デザインと市場、販売、顧客、収益、ものづくりとの関わり方
講師:プロダクトデザイナー 荻野克彦 氏
マーケティング論
テーマ:デザインと市場、販売、顧客、収益、ものづくりとの関わり方
現在の物づくり・・工業化した生産機構の中で、作る・売る・買うが専門分化
他人が考え作ってくれたものを買い続けるだけになった
今後ますます・・高度化する科学技術。巨大化する企業。これまで以上に専門分化が進み市場競争は激しさを増す。1つの業界の中で、企業間で提携、買収、合併を繰り返し、最終的には大手10社から3~4社がシェアをほとんど握ってしまう。
タテの物づくり・・私利私益の次元の不均質な拡大。経済や物質面での成長ほどには楽しいと思えない暮らし。物が売れない一方で、作れば作るほど、売れば売るほど募る虚しさ
もうこれ以上・・価格競争には耐えられない。何とかデザインで差別化、高級化できない
か
東南アジアの国々でなら・・らくらくと生産できる商品を、日本で無理に安くしてまで生
産する必要はない
どんどん消費しなければ・・ガソリンを精製する行程で出来るプラスチックモノマー(原
料)を重合させるとプラスチックポリマー(各種樹脂成形用材料)が出来る
材料があるから・・それで何か作れないか?特定の条件にしがみついたり、与えられた先
入観からの発想は、往々にして、あっても無くてもいい程度の物づくりで終わる
何が必要か・・まじめに「働く」ことが安心して「生きる」ことにつながらない不安社会ただひたすら与えられた目標に向かって突進する人たち。働けば働くほど企業の業績は伸び、国の経済が成長しても社会が衰退する矛盾
デザインの原点に帰る・・バケツの作り方も、ケイタイの仕掛けも、何やら最新の技術の粋を集めて造っているらしいとしかわからない
地域資源を生かす・・わからなくなってしまったから、既製品を買って暮らすことが当たり前になってしまった
ムダ、ムリ、ムラ・・「いかに作業を効率的に行うか」「さらに効率を上げて合理化し、企業に貢献するか」しかし、現場で生産条件をあげた、その「ムダ、ムリ、ムラ」はどこに行くのか?暮らしをそっちのけにし、働けば働くほど、個人の暮らしの内実が貧しくなり、結局問題は社会に転嫁される
景気からの解放・・市場主義経済をこのまま推し進めれば、限りある地球はどうなるか。つまり大量生産・大量消費でまわる時代は過去のものになりつつあるわけで、今の<不況こそ転換期>
あるべき姿をめざす・・経済成長を適正な「消費」では足りず、浪費によって追い求め「ゴールなく疾走」を続けている日本。「見てくれの良さ」や価格にまどわされ、浪費に楽しさを見い出してきた消費者。経済の見地からすれば大きな力ではないが、しかし個々の生活、感情を左右させる力でそれ以上に補う、わが地域の「顔」=「本物」を創出するとき
君は必要ないよ・・突然会社から印籠を渡されたら、給料がなくなるだけではなく「仕事」を失うことになる。つまり仕事は会社のもので、自分のものではない。仕事は人間が生きるために存在するもので、それを奪われることは「生きていかなくてもいい」と言われるようなもの。与えられた仕事とはそんなものだ
工業の代表が都市・・農・林・漁業はたくさんの能力を持たなければ成り立たないが、サラリーマンは分業化されており、特定の仕事をこなしているに過ぎない。東京=壽が無秩序でアンバランスなのは本質的には計画性を欠いているからで、実はその理由もそこにある
都市、田園間の差の減少・・コントラストのない郊外圏の拡張、生活様式の画一化。真に都市的でも真に田園的でもない風景が日本中に広がっている。地域特性=文化的な文脈のない空間はただの交通や駐車のための場所になる
自然を指向する・・日本人は自然に随い自然に帰ることが理想。特に晴れ着に不愉快なもの、いやなものをわざわざ描くわけがない。都市生活者は地域に自然の風情を求めつつ、都市を自然へと志向させる
地域性・・田園風景は都市で生まれたもので、少なくても地域のなかで生まれた概念ではない。地域性と言うのは単なる鑑賞すべきエキゾチシズムではない。固有の風土と生活の中で生産と消費の密接な提携がもたらした必然なのだ。そこに住む人にとって地域は単に自分たちの暮らす環境に過ぎない
とどのつまり・・地域には気象風土があり、生活があり習慣がある。もっと掘り下げていけば経済があり、人間の感情がある。自然景観がどんなに美しくても、それは必ずしも自分たちが日々額に汗して造景したものではない。そんなものに頼らずに、できれば自然には手を付けず、自分たちの舞台である地域づくりにどれだけ切実な思いを抱くのかの問題
あとを追うものではなく・・そもそも無農薬の米と携帯電話とではどちらが生産性が高いのか。都市化は一言で言えば生産性の向上だ。その結果がいかにも薄っぺらな街並みの中で営まれる生活であり、雑然とした姿だ
生産性をのみこむ・・生産性や効率のために際限なく巨大化し、高層ビルも、都市も情報も大きく大きくである。皮肉にもそこに住む一人ひとりは相対的に小さくなっていないか
何ができ、何をすべきか・・つくる動機を生活の身近なところに置き、「わからせる」ではなく、どう「感じさせるか」。大事なのは表面ではなく、根をおろしている感覚。中身とは地域の2“根っこ”のようなもの
地域資源を経済化する
地 風土・土地(空気と水)
産 農・林・漁・工(連携、交流)
景 自然・景観(代わる時代の中で変わらない価値)
文 歴史・生活(時間軸)
人 気質・気持ち(五感)
●地域資源とは、自然、環境、人の営みの総体。
何もない・・地域資源を見直し、風土的制約を生かして可能性にかえる
地域資源を探す・・その土地ならではの生活と生産を一体化して考える。農、産業、生活文化、郷土料理、伝統技術の再生、祭りや民謡、民話の保存と伝承。郷土史の編纂など、現代社会が失ったものにこそ可能性
これまでの指標・・効率、合理性、経済性。少数より多数であることが成長。手間をかけずに大量に生産、販売すること。より早く目的を果たすことが発展
文化を耕す時代・・文化とは耕作を意味し、農・林・漁・工の活性化は地域再生の条件。相互理解の「輪」を広げ、その土地ならではの特徴を自分たちの力で、自分たちの努力で作り上げる
地域をデザインする・・真の「豊かさ」とは独自の価値観を持つこと。自分たちの手足に基づいた計画を立て、まず、地域内で自作自用、自給自足的スタートを
基本は・・Plain and Simple:素材の質に注意しそれを生かす。素材がどう育てられどんな質なのかを踏まえ、質実に加工して、デザイン=うまく機能させる実際、考え抜いて造られたものは誰にでもあてはまる
求められる商品・・
1.圧倒的な低価格
2.品質が高級と言えるほど高く「向上心」や「感動」を満たすもの
3.高い品質を備え、一人ひとりのニーズにも応えられる商品とサービス
マーケティング論 市場を考える
マーケティング論
テーマ①市場を目利きする方法、②感性マーケティング手法
講師:(有)オフィスエスティ 代表 堤静子 氏
マーケティングとは
★2007年に改正
組織とそのステークホルダー双方にとって有益となるよう、顧客に向けて価値を創造し、コミュニケーションし、届け、顧客との関係性を構築するための組織機能とそのプロセスである。
★ステークホルダー
利害関係者のこと。企業活動が関わる顧客市場、人材市場、調達市場、金融市場および社会などに属する個人・集団。
日本マーケティング協会
「顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合活動である。」
フィリップ・コトラー「個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・経営的プロセスである。」
市場とは
◆市場経済
個人は,生産者から生産物を購入し,生産者は、生産要素(=原材料)を使って生産物を生産する。
◆3つの市場
1.生産物市場:生産者が個人に生産物を売る市
2.労働市場:生産者が生産要素として労働サービスを購入する市場
3.資本市場:生産者が生産要素として資金を調達する市場
◆個人
生産物市場⇒消費者、労働市場⇒労働者、資本市場⇒投資家
アイデアの創出
コンセプトの開発、技術・収益性の計画、商品・サービスの設計、工程設計と生産
市場導入
市場を創り出す活動、アイデアの創出、コンセプトの開発、技術・収益性の計画、商品・サービスの設計、工程設計と生産・製作準備
商品
お客様が欲しいと思ってお金を払って買う物
生産物:製品と商品
お客様欲しであろうと考えう作った物
マーケティングの視点
製品、顧客価値、価格、顧客コスト、流通、利便性、プロモーション、コミュニケーション
買ってもらえる商品を、買いたいと思う価値を、買ってもらえる場所で、買いやすい場所・方法で、どんどん売りましょう、納得して、理解して買う
考えよう!
あなたは靴屋さんです。ある時、「裸足の島」があることを知りました。あなたは、この裸足の島へ靴を売りに行きますか?
マーケティングの役割
◆ロー・オルダーソン
「製品がいかに有益なものであろうと不可欠なものはマーケティングの努力である。」
「市場における自己をポジショニングすること企業のマーケティング行動の本質である。⇒くぼみをみつける。
マーケティング活動の事例 売れなかった
原因その1:袋入り即席麺に比べ値段が割高
原因その2:袋入り即席麺に比べ量が2割ほど少ない
内外環境の分析
◆マーケティング活動を進めていくにあたり、内外の環境を分析する必要がある。
ア)PEST分析、イ)5F分析、ウ)3C分析、エ)SWOT分析※強み・弱み:自分たちの能力分析⇒何ができるかを把握※機会・脅威:自分たちを取り巻く環境分析⇒ニーズや事業機会を把
SWOT分析の考え方
他よりも優れた・勝てる・得意なところは何か?有利な・安全な・役立つ市場の変化は、外部の変化は何か?
他に劣る・負ける・苦手なところは何か?不利な・危険な・負担増となる市場の変化、外部の変化は何か?
クロスSWOT分析
積極的攻勢:強みを活かす差別化戦略弱み段階的施策:弱みを克服する守りまたは撤退
クロスSWOT分析の考え方
商品の強み、市場機会を強化していくには、どうしたらいいのか?
商品の弱みをなくしたり、小さくするにはどうしたらいいのか?
市場での脅威をなくしたり、脅威となるものと手を組んだりする方法はないのか?
感性マーケティング
人間の五感に訴えるマーケティング、人の感性にアプローチをしたマーケティング、機能や性能だけではなく、感性に訴えかける付加価値、人間性・人間関係など心理的な面まで配慮するマーケティング⇒連携
◆身近にある仕掛けは?
例)日本の食文化と箸の美しい使い方講座
日本フードアナリスト協会が東京都杉並区三谷小学校にて実施。
箸の持ち方だけではなく「日本人ならではの」「繊細で美しい使い方」を学ぶ
例)鳥取県智頭町例)鳥取県智頭町、杉箸づくり体験
まちおこしのため地域住民が「ちつべん」開発2009年)
パッケージもアイデア満載で、竹の皮で作られた六角形のお弁当箱を開けると、爽やかな竹の香がフワリと漂い、食欲をそそる。智頭の思い出として持ち帰り、お弁当箱として再利用したり小物入れなどにしてもOK。
お弁当の包み紙には面白おかしい「智頭の方言」が、箸袋には「お品書き」が書かれていて、読みながら食べれば智頭町に親近感が湧いてくるという仕掛け。
ホテリング理論
アイスクリーム屋さんがとる行動
インボルブメント効果
◆自分が関わると好きになる効果(自我関与効果⇒手前味噌、自分が関わることで、関わったその仕事に意味を感じることができる=動機付け
例)売上げを上げたいのなら⇒従業員も一緒に目標設定から参加させる
氷山理論で考えよう!
商品、場所、サービス、事業システム、事業コンセプト、経営理念・事業への想い
ロール・プレーイング 資金計画
講義研修5日目の概要
講師:小野寺剛氏
テーマ:プロジェクト立ち上げ等の資金計画作成
法人とは
法人の種類
目的とは、あることを成し遂げたいとして、それを目指すための目当てのことである
プロジェクトの目的とは、「プロジェクトの存在理由」「プロジェクトを立ち上げる理由」。目的が明確であれば、プロジェクトも成功します
会社にとっての目的
事業目的とは、会社が営もうとする事業の範囲のことで、会社はこの事業目的の範囲内でのみ権利能力を有する
事業目的は定款の絶対的記載事項となっている
事業目的に必要なものは、「適法性」「営利性」「明確性」
資本金は、会社や組織などの事業主体の創設に際して業務を行うための資金や商品、また業務運営の途中において、どれだけの資産があるかを示すもの
株主とは、株式会社の株式を保有する個人・法人をいう。当該株式会社の出資者としての立場であり、オーナーの立場に立つ
株式会社には、業務執行の決定をする合議制の機関があります。その機関が「取締役会」で、その構成員が取締役です
商号を決める
商号(しょうごう)とは、商人が営業を行うにおいて自己を表示するために使用する名称
ブランド戦略 田子の資源と風土のものづくり
講義研修7&8 ブランド戦略
田子の資源と風土を活かしたものづくり
講師:荻野克彦 氏
・初代パチンコ台は、デザインの全てが網羅されていると言っても過言でない。
・模様のないもの → デザインコンテストで入賞(以前は考えられないことだった) → 理由として、飲食店で使うようになってからデザインが変わった
・1958年、トランジスタの時代・・持ち歩く、小型化、コンパクト化へ進展
・1960年、車の安定化時代。1000CC+100CC → 高度化、ストーリーの 世界に入る
・デザインは、省資源、省エネルギーの取り組みに進んだ
・どういう形にするか → つまりデザインである
・杉 → 薄くて、良材素材
・カシオ計算機 → ネーミングで成功、テンキーが入り始めたキッカケ
・複合機 → カメラ(ニコンF3)(ロボットで作っている)価格の競争、ストーリー が問われる時代である
・三徳の鍋 → 煮る、焼く、蒸す → 重宝される時代となる
・製品をつくる取組み → 生活環境を形成する領域とデザインへと変化
モノとモノの関係、空間それを作り出すのがプロダクトデザインである
・使う人が誰か?数量がわかるか?厳しい環境でのテストでの見直しなどにより長所の引 き出す。
・Gマーク、今では芸能人までがデザイン化されている
・ナンバーワンを作る → 小さいから性能が劣ることは理由とはならない。性能が良く て当たり前。加えて小さいこと。(例:ウォークマン)
・4つのR 減らすこと、地産地消、再生、再利用
・表現すること=デザイン。デザイナーだけでは進まない。企業、社長、技術者など周り の人達の影響が大きい。
・どういう物を作ろうかという企業があって初めてデザインは考えられ、製造(エンジニ ア)、発想者・・・等連携によって生まれる
・ブランドを作る=信頼を作ること。
・インスタントラーメンを、日本人はどんぶりに入れるが、アメリカ人はカップに入れ、 ホークで食べる → カップヌードルの始まりである
・カップヌードルは、使い勝手+ネーム+音楽+イラストの組み合わせでヒットした
・商品がいきなりヒットするのではなく、周辺を取り巻く環境、条件がマッチし、ヒット 商品が出来上がる。
・今後は情報化社会 → グラフィックプロダクト、パッケージデザイン → わかりや すい表示で表す時代となった。
・モノの本来の価値は何か?客観的な見方、あるいは直感的な見方が必要である
・結果はとても大切である。ただ、プロセスも大切である。いろいろな動きをした後に結 果がでるからである。
以下、数十枚の写真と参考図書「プロダクトデザイン」により説明
農商工連携事業 ワークショップ
平成22年度の農商工連携等人材育成事業は
ワークショップから始まりました
参加された方々からは
様々な思いと、今後、取り組みたいことが・・
意見交換は、時間が足りないほど・・に盛り上がりました
それで、
出された意見をまとめると、これです
農商工連携の可能性について、参加者のフリーな意見交換で始まった
農産物に関しては生産者が少なくなり、逆に販売者が増加している逆三角形
この構造を打開しなければ農業は生き残っていけない
農業そのものの危機に関する意見がでた
多くの参加者も同様の危機感を感じていた
ものづくりについては、いくら素晴らしいものづくりを考えても、農業の縮小、後継者問題で提供する素材を生産する人がいなくなれば本末転倒
良いものを生産してもお金にならないという現実
付加価値を高めた商品が田子にないということも現実
「付加価値を高める」ための手法として、デザインにその付加価値を求める
今回のプログラムの方向性と需要が一致していることが確認
現状、生産者と販売者の連携が全く取れていない点も問題
杉については、田子町の杉の付加価値を高めるため、まずは田子町民が理解することが大事
杉の乾燥問題のほか、器や小物で木のぬくもりを感じるようなことが必要
今後の取り組みへと繋げていく
PR不足、PR下手といったこと
森県の田子町としてアピールできているのか?
田子町のにんにくは有名であるが、その知名度が活用しきれていないのでは?
中央に取り上げてもらえてもらえるような連携まで繋げることが望まれていること
マスコミがにんにくで田子町を訪れているが、町民にはあまり知られていない
わざわざ田子町まで東京から人が来るのか?理解している人は少ない
町民、町の姿勢についても改善、活性化の余地がある
そのような動きを逆に活用できるようなことを考える
農商工連携としては、素材・資源の連携のみならず、人材の連携、人と人との連携、そして地域と地域の連携といった様々な連携を複合的に創造していくことが重要
今回、農林商工連携に取り組んでいこうという積極的な参加者が多く
研修においてより期待できる。
資源活用可能性について町民の認識を高めていく工夫、しかけを作っていく必要
経験、視点、興味を尊重し、新たな連携を構築することが重要
田子町はこのままではいけない
なんとか活性化へつなげていかなければならないという危機感を認識
問題意識と意欲が高い参加者が多いので、成果創出が期待できる
意見交換ワークショップで提案意見・アイディアをブラッシュアップするで
本事業における連携のあり方、手法が得られる
アイディア・意見をパワーアップさせ発展へと導けるような新たな情報、知識、手法を研修で得たい