最後の最後、仕上げとして、行こうと決めていた場所。
バイクの運転がさっぱり上達しなくて、練習がてら良く来ていた場所。
息詰まった時に、慰めに走りに来てた場所。
『岩山展望台』
ここから、盛岡を眺めてから、家に帰る。
上から眺めると、盆地の盛岡を包む、涅槃の様な山々。
そして、やはり雲のかかる岩手山。
しかし、片富士の『片』の峰が見えている。
上から、「ただいまー!盛岡!!」
旅で最後の一服。
終わるよ。
私の日本一周が。
神様が宿った時間が。
もう、終わるよ。
ここは、私が仕事をしていた所。
駅ビルで、集荷配達をしていた。
ふと、搬入口を見ると、トラックが!!
私のバイクに着いてるスクリーンをくれて、取り付けまでしてくれた、大好きなハーレー乗りが乗ってるトラック!!
一度素通りしたけど、戻ってトラックの隣に着けた。
わー!!搬入口懐かしい~!!!私の汗と涙が染み付いた搬入口…。
運転席を覗くと、いない…。
反対側から見てみた。
運転席の後ろ目掛けて扇風機が回ってた。
隣に停まっているライバル社だったトラックの運ちゃんに、「寝てる?」と聞いてみると、
「うん。」
そうかー、体弱いから、休ませてあげないとな。
つか、まだあなたがここの担当なんですね…。
残念だったけど、出発した。
盛岡の一番の都会の駅前。
田舎田舎と思ってたけど、結構な都会じゃん!!

車こんなに多かった!?
そして浦島太郎。
あれ、コンビニ出来てる…。
前何だっけ…?つか、何このビル!?
またコンビニ出来てるし!!
街も生モノです。
岩手公園(城跡)を横切り、裏磐梯のキャンプ場で会ったISさんにいただいた『いわてぬぐい』を売っている店に来てみた。

作っている人に会いたかったけど不在。
岩手の絵葉書を買って、店を出る。
懐かしい!!懐かしい!!
無駄に元カレの家の前や、中学校の前を通る。
懐かしい!!
しかも、前はグラグラ運転してた所が、めちゃスムーズに走れる様になってる。
ひゃっほー☆
自宅近くまで帰ってきた。
うおー!!なんだこのスーパー!!
あんなにこじんまりだったのに、チョー儲けてたんじゃん!!
うおー!!その煽りか、行きつけのコンビニの姿形が無くなってるー!!!

一年ですっかり浦島太郎。
その看板をくぐり抜ける。
熱い。目頭が熱い。
帰って来たよ。
みんな!帰って来たよ!!
帰る前に、何か食べようと思っていた。
やっぱりじゃじゃ麺?
いや、何か気分じゃない。
ぼわんっと頭に浮かんだのは、『天下一品』
沖縄で食べたけど、濃厚さが全然違くて、別のラーメンだった。
食べたい!よし、決定!
盛岡市街の近く、岩手大学の側に店はある。
どうやって行くんだっけ…?
やべ、道忘れてるよ…。
岩大の看板に助けられる。
しかし、やたらと混む交差点。
そうだ!この舘坂橋の交差点は混むんだった!

盛岡を走って、懐かしいかと言えば、そうじゃない。
「あれ、この辺こんなだったっけ。」
忘れとる!
しかし、カーブを曲がると見えてくる看板や、行った事の無い店を覚えてたり。
知ってるけど、知らない。
見てなかったのかも。
天下一品に着いて、大盛り一丁!

こってりドロドロのスープ。
これこれ!
一口食べて、ニンニクと辛子味噌をトッピング。
う、う、う、うみゃ~~い!!
大盛りだってあっという間に完食。
ぶはー、大満足!!
雲が切れ、青空が見えてきた。
帰るまで、雨に当たるものと思っていたのに。
ありがとう。
雫石の道は、もう走り慣れた道。
懐かしいけれど、違和感がまったく無い。
日常的に走っていた訳じゃないからね。
どんどん晴れてくる空。
「お願い、お願い。」
雫石を取り囲む山は姿を現して来た。
しかし、この左手側に、変わらなくあるはずの岩手山だけが、厚い雲に包まれていた。
お願い、姿を見せて下さい。
太陽は復活し、夏の暑さが蘇る。
岩手山を見るために、小岩井に入る。
小岩井も、ツーリングコースだった。
緑が広がる牧場や、桜並木、木々のアーチが好きで、良く来てた。
道もいい。
牧場には花が咲いて、一面の牧草が目に眩しかった。
一本桜から、見よう。
岩手山を望む牧場に、一本だけ生えた桜。
道を覚えてるか不安だったけど、ちゃんと着けた。
やっぱり雲に包まれている。
けれど、私は待った。
30分待って、晴れなかったら、諦めよう。
30分経過。
雲の形は変わったけれど、次々に流れてくる厚い雲達が待機している。
ダメだな。
後ほど、会いましょう。
さあ、いよいよ、盛岡へ。