刻は昨晩の12時(閉店時刻が11時)、所轄の両巡査からの本日の一件を聞くと、三船主任は関根、石原に通帳元の東栄銀行へ聞きこみに行くよう指示を出す。だが、茶々を入れるアンナの発した「銀行で吠え面かくな」の言葉が、気になっていた。

 

東栄銀行では、関根、石原が支店長代理・本間(相馬剛三)、窓口係・江藤あきこ(田沢祐子)と面談。前日にふくはらと名乗る声で2500万引出の連絡があり、午前10時、窓口のあきこの前に現われたといい、服装は女性トイレの遺留品と一致していた。しかし、顔については、サングラス、イヤリングの女装のほか特徴らしいものを見出すことができなかった。

 

南新宿署に集結した三船班本隊。松木、水木からの遺留品はフランス製で犯人の足取りを追うのは難しいという報告、石原からのゲイボーイという風俗を上手く利用されたという意見に、三船主任は犯人にしてやられた感を抱きつつ、これからは反撃に出ると全員に活を入れる。そして、現場でのアンナの発言を糸口に、再捜査を行なうこととなった。

 

ドウルでは、ゲイボーイの番頭格(ローズ・牧)が従業員を集め、ママの追悼をしていた。そこを関根、石原が訪れるが、犯人とは、閉店後ママがひとりで売上計算をするのを知っていた人物、ママ所有の町田の土地が売れたことを知っていた人物、通帳・印鑑の置き場所を知っていた人物、など話していたことを耳にする。そして、この席に出ずに逃げたゲイボーイがマリー、アンナであること、2人とも歌舞伎町のロレンスに移ったことが判明。さらに、昨晩、アンナは閉店前の9時に、いつもの仮病の腹痛が起こり早退したことも明らかになる。

 

そして、舞台を歌舞伎町に移し三船班の捜査は再開。早退したアンナが準備を整えママを襲った見方から、松木、水木はロレンスへ向かいアンナ、マリーに聞きこむことになる。そこは男装のゲイボーイの店で、マスター(武田一彦)はドウルの女装趣味を嫌っており、2人が移籍したのはゲイの主義主張の違いであり、情が無いわけではないと庇うのだった。そして、マリ―が従業員の共同マンションに帰ると、アンナは寝ており「いま、頭がガンガンするの、このままそっとしておいて」と話したことを証言、アンナにはアリバイがあると強調した。

 

店外で松木、水木と合流した三船主任は、報告を聞くと、マリーが共犯だとするとアンナのアリバイは崩れると主張する。しかし、松木はマリーの態度から偽証とは考えられず、他のゲイボーイ、客筋の線を考えるよう意見具申をするのだが・・・。

 

 

ストーリーはその後、ある人物たちの動きを張り込んでいた関根、石原がキャッチ、そこから三船班総出で追跡、物証も手に入れ、遂には真犯人の告白・動機も明らかになり事件解決になるというものです。脚本は松本昭典、【第3回再放送】では、#517 華麗なる 沈黙の街 、#533 爆弾時代 、を担当、前者は北村秀敏監督、後者は龍伸之介監督です。演出云々の問題はありますが、問題点の整理が出来きっていなかったり、抑揚のない流れになっていたりとか、佳作に届かずのイメージでありました。

当作は、天野利彦監督ですが、仕上がりはどうだったかといいますと、こちらは演出に期待しすぎたこともあり、「これで終わり?」という感の強い作品でした。

 

解決に向かってドンドン突き進む三船班というのが、【第3回再放送】からのイメージですが、当作はそれから外れる捜査班に思えてしまうほど。これほど、怒鳴り散らし、我が道を行くような三船主任というのは珍しい、というか、三船主任のキャラ設定を忘れてしまったかのようで、観ていてイマイチ乗れないところがあるのです。

そして、ある程度真相が読めてくるのが開始約25分半ばなのですが、ラストまで約20分は物証探しと動機の意味付けのために展開されます。ここの部分を、長所とみるか、短所とみるかが、当作の良否を判断する材料となりましょう。個人的には、【第3回再放送】での三船主任キャラだったら充分受け入れられる展開なのですが、感情丸出しの三船主任キャラではこの展開はまだるっこしく感じてしまいます。ラストの三船主任の言葉も、そういう気持ちなら物証探しと動機の意味付けなど不要で、さっさと踏み込めばいいのではとも思います。

 

後半の詰めは良く、アンナを演じた平野康も特捜隊の常連といってもよく、ゲイボーイを熱演しています。それゆえに、当作の三船主任キャラは惜しい、さらには窘(たしな)める側でもある畑野の台詞・発言も少なく、ストーリーの流れとマッチしづらいところもあります。このように今回は、コメントが辛口になってしまうところがあります。

こういった感じ方は、矢崎班登場とは無関係では無いでしょう。かつて、自分は理論の高倉班、実践の三船班と考えたことがあります。つまり、対称的な捜査班を置くことで、ストーリーが面白くなるということ。似たようなスタイルだと、どちらかに吸収されがちではないかということでした(註、考えてみれば、再放送再開後の#653 待ちぼうけの女 もキャラが違いますね)。

 

ですので、武闘派として華々しく登場した矢崎班、当作のように荒々しい三船主任だと似た者同士で、吸収されてしまわないかという思いがあったのかもしれません。まあ、後世から見れば、特捜隊は第801回まで存続したのでそこまでの危惧は無いのですが・・・。ですので、当作は、あくまでイレギュラーの回と考えたほうがいいのかもしれません。