2023年12月27日にリリースした保坂修平トリオのアルバム「ボス・サイズ・ナウ」。
アルバム収録の各曲について、CDのライナーノートに書ききれなかったこと。
今日は8曲目の解説です。
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8, Plein soleil
映画「太陽がいっぱい」(1960)のテーマ曲でニーノ・ロータが作曲した。ニーノ・ロータらしいどこかイタリアを感じさせる憂愁の音楽であるが、どのスタンダード・ナンバーと比べても遜色のない完璧なフォルムと普遍性を備えている。
さて、僕はニーノ・ロータの音楽がとても好きなのだが、まず衝撃を受けたのが「ゴッド・ファーザー」の音楽。というより映画に打ちのめされた。あれは大学3年生のころだったか。深夜のコンビニのアルバイトをしていて、朝6時に終わり、帰りにレンタルビデオ屋さんでビデオを借りた。少しだけみて寝ようと思って再生し始めたら最後までみてしまう(パート1の前半)。続きを見たくて再び家を出てレンタルビデオ屋さんに向かい後半を借りてきて最後まで見た。朝10時くらいになっていたはずだが、あまりの興奮にその後なかなか寝付けなかった。同時に、音楽の素晴らしさに感動。一番刺さったのは、マイケルが子供の聖餐式に臨むシーン。パイプオルガンがゴッド・ファーザーのテーマの変奏を奏でる宗教的な雰囲気のなか、5大ファミリーのボスの同時暗殺と幼気ない赤ん坊の儀式が入れ違いに現れる。このカタルシス!一方に聖なる純粋無垢が、もう一方に悪と暴力と血が、ひとつの音楽をバックに交差する。このセンス。若い僕は圧倒された。
ニーノ・ロータの素晴らしさは、メロディーと楽器法が醸しだす「イタリア感」と、世界に通用する(日本人も大好き!)ユニバーサルな表現が渾然一体となっているところ。絶対に他の楽曲に替えが利かないと思わせる、楽曲の説得力、存在感。ゴッド・ファーザーのテーマにあれでない、別の音楽、作れますか?「ラ・ストラーダ」のジェルソミーナのテーマに、違うメロディー、思いつきますか?この唯一無二のものを生み出す能力。
僕も作曲家として、いつも自問自答しながら作る。「生まれ変わっても、本当に、これでいいのか?」という決定的な何かを焼き付けられているか。いや、まだだ。まだ、いけそうな気がする…そんな時、ニーノ・ロータを思い出す。
さて、そんなニーノ・ロータの名曲「太陽がいっぱい」をこのCDでは目一杯スローなテンポで演奏している。
実はこれ、偶然の産物。本当はもっとサクサクしたテンポの予定だったが、僕の誤った遅いテンポ出しでテスト録音が始まった。しかしなんともいい気持ちでランスルー。みんなでプレイバックを聴いたら「これがいいじゃん」ということに。
最後まで、ありがとうございます。
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保坂修平トリオ「ボス・サイズ・ナウ」
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