ねぶた会場から帰り、まずは近場の温泉に入った。

温泉には、足を引きずってる人が何人かいて、一目でハネトって分かる。


疲れきった体は、あんまり温泉を受け付けず、すぐにのぼせてしまった。



キャンプ場に戻ったらチームのみんなと夕食、宴会。


と言っても、私には完全にアウェイな場。


ちょいと緊張してたからか、ずいぶん飲みすぎて、いつ、どのように自分のテントに戻ったのかさっぱり記憶に無い。


起きた時、コンタクトを着けっぱなしだった事から、かなりの泥酔状態だったと予測される。



もちろん酒の抜けが悪い私は二日酔い。


テント内が灼熱状態だったけれども、出来る限り横になってゴロゴロしていた。



そして、本日もまた始まる、祭りの時。

よぅそろお-Image221.jpg

スキンヘッドの兄さん方が、頭に化粧を施す。


つか、めちゃ上手い!!



よぅそろお-Image219.jpg

跳ねる前に…と肉を補給する子。愛媛から車で来ているツワモノGirl。


本気(マジ)っすね!



今日が夜ねぶたの最後の日。

祭りといえば夜ですので、今夜がラストのような物。

よぅそろお-Image222.jpg

「ラッセーラー ラッセーラー!」

「ラッセ ラッセ ラッセーラー!」


延々と跳ねながら叫ぶ。

前の方が一番盛り上がっているので、人を掻き分け前へ前へ!

山車が立ち止まった時が最高潮!

その場でいかに跳ね回るか!みたいに我を忘れたように叫び、跳ねる!


しかし、音頭執ってる人達、恐ろしい…。

2時間まったく休まずに跳ねて、人よりずっと大きなアクションと声で叫んでいる。

化け物…!


私は、今日は他のねぶたも見たかったから、ちょいと抜け出して歩いてみた。

が、ハネトの輪の中に居れば忘れられてた足の痛みが激しく襲う。

結局、他のねぶたは1つしか見ないで、何人かとダラダラ休憩してしまった。

ちなみに、そこのハネトはまったく盛り上がってなかった…。


ラスト30分くらいでまた戻り、最後まで全力投球ー!

「ラッセラー!ラッセラー!」「ラッセ ラッセ ラッセラー!!」


パンパン と花火が上がり、終了~!

今日も燃え尽きたぜ~!!



本当に燃え尽きたらしく、帰ってから、宴会の触りだけで具合悪くなってしまった。


明日は昼からだし、早めに寝て、体を休めよう。

名付け親HGさんの手引きで、チームに混ぜてもらえた。


チームの女の子達に着付けをしてもらい、ハネトの衣装に着替える。


買ってきた鈴をつけて歩くと、リンリンと音がして、祭りの一員になった実感。


ヤバイ、テンション上がっちゃうぞぃ。



夕方、一斉にバイクに跨り会場に向かう。




よぅそろお-Image211.jpg

つか、すげえええええ!!!!


ハネトの大行進!!


ただでさえこれだけのバイクが走るのは壮観なのに、みんなハネトの衣装!


しかも、青森ベイブリッジには、チャリダーが並んで、チャリを持ち上げてお見送りしてる!


やばいやばい!これはすごい!!


自分がこの行列に居るのが嬉しくて嬉しくて仕方なかった。


ボルテージ急上昇!



しかし、バイクを置いて集合場所まで歩いて向かうと、意外と遠くてすでにぐったりしてきた。


私、ちゃんと跳ねれるのかいな。



会場についたら意外と長い待ち時間、そわそわ。うきうき。


よぅそろお-Image212.jpg (HNちゃんおひさ!)


薄暗くなってきた。


いよいよ、ねぶたが始まる。




太鼓が鳴り、お囃子が始まった。


ゾクゾクと沸き立つ。


太鼓に合わせねぶたに灯が入る。


血が、破裂しそう!


よぅそろお-Image215.jpg


「ラッセラー ラッセラー」 「ラッセ ラッセ ラッセラー」


掛け声に乗って、みんなが跳ねだす。

流されて、乗り切ったテンションで突入!


そこから2時間、もみくちゃになりながら、汗で浴衣がずぶ濡れになるほどに跳ねて叫んだ。

腰も痛いし、何より足がきかなくなっていたけど、最高に楽しかった!


帰り道、バイクまで歩くのがめちゃくちゃしんどかったけれど、恐ろしいほどの満足感!



ハネト、サイコーーーーー!!!

腰の様子から、5日に参戦する事にした、ねぶた。


荷物はほぐして無かったから、準備もそこそこに前日はまったり過ごした。


当日。



な、なぜだ!!?



なぜ今日に限って寝坊するのだ!?



帰宅してから、目覚ましなんか掛けなくたって早起きしていたのに、なぜに今日は起きれなかった?


いや、そんなこたぁいいからまず準備を!



バタバタドタドタ わーわーぎゃーぎゃー



予定より1時間以上遅れて出発!


絶対何か忘れてるわ…。



盛岡はカンカンの晴天!


ジリジリと照らされながら、数日間ぶりにパッキングしたバイクで走る。



チョー普通。


当たり前な感覚。



青森市まで直接行った事が無いから、どのくらいの距離があって、どのくらいの時間がかかるのか分らない。


予想では、300㎞くらいかな…と思っていたけれど、4号線に乗り青看板を見ると、『青森 198㎞』と。


なあんだ!近いじゃん!!


と、ちょっとホッとした。


しかし、4号線はトラックの巣窟だった。


天気も怪しくなってくる。


むむぅ、思うように進まないぜ…。


早々と、道の駅石神の丘にてコーヒーブレイク。


まあ、200㎞くらい、屁でも無いし~。



また走り出し、しばらく快調だった。


前方に、えらい黒い雲が見えた…と思った次の瞬間、



「ドザーーーーーーー!!!!」



ギャーーー!!イタタタタタ!!!


一瞬でずぶ濡れ。


高架下に逃げ込んで、カッパを着る。


もう、手遅れだけどね…


このカッパ自体が手遅れだけどね…


おっそろしい強さの雨に打たれ、駆け抜ける大型トラックに水をぶっかけられると

予想を裏切らずカッパはすぐにへこたれた。


うふふ。何だっていつもいつも始まりは雨なの?


そして、何だって私はカッパを買わなかったの?


時間はあったのに、なんの補強もしていないし。


んふー、バカ?



ずぶ濡れで、ガタガタと震えながら、うっかりゆっくり進むトラックの後ろにつけてしまった。


イライラしてきたけれど、路面が水浸しだから、ビビリの私には一気にスピードを上げて追い抜く勇気は無い。


微妙に抜きにくい速度である。


こんな時に嬉しい登板車線♪


って、短いっ!!


トラックを抜く前に終了。


バケツをひっくり返したような雨をトラックが巻き上げ、さらに気温はぐんぐん低下。


必死の思いでトラックを抜いても抜いても、先には新たなトラック。


もう、もう勘弁してください…。



ねぶたのサマーキャンプ場に到着した時には、本当にギリギリだった。


時間も、体温も。


けれど、再会&再会&new出会いに、寒さなんてさしたる問題ではなくなった。


しかも、今夜はテントを貸してもらえる事になったし、ハネトの衣装まで貸してもらえた!



至れり尽くせりで、私の初ねぶたは幕を開けた。

盛岡さんさ、開幕。

去年見れなかったから2年ぶりの、盛岡の祭。

日本一周してから、私の目は、「地元」とか関係なく物事を見てた。

けれど、耳に、体にすりこまれたリズムは、簡単には拭えない。

さんさの太鼓を聞けば、体が動き出す。


よぅそろお-Image205.jpg

「踊りたい!」

何度も口にする。

やっぱりどうしたって、私は、盛岡の人間なんだ。



友達がパレードに出た。

私を見つけて、渾身の力を込めて、手を振る。


泣いちゃう。


私に、帰る所を作ってくれた彼女達の無意識の行動に。


泣いちゃう。


けど、今は泣かない。


懐かしいさんさ、新しい古いさんさ。


やっぱり、実感は沸かないけれど、
この踊りは、私が盛岡で育った証として、体に染み付いてる。

これこそが、今盛岡にいる証。


さんさ、来て良かった。




その久しぶりの盛岡の面々と飲んだ。


私は、焦燥感にかられ、身動きが取れなかった。


私が旅に出ている間に、起業している人が、多い。

私が、旅で、たくさんの出会いを重ね、ようやく色彩を理解し始めた頃、
私の友人達は、またさらに先を見ていたのだ。


旅に出る事がゴールだった盛岡は、
帰って来た私に、超ド級の難題を直球でぶつけてきた。

岩山展望台から、自宅まで、私はパンパンだったけど、何が自分を満たしているのか把握できなかった。


昂っていたけど、妙に冷静でもあった。



自宅への道は、少しカーブになっていて、直前まで見えない。


自宅が見えて、いつも停めていた場所にバイクを止める。



「…終った………」



バイクに跨ったまま、身動きも出来ず、しばらく泣き伏した。



バイクを降りて、玄関を開ける。



母が2階から降りてきた。


「おかえり!」



っっ、っ…



「ただいま」って、言えない。



「ただいま」の為に、旅に出たのに、言えない。言葉が、重い。



パッキングを解くのを手伝ってもらい、家の外飼いのわんこに挨拶。


再び、ヘルメットを脱いで玄関に入った。




「ただいま。」




この瞬間、私の日本一周が、完結した。




ギックリ腰なので、今はとにかく安静。


ねぶたに間に合わせなきゃ。



家族と乾杯して、1年ぶりの自宅で、ゆっくりした。






何の実感も無い。



今、自宅に居る実感、旅が終った実感、旅をしていた実感すら無い。


ねぶたがあるから、『日本一周』は終ったけれど、『旅』はまだ終っていない。


だからか?



普通におしゃべりもして、コレと言って気落ちもしてないし、かといって、安心感に支配されてる訳でもない。


本当に、何の実感も沸かないのだ。



もしかして、私の感情が今お休みしてしまっているのか?


何も感じない。



どういうことなの?