雲が切れ、青空が見えてきた。
帰るまで、雨に当たるものと思っていたのに。
ありがとう。
雫石の道は、もう走り慣れた道。
懐かしいけれど、違和感がまったく無い。
日常的に走っていた訳じゃないからね。
どんどん晴れてくる空。
「お願い、お願い。」
雫石を取り囲む山は姿を現して来た。
しかし、この左手側に、変わらなくあるはずの岩手山だけが、厚い雲に包まれていた。
お願い、姿を見せて下さい。
太陽は復活し、夏の暑さが蘇る。
岩手山を見るために、小岩井に入る。
小岩井も、ツーリングコースだった。
緑が広がる牧場や、桜並木、木々のアーチが好きで、良く来てた。
道もいい。
牧場には花が咲いて、一面の牧草が目に眩しかった。
一本桜から、見よう。
岩手山を望む牧場に、一本だけ生えた桜。
道を覚えてるか不安だったけど、ちゃんと着けた。
やっぱり雲に包まれている。
けれど、私は待った。
30分待って、晴れなかったら、諦めよう。
30分経過。
雲の形は変わったけれど、次々に流れてくる厚い雲達が待機している。
ダメだな。
後ほど、会いましょう。
さあ、いよいよ、盛岡へ。