※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#537  愛と憎しみの バラード】

 

(本放送)1972年2月16日

(再放送)2016年1月28日

(脚本)村田武雄、荒木芳久

(監督)田中秀夫

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

鑑識課員(田川恒夫)、鑑識課員(西郷昭二)

その他三船班は(備考)を参照。

 

(出演者)

高野ひろみ、根岸一正、荒木祥子、園浦ナミ、中島かつみ、春江ふかみ、有馬昌彦、

山本武、堀勝之祐、久松保夫、天王寺虎之助

 

 

(あらすじ・予告篇から)

 ※当時のナレーション(=青木義朗)をそのまま聞き写しています

 

ある夜、青年社長が殺害された。

そこには、財産目当ての会社乗っ取り計画が隠されていた。

そして、冷たい法律を憎みながらも、

精一杯、愛に生きようとする若い男と女の姿・・・。

貧しくとも楽しい家庭・・・。

残された財産を巡って、展開する歪んだ人間模様・・・。

借金の連帯保証人として押した、

たった一つの印鑑が、もたらした人生の悲劇・・・。

あらゆる困難に立ち向かい、

力強く生きようとする姉弟(キョウダイ)の姿と、

特捜隊・三船班の活躍を描く、

「愛と憎しみの バラード」に御期待ください。

 

 

(備考)

・劇中に、特捜隊メンバー(男優名)、白石刑事(白石鈴雄)、水木刑事(水木襄)、石原刑事(吉田豊明)、三船主任(青木義朗)、関根部長刑事(伊沢一郎)、田中係長(山田禅二)、

畑野刑事(宗方勝巳)、の表記がされている。

・下記の(視聴録)にいう、妻(未詳)、実妹(未詳)、母(未詳)、は劇中で氏名が明らかではありませんが、早苗=園浦ナミ、弓子=中島かつみ、花江=春江ふかみ、のどれかに該当すると思われます。顔と芸名の見極めが難しく、特定できませんでした。

 

 

(視聴録)

 

丘の上の邸宅に住む星川正之(堀勝之祐)は星川産業の社長。妻(未詳)、実妹(未詳)、実弟・哲夫(岡本富士太)と裕福な暮しをしながら、部長・榊(有馬昌彦)や取引先・杉本(久松保夫)との夜の遊びも欠かさない。その正之が崖からの墜落死体で発見され、三船班は死亡推定時刻は午後11時ごろ、遺留品のペンダントをもとに殺人事件として捜査に当たる。

事件当夜、正之は杉本の接待で料亭・新華楽で遊行、芸者・みどり(高野ひろみ)とその後を過ごしていたが、みどりは午後9時に寝ている正之を置いて、新華楽を出たという。ところが、三船班の捜査で、みどりの父・芳郎(天王寺虎之助)、母(未詳)、弟・隆史(根岸一正)の深見家は、正之の父・けいぞう(山本武)の頃から、星川家と底知れぬ因縁があり、それゆえ丘の下の長屋住まいを余儀なくされている事情が判明した。そんな中、芳郎の看病で深見家を訪れた隆史の恋人のホステス・順子(荒木祥子)は、ある新聞記事を読み顔色が変わる・・・。

 

 

当作は、裕福な邸宅家族、貧困な長屋家族、両者にとって幸せとは何か、そして両者の因縁とは何かを描いたものですが、面白く仕上がっているものの佳作に届かずと感じました。

脚本が、村田武雄、荒木芳久の2人で、荒木芳久回想記・0037(2011年7月25日の37話)を読むと、当作がコレなのかとも思います。というのが、村田武雄脚本と田中秀夫監督の組み合わせですが、「#473 盛り場刑事」は面白い出来でしたが村田武雄、柳節也の共同脚本、「#506 銭に生きる女」は田中秀夫監督が本調子に戻っていない出来ですが村田武雄の単独脚本。個人的な読みですが、性に合わないゆえに脚本を改訂したような感じです。

 

ところが当作は、写真と隆史の独白に矛盾点があります。これは、犯人指摘に関わるところなので見逃すにはちょっとツライ、小道具のちょっとした気遣いで解決できたところですので残念です。佳作に届かずというのは、こういう点が目についたのも一因です。また、相続の問題も出てくるのですが、代襲相続と相続の欠格が絡んでくれば、またひと騒動あるのは必然なので、この点描いていればなおさら勧善懲悪が強調されたと思いました。

 

ただ、ラストの場面は、受動的なものか、能動的なものか、視聴者に判断させようとする演出はお見事。あそこををどう捉えるかによって、当作のテーマにもつながるところですので、村田武雄脚本に手を入れたとすると、たぶんここいらへんかなという気もします。

当作は、三船主任ほか三船班も表に出すぎることなく(出演場面が多い少ないとは別です)、深見家の姉弟を中心に描いているところも異色といえば異色。高野ひろみ、根岸一正の絶妙の演技も印象に残り、佳作に至らずとも心に残る特捜隊・番外話とも言えると感じました。

 

(2017年12月18日 全面追加)