三原君、まだマーケティングなんかやってんの？

三原君、まだマーケティングなんかやってんの？

ホームピグアメブロ

芸能人ブログ人気ブログ

27Jan
- 「転売ヤー」が蠢（うごめ）く時代
  　　　あけましておめでとうございます。お正月とはいえ、ちょっとお休みしすぎました。今年もよろしくお願い申し上げます。　昨年末に社員の一人が言いました。「今、ガンプラが買えないんですよ。どこにも売ってないんです」。　ガンプラとは機動戦士ガンダムシリーズのプラモデルです。難易度や精密さを基準にしてHGとかHGUCとかRGといった数多くのシリーズを擁しています。３００円から数万円の商品まで、そのラインナップは数百点に及び、これまではおもちゃ屋さんから総合家電店まで、どこに行っても山のように積んでありました。「そんなことないでしょう。あの山のような在庫が消えるはずないよ」と会社の近くにある、「ガンプラ全種類取り揃え」を謳い文句にした模型店に行ってみましたら…見事にガンプラはありません。店員さんに聞いてみるととにかく入荷しないとのことでした。売るもののない小売店さんは本当に悲惨です。ガンプラのあった棚にはぽつぽつと他社製品が置かれていました。　いろいろと情報を集めるとどうやら「巣ごもり需要」「転売ヤーによる買い占め」「メーカーが仕掛けるレアもの市場」というキーワードが浮かんできました。とても乱暴に解説しますと、①「巣ごもり需要で、机ひとつで楽しめる模型の需要が増加。中でも子供と楽しめるガンプラに人気が集中」②「販売元であるバンダイスピリットは通信販売で時折レアなキットを販売していて、転売によるプレミアム価格の出現が常態化していた」③「はじめはレアものからスタートし、昨年中ごろから膨大な商品ラインナップを誇る通常販売品にも転売ヤーが関り、買い占め→在庫不足→高額なプレミアム価格での販売を始めた」④「バンダイスピリットは状況を改善すべく量産しているが、多品種少量生産があだになり、市場に出す傍から転売ヤーの買い占め対象となり、２０２２年１月の現在でも流通在庫を回復できずにいる」といった流れです。市中の中古品店では定価の倍から３倍程度で販売されていて目を疑いました。このままこの状況が続けば、マニアは兎も角、ガンプラというブランド自体に一般客が失望し、市場に見切りを付けられかねません。　先述の通りバンダイスピリットはかねてから自社の通販サイトで製造数を限定したレア商品を販売しており、特殊な商品が手に入らない→転売によるプレミアム価格が出現という流れはかねてからありました。　この状況をマーケティング的に考えるとどうなるでしょう？　転売ヤーは高く売れるから投資として仕入れており、ガンプラのファンだからという部分は薄いか、無いと思われます。高く売るためにはA.品薄状態とB.十分な需要が必要です。Aは転売ヤーが金にものを言わせてコントロールできますがBは消費者側の心理です。一時的にもガンプラが町から消えるという状況を作ることで、消費者は「高くても、今買わなければ、買えなくなる。」と考えて、必要以上の需要を生み出しているのです。コロナ禍発生時のマスクと同じですね。　では、このままでは市場自体が弱体化しかねない危機を前にメーカーとガンプラファン＝健全な消費者ができることは何でしょうか？　ポイントは「時」にあると思います。　要するに「今」店頭にない、「今」しか買えない、「今後」入手できる保証がない、でも「今」欲しいという消費者の気持ちと、「すぐ」に市場に十分な量を供給できない、「この勢いは失いたくない」というメーカーの思惑をソフトランディングさせる必要があるのです。　このような時に、最近よく使われるマーケティングの手法が「デマーケティング」です。商品を売らない、一時的に販売停止することで市場の需給ギャップを整え、メーカーとしての姿勢を消費者に伝える手法です。　バンダイスピリットは、まず一時的に新製品やレア製品の販売をデマーケティングの手法で休止して、量を作れる通常販売商品を市場に流通させることを宣言し、そこに生産体制を集中させます。この時きちんとその旨をアナウンスすることが大切です。できればシリーズごとに供給プランを明らかにすると良いでしょう。なにしろ膨大なシリーズを誇るガンプラですから。それでもしばらくは転売ヤーが群がりますが、通常商品を必要以上にストックするリスクを考え始めます。本来模型屋ではありませんから。　次に、「責任をもって商品を国内市場に流通させる」という決意をアナウンスします。消費者がつい今の欲望に負けてプレミアム商品を買ってしまうのは、次にはいつ手に入るかわからないからですので。　ではファンができることは何でしょう？こちらは皆さんが思っている通りです。明らかに転売目的で買い占められた商品だと感じたら、プレミアム価格で買わないことです。コロナの時のマスクと違って、なくても死にません(笑)この不自由な状態を作っている連中に儲けさせたくないという想いを持つことです。ガンプラを育ててきたバンダイスピリットを信じていつかは手に入ると思いながら待つことです。それが、自分が好きなものを守る一番確実な方法ですから。　このように、売らないでブランドを守ることを考えることもマーケティングの使命なんですね。消費者も買わないでブランドを育てられる…なんてことが実際に起きるわけです。　最近バンダイスピリットは３０年以上前の古い金型を使ったシリーズ（写真に写っているような製品）を中心に集中生産と集中流通を開始したようです。デマーケティングとまではいかなくとも、お店の棚が埋まってくるのは安心できるものですね。※写真は１０年くらい前に押し入れから出てきた弟のモノと思われるガンプラ。一番最初のシリーズで、今でも数百円で買えていたはず…後輩の子供さん宛に勝手に送っちゃったような気がします。
14Dec
- 「らしさ」の美学
  　　　前回は差別化の悪口を書きました(笑)いやまぁ、見た瞬間に「〇○○だ」とわかること自体はブランディングの基本なので、そういう意味での差別化はとても大切です。　ブランドというのはお客様との間に築き上げた信頼をカタチとして心に残すものなので、一目で違いが判らないと「別の会社の商品を買われてしまう」しかも「間違って」という悲惨な事にもなりかねません。　僕がまだ２０代のころ、「ブランド」という言葉が大手を振ってニホンにやってきたわけですが…（その前にもあったかもしれないけれど、僕のような庶民の耳には届いてなかった）、それ以前にそのような製品群を指す言葉は「舶来品」でした。だから僕のようなおじさんは、ブランドと聞くと海外の高級品を頭に浮かべてしまうのです。テクノスとか平和堂貿易とか意味もなくと頭に浮かんできます。若い方、ごめんなさい。　今では「チャーミーグリーン」も「ジョージア」も「ミルキー」も数あるブランドのひとつだって皆さんも思っていますよね。このように専門的なマーケティングメソッドが一般の皆さんにも理解されているのが２０２１年の現代日本であります。　さて、ブランド化（ブランディング）はこのように差別化するための手段のひとつですが、たまに差別化しすぎちゃって大失敗！ということがプロのお仕事でも起きてしまうのです。　商品のデザインやパッケージのデザインでたまーに見かけるこの失敗。それは、「らしくないデザインでずっこける」です。具体的な製品名は伏せますが、数年前ある緑茶飲料が斬新なボトルデザインでデビューした時も、売れ行きは芳しくありませんでした。お茶に見えなかったんだろうと思います。新発売の翌週に半額以下で積んであったのには涙を禁じ得ませんでした。最近では某コンビニのPB商品のパッケージにはびっくりしました。店内の商品が全部同じデザインなので「パッと手に取る事」ができません。ソースと思ったら醬油だったり…誰がGOを出したのでしょう。売れていることを祈ります。　　まぁ確かに、黄色い缶の缶コーヒーがあったら珈琲には見えませんよね。つぶつぶコーンスープと間違います。僕はアフリカの方々にマーケティングをお教えしているのですが、彼らに「緑茶」「コーラ（コカ以外）」「水」「サイダー」のペットボトルを見せて中身を問うと、ほぼ１００％当てます。文字を読めなくても当たる。実は尋ねた僕自身が一番びっくりしました。　このように、あるカテゴリーだという事が分かるようにデザインすることを「同質化」といいます。差別化の反対ですね。製品デザインをするときには差別化と同じくらいに同質化も大切だという事です。　昨日、僕が講義している「しろくまマーケティングCafé」で、「カルビーと湖池屋のポテトチップス、湖池屋は期間限定商品などにポテチでは見られないブルーなどをあしらったパッケージを商品化するけど、なぜあれはOKなのだろう？」という話で盛り上がりました。　製品にデザインされたコピーワークなども秀逸なのですが、僕らの出した結論はこちらです。　　「袋の大きさと厚み、見た瞬間の雰囲気がポテチ以外に見えないから」　あの両手でポンと持つ大きさ、見た目にも空気が入っている感、そいういったところからポテチとしての同質性を感じていたんですね。そうえいば、若い頃チップスターってしばらくはポテチとして認めたくなかったもんなぁ。
04Dec
- 差別化しましょう…という人は信じない
  口を開けば「差別化しないと売れませんよ」という人、周りにいませんか？現代の製造現場というのは高度に組織化されていて、複雑なサプライチェーン（供給網）がそれを支えています。どういうことかというと、一言で言うと「簡単に模倣される」のです。経営効率を優先すると、売れるものを真似するのが手っ取り早いと思っている人がたくさんいて、そういう人たちに限って「こういう商品が他地域で流行っているので差別化のために導入しよう」と考えついてしまうのですね。これが。ひとつ例を出しましょう。皆さん、各地に旅行したとしましょう。地域が離れているのに同じような土産菓子を見たことってありませんか？あのカラクリってわかります？お土産品として大量に作るタイプのお菓子は当然機械で作ります。そしてその製造機械を作る会社というのがあるわけです。オリジナルを出したお菓子屋さんというのは当然あって、そのお菓子屋さんと製造機械会社が二人三脚で製造機械を開発します。ワンオフの機械だから価格も当然高いです。開発で得たレシピと製造機械を別のところに販売出来たら、オリジナルを作ったお菓子屋さんの負担も減る事でしょう。かくして、全国で「地元の他店と差別化した」模倣品が出回ることになります。どうして訴訟とか起きないのかな？と思っていたら、そういう大人の事情があるわけですね。このことが「良い」「悪い」というお話ではありません。様々な製造技術が高度に発達して、サプライチェーンが確固たるものになるとまず、低価格化によって消費者に商品が普及するスピードが速まります。同時に、売れる商品を模倣する会社はたくさん出てきます。我が国くらいの技術大国ともなれば、消費者に充分普及するころには、技術的には「ダメな商品」はまず出てきません。かくして差別化の夢は消え去り、オリジナリティのない商品が市場を埋め尽くします。「差別化しましょう」という言葉を安易に使う人は、本気で差別化をしようと思っているわけではないのです。それでOKなら、別にいいのです。僕としては、そのような商品やサービスは「消費するためだけに生み出されている」ように感じます。差別化すると言いながら、何のプライドも志も伝わらない、売るためだけの商品。もちろんそういう商品やサービスでたくさんの方が生活を営めれば良いのですが、そのような商品やサービスに囲まれた生活って、なんかつまらないなって思うのです。多分、今の若者たちはもう見破っているんですよ。「どれも同じじゃん」って。彼らのモノやサービスの買い方を見ていると賢いなあって思う事が多いです。オリジナリティのある商品やサービスを生み出す人たちは、そもそも差別化しようと思っていないような気がします。ただ、目の前の難問を解決して人々の役に立とうという気持ちで頑張った結果、オリジナリティの高い商品やサービスに結実するというイメージです。僕のお客様には、信念からスタートして他にはない商品やサービスを作り出す方がたくさんいらっしゃります。規模は小さくても、すぐには真似ができないもの。それは、意図せずともきちんと差別化ができたものになっています。そのことを理解してくれる消費者の方と長いお付き合いをされています。というわけで、製品やサービスを企画して世に出す過程でことさら「差別化」と口にする人を僕はあまり信じません。結構コンサルタントとか自称している人に多いので、ちょっと言ってみました。
28Oct
- 「えっ？うちは普通の〇〇ですよ」と言ってはいけない
  　今ですね、商店街のパンフレット作っているんですよ。加盟店を一店一店訪ねて歩いて、原稿をいただくのですが、やっぱりお店のキャッチコピーとか入っていると嬉しいですよね。　原稿にはキャッチコピーを書く欄があって、「書くの苦手w」という加盟店様には僕が代筆させていただくわけですが（一応コピーライターだし）、それでもどういうお店なのかは聞かないとわからない。　そのあたりを店主さんに質問するとですね、時々「あ～普通の床屋ですよ」とかお返事が返ってくるわけです。　ブッブー！　「普通の○○」というのはやめましょう。今後は(笑)　どんなお店でも営業が続いている限りはお客様がいるのであります。お客様はそのお店の何かが自分に合っていたり、気に入っていたりするからこそ、そのお店を使って下さっているはずです。まぁ「普通のところが好きだから」とか「なんとなく」という人もいないわけではありませんが、ほとんどの場合なぜ通うかの理由があるはずです。　それは、どんな小さなことでも良いのです。お店がこんなこと当たり前と思っていても、お客様が喜んでくれるなら、通う理由にしてくださっているのなら充分なのです。　そんなお客様の気持ちを「フツーです」で片づけるのはもったいない！僕の場合、嫌がられなければその辺を店主さんに考えてもらうようにしています。ちょっと考えるとこれまた色々思い当たるところが出てくるものです。　例えば床屋さんなら「うーん、奥さんもカットできるので２０分以上待たすことはないかなぁ」とか、「普段使いしてもらいたいんだよねー。気軽に入れるというか」、「よく買い物の合間にお子さん預けていく親御さんいますよ」など、お聞きしているとどんどん出てくる。　そうです。お客さんはだからこそ、ご主人のお店にやってくるのです。　このような「当店だからこその魅力」をマーケティングではUSP…ユニーク・セールス・プロポジションと言います。まぁ、専門用語なんか覚えなくてもOK。旗印のようなもんです。　どんなお店にも必ず良いところ、お客様にご評価いただいているところがあるって、素敵な考え方じゃないですか？それを見つけて歩くのはとっても楽しいので、僕はこの仕事が気に入っているのです。　あ、因みに今の話はたとえ話で、今お手伝いしている商店街の皆さんは僕の手助け無しでもUＳＰがきちんと入った原稿を渡してくださります。そういう商店街はやっぱり雰囲気が明るいような気がします。　みなさんの会社・お店のＵＳＰはなんですか？
16Oct
- そもそもマーケティングってなんだっけ？
  マーケティングという言葉はみんな知っているけど、実は捉え方が人それぞれで、同じことを差していないことが多いです。ある人はマーケティングと言ったら「広告打つあれでしょ？」というし、ある人は「ああ、いろいろ調査してデータを出すことだよね」と仰る。最近はマーケティングオートメ―ションなんて言葉も流行っていて（したり顔でMAとか略されます）、長年その世界でご飯を食べている僕でも付いていけないことがしばしばです。はい、それ全部マーケティングのカテゴリーのひとつですね。「マーケティングの定義」は結構つまんないからここには書かないけれど、マーケティングって要は「自分たちが生み出した商品なりサービスを、それを必要としている人に上手い事知らせたり届けたりする具体的な手順」だと思います。簡単なようでいて、これが結構難しいから「具体的な手順＝メソッド」にしてみんなで共有するわけですね。「最近売れないなぁ」と感じたら、マーケティング的になにかが間違っていたり時流とズレていたりすることが多いです。１０年くらい前に、小学生を対象に「起業家になってもらって、実際の製品開発と経営計画を作って、商品を販売してもらう」という教育イベントに携わったことがあります。小学生高学年の子を２５人くらい集めて５人１グループで「起業」してもらうのです。まず彼らにいくつかの農家、食品工場を見学させて、担当者とコネを作らせます。経営計画書を書いたら本物の銀行の担当者がそれを見て融資額を決定します。そこで借りたお金を基に、材料を仕入れて商品化してもらい、スーパーで売るのです。小学生すごいですよ。ちゃんと「魅力的」…と彼らが考える商品を企画して、原材料調達の交渉までやっていましたから（もちろん協力してくださった各企業様、農園、牧場などなどのご協力あってのことですが）。で、小学生同士の製品企画会議がまた面白い。「そっか、売る値段と原価の差が大きい方が儲かるんだ。このパンは６０００円で売ろう！」「えーっ。そんな高くして売れ残ったら私たちの損になるんだよ」「何個売れ残ったら損になるだろう？計算してみて」「だって原価８０円だからお客さんに悪いでしょ。スーパーの片隅で売らせてもらうんだから」とまぁ、大人も顔負けの知見が飛び出すのです。先ほどの時流や世間とのズレを自分たちで修正しているんですねー、これが。あるグループは場所を提供してくれたスーパーで店長にお願いして店内で市場調査をしていました。そんなこと何も教えてないのに！結果は全社（５グループ）売り切って黒字で決算しましたよ。マーケティングって自然にできる事だったんだーと驚いたのでした。＜おまけ＞因みに、著者の三原が認識しているマーケティングというのは５つの段階に分かれます。そして５つの段階それぞれに、細かくいろんなメソッドがぶら下がっています。あ、アカデミックな話じゃないのでテストには出ません。１．市場調査・内部/外部環境評価　（マーケティング調査・SWOT分析・PEST分析など）２．経営戦略　（目標設定・STP設定など）３．製品（サービス）戦略　　（開発戦略・価格戦略・市場参入戦略・サプライーチェーン/バリューチェーンの設計など）４．プロモーション　（広告・広報・営業・顧客管理）５．検証で、１～５までを俗にいうPDCAで回すというのがマーケティングのひとつの手順です。僕が一般の方を対象に開催しているしろくまマーケティングCaféでは、きょうは２．経営戦略に属する価格戦略について考えてみましょう！みたいな感じで進めています。こうしてみると、マーケティングって企業の経営そのものに近いですね。いつの間にかこんなことになってしまいました。もとがゆるゆるな分野なので、何でも包括しちゃったのかもしれません。僕らも、本気でマーケティングを改善したいという皆さんとは経営レベルで経営者の皆さんとお話をしないと前に進みません。経営者の皆さまがお客様とどのようなお付き合いをしたいのかを把握して（時に考えていただいて）、それを叶えるための方策を提示し、時に実行のお手伝いをするのが僕らマーケッターのお仕事と言ってもよさそうです。
05Oct
- 物持ちが良い
  僕の会社はチラシとかパンフレットとかWEBサイトをつくるのがお仕事です。もともとは大きなチェーン店のチラシが中心だったのですが、３年くらい前から少しずつ地元の企業や個人のお客様のお仕事にシフトしています。そこならまだ、僕らのスキルが誰かの役に立つことができるだろうと思って。さてさて、先日ご町内の会社から「チラシ作れる？」と電話が来ました。そこは地域にサービスを提供する会社なので、WEBだのSEOだのが関係ないんですね。同じ地域のお客様が必要な時に、必要な情報をピンポイントで伝える仕事ってまだまだ役に立てると思う瞬間です。電話で話をしていると、その会社が昨年新聞に入れていたチラシ、記憶にあるんですよ。１色片面の文字だけのチラシで、「こういうのもやってかなきゃねー」と社員と話していた記憶が(笑)物持ちの良さだけが僕の取り柄なので、早速探してみました。はい。ちゃんとファイルしていました。あとは早いですね、「じゃあお願いするわー」とそのまま受注。初めてお仕事頂く会社なんですけどね(笑)僕らは去年のチラシをベースにしつつ、しっかり伝わるようにリファインするわけです。ご発注ありがとうございます。僕は仕事柄？、印刷されたパンフレットとかすぐに持ってきちゃうので、我が社は資料という名のゴミだらけです。不思議なことに僕以外は誰も持って来ないんですけど。ちゃんと役に立つんだからさー。もうすぐクリスマスなので、クリスマスケーキのチラシとか、最新版を貰ってきては各社並べて見比べたりしています。社内で僕だけ。先日は半年前に「OPEN」のチラシが入っていたカレー屋さんに行ってきました。折り込まれてきた当初、チラシの写真とかがあまりおいしくなさそうで中々足が向かなかったのです。「ここは何となく昔のカレースタンドみたいな感じだねぇ」「市販のルウとか使ってるんじゃない？」と、みんな行ったこともないのに言いたい放題です。でもいつも通る道から看板が見えるし、個人的には気になっていたので、社員を説得して突撃してみました。お客さんは僕たちだけだったけど、とてもおいしいカレー屋さんでした。やっぱ物持ちが良いと毎日が楽しいと思うのは僕だけ？最後に…僕の会社、有限会社トライアドのホームページです。ご興味がございましたらご高覧くださいませ。札幌の企画・デザイン会社トライアド (triad-pr.jp)
29Sep
- お値段以上●●●
  足腰の弱った母を買い物に連れて行くというのが、週１回のご奉公になっています。　近所のスーパーを思い浮かべて「今日は〇〇にしよう」などと言って回るわけです。歩いてすぐのところに市民生協があり、２年くらい前にこれまた徒歩で１０分掛からないところにマックスバリューができました。ちょっとしたお買い場バブルです。　食品スーパーというのは、同業態でもビックリするくらい中でやっていることが違っていて、また、お客さんもその違いを売り場を通してがっちり把握しているという恐ろしい業界です。会社の向かいに住むおばさんなんかは超情報通で、「どこどこの朝採れ野菜は１０時３０分までに行かないとアウト」など、僕には役に立ちそうもない情報をたっぷり提供してくださいます。　「モノの値段」を実感する場として身近な食品スーパー。その「安い」「高い」には消費者ならではの判断基準が付いて回りますね。「A店の野菜は表示している価格は安いけれど、日持ちがしないので結局高くつく」とか、「B店は安くて品物も充分積んであるけど、マイナー産地ばかりで味がイマイチ」とか、「うまい棒、最近小さくなったよね。柿の種の袋とか」みたいな。　確かにたくさん仕入れると仕入れ単価は下がるという原則はあるのですが、結局、モノの値段ってちゃんと理由があるんですね。お値段以上～のハードルは高いです。　そういえば大手チェーンのC店で牛乳が１６８円で売っていて、よく見ると地元の乳業会社。「いやー、気の毒だなぁ。この値段では申し訳なくて買えないわぁ」と思っていたら、母が３本カゴに入れました(笑)僕らマーケターは原価とか知っていますからねぇ…給食停止などで牛乳業界も大変なんでしょう。そうするとちょっと先のD店でも対抗して同じ値段に！これには驚きましたよ。D店は４店舗くらいの小さなチェーンなので、相当に無理しているか無理してもらっているかでしょう。実は、小売店が原価以下でモノを販売することは「不当廉売」といって禁止されています。特に大手は結構厳しく監督されています。小さなところはお目こぼしもありますが…あと、たまご１パック５８円みたいなものは「有償景品」という扱いにして差額を広告宣伝費に着けるという細かなテクニックも！買う方としても、安いのは嬉しいのですが、社会が良くなるような安さだともっと嬉しいですね。先日のしろくまマーケティングCaféのテーマが「価格の付け方」だったので、その話題にしようと思ったのですが、脱線してしまいました。
27Sep
- あらまぁ、こんなところに！
  みなさんは、日頃のお買い物どうされていらっしゃいますか？僕は週１回近くのスーパーで一週間分まとめ買いをしています。仕事で某大規模スーパーのチラシを制作しているので、市場調査を兼ねていろいろなところに出向きます。たまに行く小さなスーパーのチェーン店があるのですが、そこで面白いものを発見しました。それは、コストコのオリジナル商品。札幌近郊にはコストコが２店舗あるのですが、車じゃないと行きにくいですし、年会費分の元を取れなさそうなので１年で会員やめちゃったしで、なかなか行く機会がありません。マヨネーズはコストコのものを使っているので、人に頼むしか調達方法が無かったのですが、そのスーパーにはなんとコストコのマヨネーズがあるんですよ。店内をくまなく見ると、あの１２コ入ったマフィンや、スルメスティックなど、コストコの商品がいたるところにあります。毎週日曜日限定と名打って、あのどでかいチーズケーキまであるではありませんか！昨日はマヨネーズのためだけにそのお店に行きました。これ、この小さなスーパーにとってもコストコにとっても良い事ですよね。コストコのオリジナル食品はカークランドというプライベートブランドなのですが、店舗数の少ないコストコはこのブランドの生産量を上げてコストを下げられます（一応日本市場に合わせてコスト掛けていますからね）。小さなスーパーにとっては、目的買いをするお客様を掴めます。世界の潮流として、スーパーや専門店の稼ぎの主流はプライベートブランド。今や、大手流通業にとって店舗はプライベートブランドを売る場所といって過言ではありません。だからどの企業も、それらの品質とコストに磨きを掛けています。コンビニもすごいことになっていますよね！あなたのお気に入りのプライベートブランド商品はなんですか？
22Sep
- 面白くて役に立つSWOT
  マーケティングの現状分析メソッドのひとつにSWOTがあります。ランチェスター理論とこのSWOTは日本の経営者のみなさんに最もよく知られたメソッドなんじゃないかな。SWOTはご存じの通り、組織が取り巻く状況を内部環境（組織がコントロールできる組織内の事項）と外部環境（自分たちではコントロールできない外の環境）に分け、その上で内部環境を「強み」と「弱み」、外部環境を「機会」と「脅威」に分けて田の字型のマスに記入していく現状分析法です。ただ、現状分析だけではあまり役に立たないので、その後クロスSWOTというものを作って組織の戦略立案に使うというのがポイントです。数年前、WEB系のセミナーで講師の方が「今どきSWOTなんかやっているの、遅れていますよね」って笑顔で話されていて、ものすごい違和感を感じた事があります。その時はこの人、まともにSWOT作ったことないな…と思いましたが(笑)それはともかく、SWOTは実際にきちんとやってみたという方がとても少ないメソッドでもあるんです。仮にやったとしても、思い付きで現状をちゃちゃっと「強み」「弱み」「機会」「脅威」の枠に書き入れて御仕舞…では時間も労力（ちょっとだけど）ももったいないですし、なにしろ役に立ちません。僕はJICAのプログラムでアフリカ諸国の農業施策者にマーケティングをお教えしているのですが、今年は新感染症の影響で彼らの来日が叶わず、Zoomによる講義となりました。そこで、今年はSWOTをはじめとするいくつかのマーケティングメソッドを実際の各国の状況に合わせて演習してもらったのですが、彼らが作ったSWOTとクロスSWOTで、とても精密な分析と、具体的な戦略立案ができました。これには教えている僕が一番感動しましたね。ああ、まだSWOTとか役に立つじゃん的な(笑)ちょっと気を良くしたので、僕が札幌で主宰している「しろくまマーケティングCafé」（誰でも参加できるマーケティングセミナー）で、参加者の皆さんとコロナ後の北海道の外部環境について作ってみました。立場も業界も違う参加者同士で、今の外部環境を論じるのですごく振り幅の大きな議論ができるし、できたものは各自が組織に持ち帰って役立てられるのではないか？と思ったのです。案の定、みんなでSWOTを作っている間は他業界の参加者の視点に驚いたり、Aさんが「脅威」と思っていたものがCさんの一言で「機会」に転換したり、２時間楽しく議論できました。マーケティングをやっている僕もなるほどなーと思ったことがいくつもありました。ひとつ紹介すると、「機会」のひとつに「事業者も消費者もダイレクトに市場にアクセスできる状況が整ったこと」が挙げられているのですが、それは中間業者の衰退を招いていて、「脅威」としてサプライチェーンの崩壊や、NoSTOCK型モデルの終焉、コモディティ市場の衰退が挙げられるといった具合です。そういえばトヨタも「かんばん方式」の見直しを発表しましたよね。普段からSWOTは多人数で作ることを推奨しているのですが、こんなに楽しいとは思いませんでした。このときに作った外部環境分析（SWOTのOTの部分）は、３年に一度作り直す弊社のSWOTに取り入れさせていただきました。次は社員たちと一緒に、これらの外部環境のリテイクや内部環境＝我が社の事情について楽しく考えたいなと思います。会社を経営されている方は、社員の皆さんとSWOT作ってみることをお勧めしますよ。楽しいし、光明が見えてくるかもですよ。
13Sep
- お客様の心をつかむ
  　マーケティングオートメーションという言葉を聞くようになって久しいですが、少なくともBtoCの領域では、人の手による顧客対応ってまだまだ大切だと思います。基本は「お客様をきちんとお客様として遇する事」。まぁ、AI様に見初められても個人としては嬉しくないですものね。　かれこれ２０年以上前、前職時代になりますが、GMS（大型商業施設）の広告宣伝のお手伝いをしていたころ、付随する仕事としてGMS内の専門店会ともお取引をしていました。簡単に言うと、チラシを作るために店内に１００店舗くらいある専門店を軒１軒回って原稿を催促したり校正したりというお仕事なのですが、一国一城の主も多い専門店経営者の皆様からは多くの事をを教えていただきました。　この時に、ものすごく印象に残っているお店があります。有名ブランドの特約店で、１着４～６万円はする婦人服を販売しているお店でした。地方都市にあるにもかかわらず、販売成績はそのブランドでも常に北海道内のトップに食い込むという優秀店です。仕事の進め方で叱られることも多かったのですが、そこの社長にはずいぶん可愛がっていただきました。ある日、社長に傑出した販売実績を上げる秘訣を聞いて、軽いカルチャーショックを受けたのです。　その営業手法というのが、徹底した販売履歴管理による情報発信でした。　その当時はバブルもすでに弾け切っていたのですが、中流と言われる層の消費者が高級衣料品や服飾品をたしなむ風潮がまだ残っていて、同店のような高級衣料店では多くのお客様はクレジットカードによる分割払いで洋服を購入していました。　そのお店の社長は自店におけるお客様一人ひとりのクレジットカードの利用歴をテータ化していたのです。商品の好みや性格はもちろん、いくらの商品をいつ購入して、何回払いで支払い、いつ支払い終えるのかを顧客ごとにカルテ化していました。　最終返済月を終えた顧客には同店から次のような手紙が届きます。「暑かった日々もウソのようにおさまり、時折吹く風が心地よい季節になりましたね。○○さんはいかがお過ごしですか？先日、知人からとてもおいしい紅茶をいただきました。私もその香りに感動しつつ、ふと○○さんのことを思い出しました。こちらに来られる機会がございましたら、ぜひお店にお立ち寄りくださいませ。おいしい紅茶と季節のケーキでおもてなしいたします。秋のコレクションも少しづつ届き始めました。またご一緒に装いの話で盛り上がりましょう。」とまぁ、正確じゃないんですがこんな感じです。そして、ほとんどのお客様がこれで来店して、次のローンを組んで帰っていくのです。店主曰く、「うちのお客さんは皆さん主婦でもあるわけで、決して安い商品じゃないので贅沢をしているという後ろめたさはあるわけです。だけど、誰でも支払いが終われば心は軽くなるでしょ？それに、みなさん旦那さんの所得は十分高くて経済的に負担だったというわけでもない。ご本人の心の負担が軽くなれば、あとは背中を押すのが私たちの仕事だからね。奥さん綺麗になったら旦那さんも喜ぶでしょ？うちに来るのに美容室に寄ってくるんですよ、みなさん。大事なのは、お客様として最大限の喜びを感じていただくために何をするかなんです。」　見ようによってはあざとくも感じますが、ベストなタイミングでお声がけするお店と、それに上手に乗るお客様との関係性がしっかりできているんでしょうね。このような技はAIには決してでいないでしょう。お客様をきちんとお客様として遇することの大切さを教えていただきました。あれから２０年経って、この手法がそのまま使える時代じゃないとは思っています。それでも、お客様に丁寧に接しながら「きちんと喜んでいただく、ご満足いただく」ことの大切さは全く変わっていませんよね。これからの時代の「お客様あしらい」はどうなるのかなと思ったりしています。ご拝読ありがとうございました。
09Sep
- はじめまして
  みなさん、はじめまして。札幌で小さなデザイン・広告制作会社を経営している三原と申します。これまで、マーケティング関連のセミナーを運営しながら、フェイスブックのNOTEの機能を使ってマーケティングを素材にしたコラム「マーケティングちょっといい話」を書いてきました。ここ数年で、NOTEの機能が変わり、使いにくくなったため一念奮起してブログに移行して参りました。「マーケティングちょっといい話」はこちらから有限会社トライアドFBページ(1) Facebook今、新感染症流行の中で僕がやってきた「人を集める仕事」がどんどん減っています。「マーケティングってお客様を集める事でしょ？」となると大変旗色が悪いわけです。でも、現在のマーケティングの概念は「マーケット（市場）を創造する事」だけに留まりません。お客様との接点の最適化から、組織内部の効率化まで、なんらかの組織が直面するあらゆる領域の問題解決に援用される懐の広さを持っているのです。そんなマーケティングの世界を身近な話題でご紹介したり、世の中をマーケティング的に考えるためのネタをご提供で切ればいいなと思います。以前、セミナーに参加した時に「今どきSWOTなんかやっている人なんかいませんよね」と言われてびっくりしたことがあるのですが、アフターコロナの世界ではマーケティングがそういわれる日も遠くないかな？と思い、「三原君、まだマーケティングなんかやってるの？」というタイトルにしてみました。もちろん、マーケティング、まだまだ役に立ちますよ。お目に留めて下さった皆様、これからもよろしくお願い致します。有限会社トライアドのHPはこちらから札幌の企画・デザイン会社トライアド (triad-pr.jp)
08Sep
- 行きたい理由
  緊急事態宣言が発令されているわが町、札幌。飲食店営業の皆さんのお気持ち察します。特に、強制的にお店を閉店させられている皆様にはお悔やみ申し上げます。皆さん、行きつけのお店に通ってますか？まぁ、いろいろな制限の中で開いている場所に限られますが、例えばラーメン屋さんとか気の利いた定食屋さんとか。お上による宣言に関わりなく「いつも楽しんでいるあの味に会いたい！」「あのオヤジの顔が見たい」って思うのは自然なことですし、止められません。で、僕なんかは欲求のままに足を運ぶわけですが、大抵の場合…混んでいます。お客さんでぎっしりです。確かに席数が「感染対策」のために減らされているというのもあります。仕切りを付けたり換気を良くしたり、消毒液を置く棚だって場所を取るし、そんなこんなで店はぎっしりだし、外ではお客様が並んでいる場合もあります。つまり、普通に「行きたいな」と思わせるお店は、何らかの魅力でお客さんをキープしているんですよね。それは味でもいいし、客あしらいでもいいけど。考えてみれば「需要」と「感染症対策」があれば、お客さんは来るんですよ。もちろん、基本的には外食自体は減っていると思います。それでも行きたいときは、行けるお店に足を運んじゃうのも確かなんじゃないかな。この時、「需要」は「行きたいと思う気持ち」の事であり、「感染症対策」は「行っても良いと背中を押してくれる条件」と言えそうです。この二つの組み合わせ、マーケティング的にはとっても大切！▲写真は東区北光線の文太郎さん。味噌がなんと６５０円！TVなどで飲食店の店主が「店を開けているけど緊急事態宣言のせいで全然お客が来なくて困っている。早く開けてほしい」という話をしているのをよく見ますよね。でも、その様子を見ると「このお店は宣言が開けても大変じゃないかな？」と思うのです。多分不特定多数のお客さんを地の利で獲得していたんじゃないかなと勘繰ったりしてます。すでに人々の外食の習慣が薄れてきていますから、名指しで行きたいと思えるお店以外はしばらく厳しいんじゃないかな。今はみんな苦しい時だけど、こういう時こそ商品やサービスを見直して、改めてお客様に来ていただく理由をつくったり、今来てくれているお客様がまた来たくなるような「何か」を探すことが大切なのだと思います。写真の文太郎さん、今どきラーメンが６００円～６５０円！そして無化調系なのにコクがあって時々強烈に食べたくなるのです！今日も多分お客さんいっぱいなんだろうなぁ。