岩山展望台から、自宅まで、私はパンパンだったけど、何が自分を満たしているのか把握できなかった。


昂っていたけど、妙に冷静でもあった。



自宅への道は、少しカーブになっていて、直前まで見えない。


自宅が見えて、いつも停めていた場所にバイクを止める。



「…終った………」



バイクに跨ったまま、身動きも出来ず、しばらく泣き伏した。



バイクを降りて、玄関を開ける。



母が2階から降りてきた。


「おかえり!」



っっ、っ…



「ただいま」って、言えない。



「ただいま」の為に、旅に出たのに、言えない。言葉が、重い。



パッキングを解くのを手伝ってもらい、家の外飼いのわんこに挨拶。


再び、ヘルメットを脱いで玄関に入った。




「ただいま。」




この瞬間、私の日本一周が、完結した。




ギックリ腰なので、今はとにかく安静。


ねぶたに間に合わせなきゃ。



家族と乾杯して、1年ぶりの自宅で、ゆっくりした。






何の実感も無い。



今、自宅に居る実感、旅が終った実感、旅をしていた実感すら無い。


ねぶたがあるから、『日本一周』は終ったけれど、『旅』はまだ終っていない。


だからか?



普通におしゃべりもして、コレと言って気落ちもしてないし、かといって、安心感に支配されてる訳でもない。


本当に、何の実感も沸かないのだ。



もしかして、私の感情が今お休みしてしまっているのか?


何も感じない。



どういうことなの?